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5話:スイくん……雛のこと嫌いなんだ 1

 ◇


 そして、ついに——究極にまずいことが起こった。ガブリエルを止めることなんて、できるわけがない。問題は……俺が素顔を隠している。今まで一貫して隠してきたということ。

 それなのに。第七十八層のボスをたった五人で討伐した——〈彗星の騎士団〉の認知度が増え、俺を知った人間が端から能力にかかっていった(俺の能力は条件を満たせば間接・遠隔でも効く)結果、生じた人気を利用しようとしたガブリエルが俺を表に出した。


 今までずっと正体を隠してきたのに。

 層攻略報酬が億超え。

 そして、俺と同じく正体不明の咲に攻略の最前線が荒らされている今、この最悪なタイミングで——


「スイくんっ……⁉︎ 何でっ、何でっ雛のこと置いてくの⁉︎ やだっ。嫌だよ、一緒に行く……!」

「状況から考えて、おまえを連れていくわけにはいかないッ」


 突如として世界中に出現するようになったダンジョン——制御されて刺激的で無害なエンターテインメント化しているとはいえ、それは天災。何の対処もしなければ途方もない被害が生じるため、発生した場合周辺一帯はロックダウンされる。

 そして隔離された区域の中心には……はじまりの街が形成される。街はダンジョン攻略者たちのベースキャンプであり、各地に散らばる全てのギルドの本部へ通じるゲートが設けられた庁舎がある。


 劇場を思わせて芝居がかった足音の反響する、陰鬱荘厳な回廊——遥か高くにあるドーム状の天井には、夜空を透かして、星座を描いたステンドグラスが煌めいていた。薄暗がりの回廊を俺たちが行くと、到底邪魔にならない距離にいる周囲の人々が身を縮めて道を開けていく……。


「どう思う? ——誰かッ、意見をくれ」

「常識で考えなよ。ゴリラがやったことにしよう、知性を持ったゴリラが僕たちに擬態してやったと言い張ればいい。口裏合わせようか」

「正体不明のイカレた誰かに注目が集まってる時に、今まで顔を隠してた人が急に表に出だしたんだから。下手な自己弁護がばか丸出しね。『自分とそいつは別人です』って、疑われるために言ってるわ。本当にあきれたおばかさん」


 ※緋花は一瞬俺の方を見て、俺が見るとスッと目を逸らした。


 自枠の配信をスタートし——扉を開けると、段付きの床にギルドの名前が置かれたボックス席が並び、講堂に召集された代表者たちが一堂に会していた。天災であるため、主にダンジョン攻略が行き詰まったりした場合など、一定以上の規模を持つギルドの代表者は必要な他者を召集し会合を開くことができる。

 俺たちが入っていくと、出席していた一同が一斉に立ち上がった。


 ——

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