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高松トコ

作者: 多岐川ノリ

 「ねぇ、トーコ!ちょっと相談があるんだけど~聞いてくれる?」

 「いきなりどうしたのサトミ。恋愛とお金の相談以外なら聞いてあげるけど?」

 「うっ、いきなり出鼻をくじくようなカウンター、やるわね、高松トーコ。でもこんな話を出来るのはトーコだけだからさぁ。」

 突然話しかけられたのは都内の大学で情報工学を専攻している女子大生高松トーコ。そしてトーコに話しかけてきたのは親友の藤崎サトミである。彼女とは大学入学時に知り合い、今では一番の親友となっている。

 「で、その相談内容って?」

 「うん・・・ここじゃ話しづらいからさ、今日トーコの家まで遊びに行っても良い?」

 「うん?別に構わないけど?」

 しかし何の相談なのだろう?

 藤崎サトミの家庭は特別金持ちでもなく、特別貧乏という訳でも無い、ごく普通の一般的な家庭の生まれだ。時々トーコを食事に誘ってはおごってくれることもしばしばある。従ってお金の相談では無いことは間違いない。

 ということは恋愛相談だろうか?確かに年齢的にはそのような話があってもおかしくは無い。むしろちょっと遅いぐらいかもしれない。そこのことは他の誰よりもトーコが知っている。サトミのすぐ側にはいつもトーコがいたのだから。

 とは言っても恋愛経験の乏しいトーコにはどれだけサトミの力になれるのだろうか。とはいえ、とりあえず話だけでも聞いてあげることにした。




 トーコの自宅は立川市の高松町商店街の近くにある。通学時にはいつもこの商店街を歩いて登校していた。それは今も昔も変わらない。

 「そういえばトーコの家に行くのも久しぶりだね。」

 「そうだっけ?どれくらいぶり?」

 「うーん、半年ぐらいかな?」

 この日もいつも通り、大学帰りの、午後の高松町商店街の中を歩いて行く2人。

 「なんか、この商店街も変わったね。」

 「えっ、どんな風に?」

 「うん、なんていうか・・・閉まっているお店が多くなっているような・・・かな?ちょっと活気が無くなっているような気もするし。」

 それはトーコも同じことを感じていた。小さい頃からこの商店街で育ったトーコだ。その商店街の変化に気がつかないわけが無い。

 そのような会話をしつつ商店街の中を歩いて行く二人。そして一軒ののれんの掛かった飲食店の前でその歩みを止める。

 「ちょっとここで腹ごしらえをしようよ。」

 そう切り出したのはトーコだった。

 「えっ、今日学食でお昼食べたでしょ!?・・・ったく、トーコったら食いしん坊なんだから~。いったいその栄養は何処に行くんだ?その大きな胸かおふっ!?」

 トーコは何も言わず肘をサトミのお腹にたたき込む。

 トーコは女性のサトミから見てもうらやましいくらいにスタイルが良い。胸も大きく、大学のキャンパス内では男子学生の注目の的だ。過去にはミスコンに出場するように勧められたが本人はあまり乗り気では無く、結局お流れになってしまったこともある。

 当然、そんなトーコだから声をかけてくる男子学生は後を絶たない。もちろん交際の申し込みだ。しかし、トーコは「そんな時間は無い。」と言ってことごとく断ってきた。その様子を隣で見てきたサトミには、少しは自分にも分けてよ、と言いたくなってくる。

 一方のサトミはというと、トーコよりも少し背は高く、胸もトーコほどでは無いが、決して小さいわけでも無い。スレンダー美人という言葉が良く当てはまるスタイルをしている。しかし、彼女はトーコとは違って、早く彼氏を作って楽しいキャンパスライフを送りたいと思っていた。しかし、現実はそう甘くはない。積極的に行動するも未だに彼氏が出来ないままだ。その理由はサトミ自身にもわからない。

 トーコはお店の前でうずくまるサトミを無視して、飲食店の引き戸を開け、のれんをくぐり中に入る。

 「おじさん!こんにちわー!いつものちょうだい!」

 店内はカウンター席が5つにテーブル席が3つある決して大きくは無い食堂といった感じだ。この飲食店は還暦間近の夫婦が経営している。今は他にお客の姿は無く、おじさんの方は厨房で暇そうにイスに座って新聞を読んでいる。おばさんも厨房のイスに座って店内のテレビに流れるお昼のドラマに夢中のようだ。

 そして、トーコの元気な声に反応し、おじさんがイスから立ち上がりトーコの方を向く。

 「おう、トーコか!相変わらず大きな胸してるな!」

 「もうっ!その発言セクハラだよ!」

 「いいじゃねぇか長いつきあいなんだからよあたっ!」

 後ろからおばさんがオタマでおじさんの頭を殴った。

 「全く何馬鹿なこと言ってるんだよ、この親父は!」

 「おいこら、オタマで殴るな!そんなことしたら衛生的になあたっ!」

 おばさんはもう一発おじさんの頭をオタマで殴った。

 「後で洗うから大丈夫だよ!それより大事なお客さんでしょ!さっさと仕事しなさい!」

 「お、おう、あぁ、いつもの・・・ハンバーグ定食だな。おや?トーコ、今日は一人じゃないんだな。」

 「うん、友達のサトミを連れてきた!」

 「こ、こんにちわ・・・。」

 サトミは先ほどのトーコの一撃がまだ効いているのか、お腹を片手で押さえつつ店内に入る。

 「わ、私も同じやつで・・・。」

 「あいよ、少々おまちを!」

 そう言っておじさんは厨房に立ち調理を開始する。トーコとサトミは2人並んでカウンターの席に座る。


 「サトミ、さっきこの商店街寂れてきてるって言ってたよね。」

 「・・・うん。」

 「私、何とかしたいって思ってるんだ。この商店街を。私今、データマイニングの研究をやってるじゃない?これをうまく応用してこの商店街を活性化できないか。昔の活気のあった商店街に戻せないかってね。」

 「うーん、そもそも、そのデータマイニングって良くわかんないんだけど・・・」

 「説明すると長くなるんだけど、データマイニングってね、統計学の一種で」

 「あ、長くなるんならいい。」

 そう言って話を打ち切るサトミ。サトミはトーコと違ってそれほど頭が良い訳では無い。ナントカの法則とか難しい名前を聞いただけでも頭が痛くなってくる。

 「そのデータなんとかって良くわからねぇけど、トーコちゃんが力になってくれるのは嬉しいねぇ。トーコちゃんがいてくれるだけでなんだか元気がわいてくるような気がするぜ。」

 「ふふ、ありがとう、おじさん。あ、ごめんね、サトミの相談を聞くつもりが、私がサトミに相談しちゃってるね。」

 「そんな事無いよ。トーコは研究熱心だからね。私はきっとうまく結果を出せると思うな。だって、普段はいつも男とかそっちのけで研究室にこもりっきりじゃない?」

 「そうなのか、トーコ?お前もそろそろ彼氏とか作ったらどうなんだってあたっ!」

 またおばさんがおじさんの頭をオタマで叩きつける。

 「男が乙女の会話に口出しするんじゃ無いよ!」

 「だからオタマで殴るなって言っているだろう!」

 「ははは、でも私、彼氏とかあんまり興味ないし。」

 苦笑いで返すトーコ。

 「でもその若さで彼氏に興味ないってもったいない気がするなぁ。ほらよ。覚めないうちに食べてくれ。」

 そう言ってトーコ達の目の前に一枚の皿が差し出される。その上には綺麗に千切りされたキャベツとレタス、そして、自慢のデミグラスソースがたっぷりかけられた大きなハンバーグが乗っている。焼きたてのため湯気が当たりに立ちこめる。湯気とデミグラスソースの香り、そして、そのハンバーグのちょうど良い具合の焦げ目が食欲をそそる。トーコが昔から愛してやまない大好物だ。

 そして、その後に続いてご飯と味噌汁が目の前に差し出される。

 「ありがとう!いっただっきまーす!」

 とトーコがハンバーグに箸をつけようとしたそのとき。


 飲食店の外に何者かの気配を感じた。

 外を振り向くと何かの影が見える。

 普段なら何とも思わずそのままハンバーグ定食を食べ続けるトーコだが、何か妙な胸騒ぎがして気になってしょうがない。

 トーコは飲食店の外に出てその影を見つめる。自分でもなぜこのような行動を取ったのかわからない。その姿は明らかに人では無い。何ものにも形容しがたい、何かの黒い物体が商店街をゆっくりとトーコから離れていく方向へ進んでいった。

 「ちょっと、トーコ?どうしたの?」

 サトミもトーコにつられる形で飲食店の外に出てきた。

 「サトミ、あれ、あの黒いの、何かわかる?」

 トーコは目の前にある黒い影を指差す。

 「えっ?ちょっとトーコどうしたの?そっちの方向には何も無いじゃん!」

 その後から「なんだ、どうした?」とおじさん達も外に出てきたが、おじさん達にもその黒い影は見えないようだ。


 あの黒い影が見えるのは私だけ?


 その影は商店街の脇道に消えようとしていた。トーコはその黒い影が何なのか気になってしょうが無かった。気がつくとトーコはその影を追いかけるように走り出していた。

 「ちょっと、トーコ!どこに行くのよ!」

 そんなサトミの声も耳には入らない。とにかくあの黒い影の正体は何なのか、それだけが頭の中にあった。

 そして黒い影が入った脇道をトーコが曲がると、そこに先ほどの黒い影が存在していた。トーコのすぐ目の前に。

 突然すぐ目の前に現れた黒い影に驚くトーコ。

 「・・・あなたは・・・何?」

 「貴様・・・私の姿が見えるのか・・・貴様は高松トーコだな?」

 とっても低い声がトーコの頭の中に響くように聞こえてくる。

 「なんで・・・私の名前を知っているの?」

 「そんなことはどうでもよい。貴様は我々にとって邪魔な存在なのだ。従って貴様にこれから呪いをかける。」

 「何なの呪いって?私何か悪いことした?それよりあなたは何者なの・・・きゃあっ!」

 トーコの目の前がまばゆい光で何も見えなくなった。右も左も、上も下も、地面に立っているのか、宙に浮いているのかも分からないような奇妙な感覚がトーコを襲う。そんなトーコの頭の中に先ほどの低く響く声が聞こえてくる。

 「冥土の土産に教えてやろう。我の名は悪魔シャッターン。我の目的はこの高松町商店街の店舗にシャッターを下ろすこと。そして我が貴様にかけた呪い。これはこの商店街からシャッターを下ろした店舗が無くなるまで解けることは無い。」

 「なっ!そんなことさせるわけには・・・!」

 「せいぜい呪いによって生まれ変わった姿を楽しむがよい。ふはははは・・・。」

 そう、悪魔シャッターンが話し終えたところでトーコの意識はふっと途絶えた。




 それからどれくらいの時間が経ったのだろうか。

 次にトーコが目を覚ましたときには、トーコは地面に仰向けの形になって倒れていた。日は傾き始め、商店街の大通りには夕食を買い求める主婦や帰宅を急ぐサラリーマンの姿が見える。

 「トーコさん?高松トーコさんですよね?」

 誰かがトーコに話しかけている。聞き覚えない男性の声だ。トーコは声のする方へ振り向く。そこにはトーコも見たことが無い、顔立ちが美形の若い男性が立っていた。

 「そう・・・だけど・・・あなたは・・・誰?」

 そう男性に話しかけたところでトーコは異変に気がつく。


 自分の声が明らかに普段の声と変わっていることを。

 自分の声はこんなに高かっただろうか?

 こんなアニメ声をしていただろうか?


 「そうですか。ちっ、一歩遅かったか。」

 「一体・・・何が起こったんですか?」

 そして、トーコ自身に起こった異変はこれだけでは無い。自分の姿にも違和感を感じる。

 「あれ?私、なんで着ぐるみなんて着ているの?これ脱ぎたいんですけど・・・」

 そう言ってトーコは地面から立ち上がり、自分の背中をまさぐり始める。通常の着ぐるみならば背中に脱着用のチャックがついているはずである。しかし、いくら探してもそのようなチャックは見つからない。

 「え?これ、どういうこと?この着ぐるみ、脱げないんですけど・・・。」

 焦り始めるトーコ。そんなトーコを落ち着かせるためか、目の前の男性は両手をトーコの両肩に置き、トーコの目をじっと見つめながらゆっくりと話し始める。

 「ちょっと話は長くなりますが・・・すぐには信じられない話になるかもしれませんが、落ち着いて聞いてください。」

 目の前の男性はそう前置きをした上で話を続ける。

 「私の名前は八木沼マコト。とある機関のエージェントです。未来から悪魔シャッターンを追ってこの時代にやってきましたが、残念ながらシャッターンの方が一足早かったようです。シャッターンはあなたに呪いをかけ、犬の着ぐるみの姿に変えてしまったのです。」

 トーコにはとても信じられない話だった。未来からやってきた?呪いをかけた?犬の着ぐるみを着た姿に変えられた?いや、それ以上になぜ私がこんな目に遭わなければならないのか?

 「貴方、高松トーコさんは近い将来、データマイニングを応用させることによってこの高松町商店街を活性化させることに成功し、日本でもその名を知らない人はいないくらい有名な商店街へと発展させました。しかし、中にはそれを快く思っていない人がいたことも事実でした。その人たちは貴方の邪魔をするため、悪魔シャッターンを召喚し、過去の世界、今いるこの時代に送り込んだのです。我々もその後を追うようにこの時代にやってきました。しかし一歩遅かった、結果は最悪の事態となってしまったのです。」

 「えっ、じゃあ、この商店街はどうなっちゃうの?」

 「このままでは・・・悪魔シャッターンの思惑通り、ほとんどのお店にはシャッターが降りてしまい、商店街を訪れる人は少なくなり、寂れてしまう、ということが確認されました。そのうちこの商店街自体が消えて無くなってしまうかもしれません。」


 この大好きな商店街が消えて無くなってしまう!


 トーコはその話を聞いてショックだった。

 「何とか元に戻す方法は無いんですか!?そうだ、その悪魔シャッターンとかいう悪いやつを捕まえれば元に戻るんじゃ無いの?」

 「今私の仲間達がシャッターンの行方を追っています。しかし、シャッターンを捕まえたとしても貴方にかけられた呪いは解けることは無いでしょう。あいつはそれほど強力な呪いをかけて消え去ってしまったのです。」

 「・・・呪いを解く方法・・・。」

 そう言ったところでトーコは薄れ行く意識の中で頭の中に聞こえてきたシャッターンの言葉を思い出した。」

 「この呪いはこの商店街からシャッターを下ろしたお店が無くなるまで解けない・・・。」

 「えっ?」

 「確か、シャッターンはそう言っていました。でも、どうすれば・・・。」


 そのとき、トーコの視界に見覚えのある女子大生の姿が見えた。今日一緒に商店街に来ていた藤崎サトミだ。

 「もう、トーコったらどこに行ったのよ!トーコの家に行っても帰ってきていないっていうし!だいたいあのハンバーグ定食も私がトーコの分も払ったのよ!明日三倍、いや、私の相談も聞いてもらえなかったから五倍返ししてもらわなくちゃ気が済まないわ!」

 「サトミ!」

 トーコはサトミの方へ向かって走り出した。

 「ん?あれ?この犬の着ぐるみ、この商店街のマスコットかしら?」

 「私よ!私が高松トーコよ!わからない!?」

 「・・・ぷっ、ははは!何言っているの?トーコがこんな着ぐるみ着ているわけ無いじゃん!声もトーコの声じゃないし!ほら、さっさと自分の仕事に戻った戻った!一生懸命商店街のPRがんばってきなさい!」

 そう言ってサトミその場を離れていった。着ぐるみ姿のトーコを残して。トーコはその姿を呆然と眺めるしか出来なかった。

 「トーコさん、今の声と姿ではあなたが高松トーコだと信じろと言うことが無理な話です。・・・残念ながら。」

 その後ろからマコトが話しかける。

 「じゃあ、どうしろというの!?この姿じゃ、この声じゃ!・・・このままじゃ私は社会的に詰んでいるも同然よ!私の家は?食べ物は?どうやって生活しろというの!?」

 マコトは着ぐるみ姿のトーコに向かって優しく微笑みながら話しかける。

 「そのために僕がいます。トーコさんの身の回りのことは僕に任せてください。とにかく、トーコさんにかけられた呪いを解く具体的な方法を考えましょう。」




 そして、それから一週間が過ぎた。

 トーコは商店街近くの、少し古めのアパートで暮らしている。これは未来からやってきた八木沼マコトが用意した住まいだ。そして食料やその他必要な物もマコトが用意してくれている。

 しかし、呪いをかけられ犬の着ぐるみ姿になったショックが大きかったのか、あの日以来トーコはアパートの部屋から出ることは無かった。

 自分の家族、トーコの友達、親友のサトミはトーコの姿が消えてしまったことに心配しているだろうか?それより何より自分にこの呪いを解くことが出来るだろうか?とにかくいろんな事が心配で仕方が無かった。


 その様子をずっと見てきたマコト。そのマコトが部屋から一歩も出ようとしないトーコに話しかける。

 「トーコさん。気晴らしに商店街にでも散歩に行きませんか?部屋の中にこもってばかりだと体が鈍っちゃいますよ!」

 当然、トーコはあまり乗り気では無い。しかしマコトに無理矢理腕を引かれる形で部屋の外へと連れ出された。

 2人並んで歩く、見た目はいつもと変わらない高松町商店街。

 しかしあるお店の前でトーコの歩む足が止まった。

 そこはサトミと最後に食事をした飲食店だった。お店の入り口には普段はあるはずののれんは掛かっておらず、その代わりに入り口の引き戸には「閉店」を知らせる張り紙が貼ってあった。

 その光景に言葉を失ってしまうトーコ。もう二度とあの好物のハンバーグ定食が食べられない。それより何より大好きなお店がまた一つ商店街から消えてしまった。

 「これも・・・シャッターンの仕業なの・・・?」

 トーコの瞳からは一筋の涙が頬を伝って流れていた。

 「・・・おそらく、そうでしょう。」


 しばらくの沈黙。


 「・・・上等、じゃない。」

 トーコはあふれ出す涙を静かに拭った。そして悲しみは怒りへと変わる。

 「私はシャッターンなんかに負けない。私はこの商店街からシャッターの降りた店を無くしてみせる。そしてこの呪いを解いてみせる!」

 「・・・やっと元気なトーコさんに戻ってくれましたね。」

 「こうなったら、あんたにも協力してもらうわよ。マコトさん!」

 「僕のことはマコトで結構です。それに、もとよりそのつもりですよ。トーコさんは呪いを解くことだけを考えて結構です。シャッターンのことは我々に任せてください!」

 「待ってなさい、シャッターン!この高松町商店街の未来は、私が変えてみせる!」




 「なにこの犬の着ぐるみ!」

 「この商店街の新しいマスコットじゃねぇの?うちの父ちゃんが言ってたぜ!」

 「うわーかわいいー!」

 「ねぇ、お名前なんて言うの?」

 気がつくとトーコの周りには子供達が集まっていた。見たところ小学校に入ったかどうかの幼い、男の子2人と女の子2人の子供達だ。このうちの男の子の1人は面白がってか、トーコにパンチ、キックなどを浴びせている。

 「私?私の名前は・・・」


 トーコは少し間を置いて考える。


 「私の名前は高松トコ!トコちゃんって呼んで!って痛いよこのクソガキ!」

 ついさっきまでパンチ・キックを浴びせていた男の子にキレるトーコ。

 「わー怒ったー!!」

 「こら!トコちゃんをいじめちゃ駄目でしょ!」

 「ねぇ、トコちゃん、私たちと遊ぼうよ!」

 「・・・うん、何して遊ぶ?」

 「鬼ごっこ!トコちゃんが鬼だよ!」

 「え゛!?」

 「それ!逃げろー!」

 女の子がそう言った途端に、どんどん商店街の遠くへ走り去って行く子供達。トーコはその子供達を必死に追いかけるも・・・

 「ま、待って、この姿動きづらい・・・。」


 「ふふふ、頑張って下さいね!」

 その姿を遠くでほほえみを浮かべながら見つめるマコト。

 ・・・後で覚えていなさい。




 こうしてトコちゃんこと高松トーコの戦いは始まった。




 おわり


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