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Re verse  作者: さいう らく
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43/43

Degression 6

「ワスプ殲滅」

形式:殲滅

依頼主:WOJ

報酬:530000A

領域:ギルモア北部

期限:‐

概要:ワスプの巣の発見、および全滅

条件:敵の全滅

備考:多少の被害は構わないそうだ。存分に暴れてくれ。

 


「……っと」


 鉄のコアで作った配線に、雷のコアの過剰電圧がかかり、赤熱する。

 その赤ははるか上方へと登っていき、改装中のビルに居座る巨大な塊へ到達した。


 土や枝、枯葉などでできたその塊から煙が上がる。

 一呼吸の間に、塊からは人の頭くらいの大きさの悪魔が、耳障りな羽音を立てて次々と飛び出してくる。

『キしゅりぃぃイイい』


 カチカチと顎を鳴らしつつ、これまた不快な鳴き声を一斉に鳴らす悪魔。

 自然種小型級。ワスプだ。

 その名の通り虫の特性を持ち、強力な霊子結合による外骨格と、互いに霊子を介した意思疎通を行うことによる生物離れした連携が特徴。

 ゆえに、他の小型級とは扱いが違う。群れそのものを一個体として扱い、それの殲滅をもって討伐となる。

 一匹でも残せばそれが女王化し、また巣を作るためだ。


「全く俺におあつらえ向きの仕事だな」


 通常は探すのに手間取る巣も、左眼で見れば一発でわかる。ギルモア北支部の奴らも血眼になって探してると思うが、見つけた頃には全て終わっているだろう。


「……で、だ。そっちから来ないなら、遠慮なくいかせてもらうか」


 リクラス支給のライフルを構え、射撃態勢に移る。

 できるだけ翅を狙い、個気味よい発砲音とともに撃ち落としていく。


「ひゅー……さすが」


 リクラスの標準ライフルとはいえ、その威力は対悪魔を基準に調整されたものだ。かすっただけでもその翅を容赦なく破壊し、地面に叩き落としていく。

 だが勿論落とされたワスプも黙ってはいない。翅に比べれば非力とはいえ、脚はついている。

 ジリジリと迫ってくる虫に対する有効打は、首に刃を差し込むか、質量攻撃で押しつぶすこと。そして……。


「いいのかねぇ、ホイホイ来ちまって」


 にじり寄るワスプに、スパークが走る。近寄ってた先からバチバチと連鎖的に。


『ギ……しュィ』


 簡単な機構しか持たないワスプは電撃でいとも簡単に麻痺する。雷属性の魔術を用いれば簡単に無力化できるのだ。

 ただ飛んでいる時はあまり当たらないので一度地面に落とす必要があるのだが。


 魔術を使えない俺がなぜ電撃を自在に操ってるかというと、もちろん雷のコアを使ってだ。

 ジグが教団に加わってからというものの、今までブラックボックスだったコアの解析が順調に進んでいる。戦闘訓練では未だお荷物だが、研究開発においては引っ張り凧らしい。


 今はあいつが持ち込んだ“どんな物体も魔術発動の媒体にできる技術”をコアに刻み込んである。サイズや精度の問題から幾つかの固定術式を組めるだけだが、使い捨ての魔術発動体を量産できることから、今後の教団の副兵装として期待されている。

 本人曰く東方の技術の劣化コピーらしいが、それでも十分だ。


 媒体の前方180°半径2mに接近した物体に無差別攻撃を加える術式が、ワスプをこぼす事なく刈り取っていく。


「……そろそろか」


 いい加減学習したと思われるワスプがじりじりと退いていく。

 ならば次に来るのは……。


ギヂヂヂヂヂィ(キシュリイイィ)……』


 巣からずるりと這い出てきた個体。通常のワスプの3倍はあろう体躯……人間の子供くらいはある。腹部が肥大化しているがそれを感じさせない重厚な節足、巨大な翅がこちらを威嚇するかのように小刻みに震えている。


「女王様直々とは、かたじけない」


 ここまでくるとライフル程度の火力は大したダメージに成り得ない。魔術を交えながらの一騎打ちだ。

 ……と、その前に。


「ほい」


 白燐がたっぷりと詰まった手榴弾を、おもむろに放り投げる。狙いはもちろん地面に転がってる麻痺した羽虫。


 ガチガチと音を立てていた女王の顎が、動きを止める。

 軽い爆発の後、立ち昇る黒煙。


「うえぇ、くっせえ」


 甲殻類を焼いた時特有の音が、不協和音のように響く。質の悪いゴムのような悪臭も酷い。

 悪魔に対しての有効打。失血と質量攻撃、魔術の他に原始的な手段として燃やすというのがある。基本的には燃えた先から再生され、その内鎮火されるのがオチだが、こうやって状況を整えてやれば確実かつ誰にでもできる処分方法となる。


『ギギ…ぃ』


 絞り出すような呻きを上げ、女王が羽ばたき、戦闘態勢をとる。同時に、わさわさと無秩序に動いていた働き蜂の動きが止まり、一斉にこちらを向いた。


「毎回この瞬間だけはゾクッとくるんだよなぁ……」


 奴らは同胞が燃やされることにどんな感情を抱くのだろうか。大抵の悪魔は仲間や同種の死をものともしない。むしろ自分こ取り分が増えると喜びを示す時すらあり得る。

 だが、こいつらは……恐らく、自分の身体の一部をやられたような感覚なんだろう。

 怒り、のようなものを感じる。


 だが勿論そこは悪魔。感情的になったところでやる事は変わらない。目の前の餌を殺し、喰らう。


「……さすがに女王自らは突っ込んでこないな」


 巣の中からこちらの状況を伺っていたのか、働き蜂を俺の周囲へと配置していく。電撃がちょうど届かない半径だ。


 そしてその包囲網をジリジリと狭めていく。


 そして、俺の前方の奴だけが連鎖的に叩き落とされると同時。


「!」


 一瞬でその影は俺の頭上を越える。俺は雷のコアを蹴飛ばし、振り向きざまに抜刀、斬り払う。


『ギシュるりィいぃ……!』

「っ」


 ガキン、と音を立て刀が弾かれる。雷のコアを使った仕掛けをものの数秒で看破した女王が、圧倒的な速さをもって俺の裏を取ったのだ。


 懐に潜り込まれた以上、あの仕掛けはもう使えない。元から移動しながら使える代物には仕上がってない。

 条件を満たさなくなった雷のコアは沈静化している。アレに仕込まれた術式は“範囲内に入った運動エネルギーを持つ物体を標的にし、放電を行うもの”だ。自身が移動してしまった時点で対象への判定が狂う。


 再設置しようにも、もう回り込まれてしまうだろう。まあ、逆に言えば正面からの突撃は牽制できるが。


「……なんにせよ、一旦仕切り直しだ!」


 女王と情報を共有した結果、側面から飛来する働き蜂を斬り飛ばしつつ、雷のコアを拾う。

 すぐに納刀し、ライフルで適当に弾をばら撒きつつ階段室へと駆け込んだ。

 即座に働き蜂が後を追って飛び込んでくる、が。


「……ここならまとめて吹き飛ばせる」


 雷のコアを展開。範囲前方、最大出力。

 さっきの自動攻撃とは比にならない轟雷。超高電圧が、働き蜂を全て焼き尽くす。


「そんで……」


 階下から回り込んできた蜂が俺の視界に入った瞬間、鈍重な破裂音が響き渡る。

 大量の金属片が詰まった指向性地雷が爆発したのだ。被爆した蜂がボトボトと墜落する中、這い出てきた後続の首をはね飛ばす。


「……こんなもんか?」


 無論地雷は保険も兼ねて事前に仕掛けておいたものだ。建物の被害は問わないらしいので遠慮なくやらせてもらった。

 耳障りな羽音はもうしない。


 ……一際大きな一つを除いては。


『ギヂ……ぃイ』


 がちんがちんと顎を鳴らしつつ、俺を見下ろす複眼。


「降りてこいよ、女王様」


 俺の手招きを挑発と捉えてくれたか、奴は一直線にこちらに飛び込んでくる。構えてなければ対応が難しい速さ。


 だが俺の左手は既に壁面から露出した鉄筋に触れている。

 イメージは、地面を貫き、伸びる鉄針。

 さすがに奴の外殻に傷をつけることはできかったが、隙は作れた。


『ぎィゅゥリぃいッ!』


 一瞬の閃光と爆音。俺がピンを抜いておいた閃光手榴弾が起爆する。

 階下に飛び降り光は回避したが、嫌な耳鳴りが残る。


「ふぅ……これで無力化、と」


 のんびりと穴だらけの階段を登ると、針に挟まれて沈黙した女王。

 何かのモチーフを持つ悪魔は、大抵の場合その弱点も引き継ぐ。複眼を持つ悪魔には、脳が処理しきれない情報を叩き込めばいいのだ。

 生物で言う気絶の状態……なのかはわからないが。

 だらしなく開いた顎に白燐手榴弾を詰め込み、ピンを抜く。


「んで、オシマイだ」


 炎に包まれる女王蜂。

 燃え盛る炎に、一瞬あの赤いミノタウロス……ボレロの姿が重なった。





「そういえば、あいつこの前は一体何が目的だった……ッ!!」


 焼け落ちる蜂をぼーっと眺めていた俺は、突然右腕を登ってきた激痛と衝撃に思わず舌を噛む。


「っぜェ!」


 すかさず後ろを顧みることなく黒焦げの蜂を飛び越えた。俺の頭の位置に飛来した第二弾が劣化した蜂の外殻を砕く。


「はァ……っ、ぁあ……」


 嫌な感触だ。右腕を見ると、前腕が半ばから捻じ曲がり、肉と骨が露出している。

 撃たれた。迂闊だった。閃光手榴弾の爆音が聴覚を鈍らせていたのだ。

 神経が断たれた部位がだらりと垂れ下がる感覚。断面の片方からしか感じない痛み。汗が滲み出る。


「……ぐ、おぉあっ、が」


 だが俺は、さらなる痛みをまるで予期していなかった。傷口をこねくり回されるような痛み。体温がスッと下がり、胃の奥から異物感がこみ上げる。


「……ぐっ……ァあ?」


 一気にピントが合わなくなった目を、右手に向ける。


「?!」


 傷口をこねくり回されるような、と形容したが、まさにその通りだった。吹き飛んだ箇所は肌色とも赤ともつかない肉塊が泡を立てて補い、先に修復された筋肉が無理矢理骨を正常な方向に戻そうとしている。


 俺は夢中で右腕を引っ掴み、元の角度へと戻す。相当な痛みがあったはずだが、傷口が発する圧倒的なパルスに紛れて何も感じなかった。


「……が、ぁァあ……」


 そのまま俺はその場にぶっ倒れる。回復してくる聴覚が、肉を混ぜ合わせる有機的な音を捉えた。


 音はすぐに止んだ。それに伴い痛みも気持ち良いくらいするりと、抜ける。


「……あぁ」


 まだ熱さは残っているものの、首を右に転がすと、まるで何もなかったかのように元通りの右手がそこにあった。


「は、はは……」


 これじゃ、まるで……。


「悪魔、か」


 こうなって(・・・・・)から初の致命傷だった。まさかここまでの回復力があるとは……。


「これじゃ、生半可な理由じゃ死ねないだろうな……」


 起き上がった瞬間激しい目眩を起こす。

 全身からごっそりと力を持ってかれた感覚。

 だが、いつまでここで休んでいるわけにもいかない。俺を狙っていた以上、生死を確認しに来るだろう。

 ふらつきながらも、狙撃が行われたであろうビルを凝視する。


「……そうだ」


 左眼を起動する。蜂を一掃したおかげで、周囲には霊子が満ち溢れていた。

 一瞬、その光景に目を取られたが、すぐに真下を確認する。


「ビンゴ」


 大量の霊子を掻き分けて移動する、明らかに密度の低い部分。恐らく普段見ている人間の霊子密度のソレと一致する。

 敵は既に内部にいる……と、なれば。

 急ぎ一階下の指向性地雷を回収、火災報知器の近くに設置する。


 敵は既に階段を登り始めている。時間がない。


 十分に距離を取り、ライフルの照準を地雷に合わせる。


「展開。形式、放電。時間、5s後。残条件破棄」


 雷のコアに条件を設定し、床を滑らせる。


「3……2……1」


 発砲。弾丸は寸分違わず地雷の補足範囲に着弾する。

 一瞬ののちに、地雷は爆発し、金属片をばらまく。


『うおッ!』


 階下から声が聞こえる。だがそれも火災報知器のけたたましいサイレンに掻き消された。

 ワンテンポ遅れて、スプリンクラーが作動、階段室にシャワーを浴びせる。


「……0」


 雷のコアが最高出力で雷を放つ。


 火災報知器が電圧に耐えきれずに吹き飛ぶ。そして、先ほどの閃光手榴弾に勝るとも劣らない爆音。




 耳を塞いで伏せた状態から顔を上げる。


「おお……」


 壁や床があちこち抉れ、水蒸気が立ち込めている。

 階段も穴だらけで、鉄筋が露出していた。


「っとと」


 未だ電撃の余韻を残す雷のコアを手に取り、待機状態へ戻す。


「さてはて……さすがに生きてるってことはない、はず」


 ふらつきつつも下りると、黒焦げの死体が転がっていた。


「……企業の子飼いじゃ、ないな」


 すすけた装備品を漁るも、スタイン製スナイパーライフルと、RA製ハンドガン。それぞれレオン製の補助装備でカスタムしてある。

 見事なバラけ具合。基本的に自社製装備で固めた企業お抱えの傭兵や私兵ではないだろう。

 俺はすぐさまリクラスに一報入れることにした。


『……おい、07』

『なんでしょう、06』

『教団の任務中に襲撃を受けた。相手は単独だと思うんだが、一応調べてほしい』

『わかりました。顔写真は撮れますか?』

『……無理だわ』

『ちっ。面倒な』

『こちとら5分前に致命傷負ったばっかなんだから無茶言うな』

『致命傷?なんですか早く成仏してください』

『死んでねえ、簡単には死ねないんだ』

『ふーん。わかりました。何か他に身元を特定できそうな物品は?』

『……ドッグタグを持ってる。アルバート・ヘンドリクセン、だ』

『ふむふむ……あぁ、K&Mですね』

『……あそこの装備は持ってないぞ、コイツ』

『K&Mは装備に制限をかけてないんです。質の悪さを武器の組み合わせで補っている形ですね。といってもその男はどうやらスタイン崩れのようですが』


 K&M……ケンプアンドマイティは、この国の中古武器市場を牛耳る大企業だ。立ち位置的には一応RA陣営のはずだが、自由な立ち回りが目立つという。


『俺を狙っていたのだろうか』

『恐らく偶然出くわしただけでしょう。危険な任務は受けない傾向があったらしいですから』

『なるほど……一応チェイスにも報告しとくか』

『それがいいでしょう。あぁ、あと、グリーニア方面で救援信号が発せられたようです。行きます?』

『……ものによるな』


 俺は未だに火照る右腕を抱えて立ち上がる。

 そしてふと、なぜこんなことをしているのだろうかという疑問が湧き上がる。

 企業にいいように使われて。教団との距離感もなあなあにして。

 死にたいんじゃなかったか。贖罪したいんじゃなかったか。ともすれば、俺はそれすらどうでもいいと思っていたのだろうか。


「……ハッ」


 馬鹿らしい。結局俺には何もないのだ。

 目的は、今は手元に二つしかない、コアのみ。他は全てそのための繋ぎにすぎない。

 興が醒めた。救援は無視してチェイスのとこに行こう。






「一回目……最も大きい住宅街であるギルモア南部を襲撃した際はデモンストレーション、試金石であると言ってたな」

「試金石……自身の力を、雇い主か何かに示すってことね」

「完全な不意討ちをキメた上に、被害規模も相当なもんだ。まあ元々ああいうのが本業である以上当然といえばそうだが」

「あら、随分高く評価してるのね。そのボレロって男を」


 現状の擦り合わせと、先日の報酬手続きのために俺はチェイスとともに警察署に来た。

 奇異の目が向けられているのがわかるが、教団にいる時に比べりゃ遥かにマシだ。


「まぁ、俺に戦い方を教えた先生みたいなもんだしなぁ……というか、軍用車両をお釈迦にしたのは確かだがその額はさすがに多すぎやしないのか?」

「先生、ね。聞く限りではそんなガラじゃないけど……当然私達の経費や治療費、慰謝料も盛り込み済みよ」

「……強かなこって」


 思わず額を抑えてしまう。軽はずみな行動であった自覚はあるし、教団の依頼ってことでどうせ補填してもらえると思った俺の失態なわけだが。

 今までそれなりに働いたのも、ほとんどがリクラスによるものでチェイス本人からの依頼は今回が初だし……。

 未だ1割も返せていないことを示す書状から目を背けたくなる。


「……あいつは人格的には問題しかないが、戦争においちゃ間違いなく天才だよ」

「一応あなたでも渡り合えるんでしょう?」

「分が悪いけどな……兵士としては俺と大差はないさ。だが、指揮官としては俺なんざ及びもしない領域にいる」

「なるほど、戦いじゃなく、戦争の、ね」

「……ギルモア南部は今どうなんだ?」

「未だに復旧作業は続いているけど、どこか無気力ね。不安なんでしょ」


 漠然とした不安。


 今まで「大型の野生動物が山から下りてきた」くらいの認識だった悪魔が、計画的に、ある程度の統率の元に襲いかかってきた。


 首謀者は未だに捕まっていない。それどころか、手口すらわからない。


 チェイスの話によれば行政と教団の仲があまりよろしくないことも薄っすらと広まってきているようだ。

 対処が後手に回った上に、首都という懐にまでアッサリ潜り込まれた。


 今、人間を守ってきたこの二つの組織への不満は最高潮に達しているといってもいいだろう。


「さて、世間話はおいといて。私も暇じゃないし。今首都のあちこちでデモが起きてるから面倒くさいのよ」

「政府転覆を狙う身としては応援しないのか?」

「あんなの思想も何もないわよ。ただ不満を垂れてるだけ。私はそんな奴らのために動いているつもりはないわ」

「そうかい」


 そう言いつつ警察署を出ると確かに。デモ隊らしき民間人が警察と睨み合いをしている。気がかりなのはRAの私兵もいることだが。


「案外、終わりは近いのかもしれないわ」

「……そうか?」

「ええ、あのボレロという男のおかげでね」



 現体制を瓦解させるのが、ボレロの目的なのだろうか。

 ……それは少し異なる、と俺は思う。


 確かに奴は現体制を疎ましく思っている……だが、そうであるならば、初回の攻撃を首都にするべきだった。

 奴にはそれができた。首都を一撃奇襲で落とすことも可能だった。


 ……俺がぬくぬくしてるのも気に食わないと言ってたな。

 何より、前回は俺達企業の傭兵をまるでターゲットにしていなかった、という事実が引っかかる。


 まぁ、この女……チェイスにいいように使われてるうちに、また相対する時が来るだろう。


「……どうしたのよ」

「いや、何でもない……じゃあな」


 俺はデモ隊の波に逆らい、帰路に着く。



 ……右腕の熱さは、結局寝るまで冷めることはなかった。

「ワスプ殲滅」

形式:殲滅

依頼主:WOJ

結果:達成

報酬:530000A


・001-Blast

 リクラス製標準ライフル。非常に高い命中率と拡張性を兼ね備える万能兵器。威力は低めだが、対悪魔においては最低限のものを備えている。

・ワスプ種

 蜂の特性を持つ悪魔。非常に高い縄張り意識と統率性から、巣単位の一個隊として扱われる。一匹一匹はやたら硬い大きめの蜂に過ぎないが、群れとなるとその破壊力は侮れないものとなる。

 一つの巣に必ず一体「女王蜂」と呼ばれる個体が存在し、その速さと頑強さはもはや小型悪魔の域を脱している。

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