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プロローグ:※デレ方は人それぞれです。 1/2


 アニメみたいな恋愛がしたい。

 ……俺、白良彗星ばくらすいせいは空から女の子が降ってくるような、運命的な出会いから始まる恋を夢見ていた。そして、ある日。



 ——〈手続きは以上になります。ダンジョン攻略者としての登録を完了しました。おめでとうございます! 白良彗星さまは、望みの——〈祝福〉を一つ得て、攻略を開始することができます〉



 俺の望みが叶う……否、結果から言えば、叶うかもしれなかった日は突然やってきたのだった。

 ある日を境に世界中に現れた、ダンジョン。

 中は文字通りな感じの様相であり、そこから現れる凶悪な怪物と——〈未知の力〉を前に人類は一時パニックになった。しかし。


 ダンジョンに渦巻く——〈未知の力〉は、現代の技術で制御できた。大きな被害もなく騒動は終息。

 その後、資源に満ちたフロンティアとなったダンジョンを巡って、中を探索し怪物を掃討する〈ダンジョン攻略者〉が募集されるようになり、俺は応募したのだった(手続きはスマホ一台でいける)。



「——いいのか……? 俺がっ、そんな幸運に」



 システム化された——〈未知の力〉は制御され、今では魔法やスキルという形で攻略者に付与される。

 祝福とは、多くのダンジョン攻略者を集めるため、登録された数百人に一人の割合で付与される特別なスキルまたは装備品。端的に言えば——。


「だったら、俺をモテモテにしてくれッ‼︎ 俺の中で恋愛対象になる全ての女子がみんな、俺にデレデレになるようにしてくれ‼︎」

『——』


 俺がスマホで登録に必要な情報を全て入力した瞬間、端末がフリーズして、画面がブラックアウトした。

 そして、『登録が完了した』と言われた瞬間から画面には、選択可能な様々なチートスキルの一覧が表示されていた。『※一覧にない能力も選択可能です』、と注釈もあった。


 なのに、その時。変な間があったことは覚えている。



『本当に、それでよろしいですか……?』

「え?」



 画面の表示が切り替わった。


『……その祝福は過去に十九件選択されています。しかし、選択者の満足度は一様に低く、様々な面で困窮しています。はっきり申し上げるのなら——』

「えっ……?」



 ——このさきには、暴力的で、鬼のような、極殺難易度の攻略者生活が、あなたを待っています。

 それでも選択しますか?



『聖剣とか、おすすめですよ』

「……?」


 さすがに、俺は少し迷った。今会話しているのは神様などではなくダンジョン攻略システムを司るAI。感情や人格はなく、言ってくることの根拠は分析と統計情報。

 つまり——俺がダンジョン攻略者となった後のことも未来予測して提案してきている。だけど。


 ……もし、奇跡が起きて、アニメのような出会いができても、女の子に好きになってもらえなかったら。

 奇跡が起きても意味がないのが、一番辛いと思ったんだ。でも。今、あの時に戻れるなら俺はっ。

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