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——2

 ——


「病む……やむにやまれず病む……‼︎ 先に謝らせてくださいごめんなさいごめんなさいごめんなさいどうか、どうか何卒お話をお聞きください。不可抗力なのですっ。もぅ無理っ」

「——⁉︎ 一体なんでッ、おまえ‼︎⁉︎」



 直後、向こうも俺に気がついた。



「——〜〜っっつ。あっ、え? あ、あああなたはっ。——〈彗星の騎士団〉の……!」



 信じられない光景を見た。俺は思わず叫んだ——水着に着替えるための個室を開けると、その。まず下着姿の女の子がいた。慌てて周囲の気配を探ると、男子更衣室も混雑しているためか誰も気にしていないようだったが、女の子は下着姿で地面に土下座していた。

 しかも、その子は……パステルカラーの星と動物の髪飾りをつけたダーク系のピンク髪に、顔を上げると全く目を合わせて来ない——あの一度面接に来た巨乳の美少女、美海原莉玖みみはらりくだった。


「! ——」



 能力を、吸い込まれるような感じがした。

 莉玖のレベルは二〇〇を超えているので完全にではないがやや効きにくくなっているはず。

 しかし、今——。



「——出た。変態っ」

「は⁉︎」


 土下座し続けていた莉玖は急に体を起こすと、胸から下が半透明になった窮屈そうなワンピースの下着にぴっちりと詰め込んだ巨乳を抱くようにして、背中側の壁ににじり退いた。


「うわーぁ……見てる? あっ、視線が胸にきてるのわかるー……っ、見てるーぅ。っ、離れてくれない? えっ、っ、うわぁは‼︎⁉︎ な、なんで、あたし声に出してっ。心の中で思っただけなのに全部言っちゃ——‼︎⁉︎ あ、なっ、あああなたを知ってるのは動画を見たからですぅー☆ 声は聞いたことがあったし、こういう感じの顔ーって言ってたのとイメージぴったりだったので! ……ぇぇとっ」


 ——やっぱり、この様子は効いている。だがッ、隠し事ができなくなるなんて。なんて面倒な効き方を……ッ!

 ッ、動画。


「ガブリエル——ッ、ッッ。いや、そうじゃない。ここは男子更衣室だぞ⁉︎ 何故ッ」

「そうです。それ! 助けてください‼︎ 助け合いましょう! あたしっ、間違えて入って着替えてたらですねっ……下着になって、ドアを開けたんです。声がしたから、ほんのちょっと隙間を開けて『ああ、男子だなって——』。それでっ」

「もう一度着替えてすぐに出て行けよ⁉︎」

「違うんです! それでっ、着替えるのにドアを閉めようとしたら、犬がっ——」

「犬——⁉︎」


 からん、と床に赤い紐が投げ出されていた。紐は、首輪とつながった犬の散歩用のリード——。

 フワッと半泣き顔の莉玖が身をよじるたびに、ワンピースの下着の、布地の軽い半透明なところが揺れて翻った。その上、布を集めてギャザーになったパンパンに膨らんでいるバストのところに——擦れて、少しずつ硬くなった先端が朱色に透けてくる……。


「笑え……笑ってくださいっ。畜生を信じた結果が、この様っ。あたしが、一人でダンジョンに潜れるように買った犬は、ちょっとの隙間から逃げましたっ。あたしの荷物を全部持ってっ、ぅぅ」

「インベントリに荷物が全部入ってるのかッ」

「しかも、この個室は鍵がかからず。どうしようかと思っていましたが……神・降臨☆ おねっ、お願いしゃましゃしゆっっ——事務所NG! この話信じます⁉︎ ませんでしょう! 信じられないでしょう……事務所も、同じですっ」


 ——事務所⁉︎


「グラビアアイドルをやっているんです。こんな格好でここから出ていったら、絶対気づかれて拡散されます! そしたらっ、事務所はあたしを首にっ、っあ、安定収入が‼︎」


 こいつッ、意外と普通に金目当てのダンジョン攻略者か? レベル二〇〇まで、行ってるんだからたいしたものだが。


「お願いです。あたしを女子更衣室まで連れて行ってください!」

「どうやって‼︎⁉︎」

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