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一期一会  作者: 綿花音和
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奇跡



 私の閉じた心は少しずつ他人の心に関心を持つようになっていった。それは大げさかもしれないがヘレンケラーがサリバン先生によって、ものには名前と意味があると悟るように私に起こった奇跡であった。


 自分とは違う存在、友達や先生、色々なものに感情があることを実感できたのだ。当時の私はまだ幼かったので単純に人に好かれたいとか興味のある人のことを理解したいとか漠然とした感情であったが。


 他人に関心が持てるようになった私は、悪口の一つ一つに傷つくことも多くなった。

それと同時に少しずつではあるが、他人の会話の呼吸についていこうとするようにもなった。

 ただまだ、

「顔が醜いから仲間はずれにされたのではないか」

 と言う疑問は解決しておらず苦しめられた。南君にも気持ち悪いと思われているのではないか? それを考え出すと夜眠れなくなった。

 南君が優しければ優しいほど、心の中では気分悪くしていないかが気がかりだった。


 そんなとき担任の先生が不在のときに来てくださった光彦先生の『人間の目はどうして二つあるか?』

と言う質問に私は救われたのだ。

「1つしか目がなかったら怖いからです」

 と答えた私に

「みんな目が一つだったらそれが普通になるぞ」

 と目を細めて言ってくれたのが気づきになった。


 私がこだわっている美醜の問題の答えはその程度のことなのだ。私の顔は古典的で現代風ではないけれど毎日鏡で見る自分の顔を嫌いだと思ったことはない。きっとそれなら大丈夫だと不安が薄れた。気持ち悪く見えるなら、それがその子にとっての真実だ。でもそれは私の答えではない。

 だって最近私は自分が嫌いでなくなってきた。


 今思えば、光彦先生をはじめ藤棚小学校の先生は、私がクラスで浮いていて普通の生徒とは違うことを知っていて目配りしていてくれていた。

 先生はやっぱり先生であった。












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