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地味スキル「ためて・放つ」が最強すぎた!~出来損ないはいらん!と追い出したくせに英雄に駆け上がってから戻れと言われても手遅れです~  作者: かくろう
21~30

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初心者ダンジョン


 今日の目的はダンジョン攻略。僕が初心者なので、まずは簡単なダンジョンで基礎的な知識を教えてもらうことになっている。


「さて、いよいよダンジョン攻略ね。昨日相談したけど、今日は私も接近戦で戦うわ」


「新しく覚えたスキルの練習だね。なら逆に僕は遠距離で攻撃できるように投擲中心で戦ってみるよ」


 昨日のうちに投擲用の手頃な石はたっぷりと集めてある。


 ☆攻撃回数を溜めても同じ分だけ消費してしまうので、確実に当てられるように命中精度の訓練をしよう。


 今日は数日後のギルド合同のダンジョン攻略に向けて訓練を行なう事にしている。


 ダンジョンは外の平地で戦うのとはやり方がまったく違ってくる。


 何しろ場所によっては地面から魔物が生えてくる事もあるのだ。



 外で出現する魔物との決定的な違いは素材が残らないこと。

 魔石が必ずドロップすることだ。



 ただし、外の魔物からドロップする魔石に比べると圧倒的に質が悪くなってしまうそうだ。


 だからこそ外の魔物でドロップ率100%の僕は、まさしく冒険者界のイレギュラーという事になる。


 まだギフトに目覚めてからダンジョンに入ったことはないので、どんな影響があるのか分からない。


「楽しみだね」

「うん。でも油断しないでね。外での戦いとは勝手が違うから」

「分かってる。頼りにしてるよリンカ」


「ふふ、任せて」


 そうして受付で出発の申請を行ない、町の東門から出る乗合馬車で入り口まで移動した。






「ここがダンジョンの入り口か」



 僕たちが最初にやってきた時に入ったのが東門だ。


 ここから南東に進むと魔の森の入り口がある。僕がマハルに殺されかけたのはそこから更に南南東に進んだ所だ。


 歩くと数日かかるけど、馬車なら1日ちょっと。


 ダンジョンの入り口には東門から出て北東に進み数時間で到着する。




 こういう移動にも段々慣れてきたな。


「よし、出発しよう」


 冒険者になってからは初めてのダンジョン攻略だ。油断せずにいこう。


 ◇◇◇


「はぁああああっ! たぁああっ」


 初心者用ダンジョンで出現するモンスターは一階層目でコボルトやゴブリン、強い所でもリザードマンやオオトカゲなどだ。


 戦力的には既に余裕で戦える。


 1人だけでやってもほぼ負けることはないほどだ。しかし相手は魔物。油断していいものではない。


「それっ、たぁああ」


「ギャゥ」

「ワオォオン」


 リンカはショートソードよりは短めのロングナイフを二刀持ちにして接近戦で午前の戦闘をこなしていた。



 先日目覚めた新しいスキル【野生解放】や【本能覚醒】を使うと、攻撃力が増して接近戦が楽になるそうだ。


 ただし、軽い興奮状態になるので繊細さは失われてしまう。


 弓を使う時のような精密な戦闘スタイルがなくなり、接近戦主体の荒々しい戦い方が主体になるみたいだ。


 それでも元来の命中率の高さと豊富な戦闘経験のおかげで、そんな欠点をまるで感じさせない。


「ふぅ……流石にちょっと魔物が弱すぎて訓練としては物足りないわね」


「うん。とりあえず1番奥まで行って、帰還石で戻るまでやってみよう」


「そうね。ボス戦も経験してもらいたいし、時間があったら帰り際に魔物を狩りましょう」


「オッケー。罠に気を付けながら奥へ進もう」


 そうして、罠の見分け方や解除方法のレクチャーを受けながら奥へと進み、ボス部屋へと到達した。



 といっても特筆すべきことは何もない。



 初心者御用達のダンジョンなのでボスも大した強さではないからだ。



 一応解説しておくと、ダンジョンというのは無限湧きスポットと同じで、世界に突如として出現する魔素の吹きだまりのような場所だ。



 集まった魔素の強さによってダンジョン全体の難易度が決まり、中で出現するモンスターはダンジョン独自のもので外の生態とはまるで違う。



 そして1番奥には必ず【ボス部屋】というものが出現し、強力なモンスターが待ち構えている。



 1度ダンジョンとして出現すると、コアを破壊しない限り無制限に再生し続けることになる。


 よってコアが設置された部屋への立ち入りは、国法によって制限されているのだ。


 つまりダンジョンそのものが国の資産ということだな。


◇◇◇



『ボモォオオオオオッ』


 巨大な体、巨大な腕、そして巨大な剣。

 


 ボスはコボルトロード。犬の頭を持った人間大の半獣型の魔物だ。



 獣人と違うのは理性がなくて凶暴性だけの生き物だってこと。


 いや、死んだら魔素に分解されてダンジョンに吸収されるため、生き物と定義できるのかは学会でも意見が分かれているらしい。


 でも人間もダンジョンで死ぬと吸収されて死体が残らない事から、ダンジョン自体が魔素を欲している生き物であるとする説もある。


「よし、分析が終わったわ。多分【ためる】を使わなくても十分対処できる強さよ」

「分かった。それなら能力は使わずに戦ってみるよ。ミスをしたらフォローをお願い」


「ええ。頑張ってね。油断はしてないと思うけど、気を付けて」


「うん、行ってくる」


 眷属のコボルトファイターやマジシャンを引き連れて襲い掛かってくる。


 しかし敵の強さは初心者ダンジョンだけあってそれなりだ。


「むぅんっ! たぁあ」


『ギァアアアアアッ⁉』


 ショートソードの一振りでバラバラになっていくコボルト達。それをみたロードの顔が覆いに歪んだ。


 ダンジョンの魔物でも相手の強さを脅威に感じるらしい。


 感情があるってことは意志があるってことか。まだまだ謎が多い奴らだ。



 そんな事を考えている間にロードは僕の剣閃でバラバラになり、戦いはあっという間に終了した。



「今日は空いてて助かったわね」


「ああ。ボスも肩慣らしにもならなかったし、早めに帰りながら道中のモンスターを探そう」



 ボスを攻略すると帰還石が出現し、地上の入り口まで運んでくれる便利仕様だ。


 どうしてこんなものが設置されているのかは分かっていない。



 今回僕は【ためる】を一切使わず、純粋な戦闘能力だけでボス戦に挑んでみた。

 

 結果は当然僕の圧勝。投擲用の石を使うまでもなく、剣技だけで勝つことができてしまった。


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