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プロローグ 2つの死体

「生き続けるにはどうしたらいい?」


 役に立たない探偵、兼霊媒師は、薄暗い部屋に疑問を投げかけた。

 その声は、いつものように落ち着いていて、静かで、自然に抑揚のある・・・。

 とても。

 とても気持ちの悪い声だった。

 生きている感じがしない。まるで、死体が操られて喋っているかのようだ。天才科学者によって脳に埋め込まれたマイクロチップが、彼の声帯を動かしている。そう、彼は死んでいるのだ、生きているのを装った死体なのだ。

 生きている人とはまるで違う。

 そう、生きているものは、意志がある。体を動かすのは意志だ。だから生きている。死体をリモコンで動かすこととの違いは、意志の有無だ。

 ・・・それならば。

 生きていることが、意志で体を動かすことならば。ならば。それならば・・・。

 体は、死んでいてもいいのかもしれない。

 リビングデッドの体に、脳を入れて。

 脳が生きているなら。死体だって。


「死んだらいいと思う」

 どうしようもない、くだらない問いに、有沢涼子はそう答えた。


 探偵は、そう、とつぶやくと、また静かに寝息を立てた。

 薄暗い部屋に差し込んだ夕日が、今まさに沈み、黒々とした彼の輪郭はきれいさっぱりなくなって、後には薄暗い黒い塊だけが、そこに揺蕩うだけだった。

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