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倫理観の欠けたレべチ転校生認定されました

 緊張しすぎて胸が痛い。


 俺がしていないということを最悪バレてしまってもいいが、飯東の正体を明かすわけにはいけない。助けてもらっている立場なんだからな。


 

 ロリ巨乳に近づく。



 結界が壊れてしまう寸前だ。


 この結界が壊れてしまいそうになっているのは彼女が数十人を相手にできないというわけでもない。この子は学校の周囲にも結界を張っていて、さらにその中にもこうして結界を作っている。恐らく外の結界にも攻撃が仕掛けられているためだ。


 

「よ、よぉ」



 赤色の軍団がこちらを向く。




 俺は、あくまで淡々とした態度を崩さないようにする。



 どうだ、このポーカーフェイス。



「なんだあいつ、震えてないか」



「ふ、ふるえてなんかない!」



 そういっている声が身体に何か仕込んでいるのかというレベルに震えていた。本番に弱いタイプなのだから許してほしい。


 足ががくがくしている。


 赤色の軍団が明らかに興味を失い始めて、ロリ巨乳への攻撃を再開していく。


 

 ああ、まずい。




 こちらを向け。




 しかし、興味を失った後はこちら側を向く気配すら感じない。



 俺は、周りにあったものを拾いあげる。




 そして、






 それを、赤色の軍団に向かってぶちまけた。







 

 それは、白色のペンキだった。







 赤色の軍団の髪の色が、白色に染まっていく。





 あたりが静まり返る。



 音なんて存在しないかのように、誰も動き出さない。





 あれ?




 さすがにペンキを頭からぶっかけるのは失礼だっただろうか。という心配を抱きながらも、飯東と一緒に考えたサインで手を頭上に掲げる。



 誰も動かなくなった中、











 地面が消えた。








 足元がひんやりとしたかと思えば、その瞬間に氷が駆け上がっていくかのようにきれいに赤色の軍団だけが覆われていく。全身が覆われていくだけでも異常な事態なのに赤色の軍団がいる地帯だけが床から天井まで覆われていき、よく見れば天井を貫いて包まれている。




 赤色の軍団はペンキに塗られて呆然とした顔のまま、固まっている。



 いや、動くことが出来なくなっているのだ。



 あまりにも強力な魔力は暴力以外の何物でもない。






「いや、ここまでしてほしいって言ったわけじゃないんだけど・・・」





 ぼそりと、つぶやいた声は誰にも聞かれなかったようだ。








 これは間違いなく怒られてしまう。



 白色の人たちも、全く動かないままでいるのでそれをいいことにそのまま堂々と立ち去って、追いかけてこないことを願った。



 結局誰も追いかけてくることはなかった。




 俺はまっすぐにあるところまで歩いた。








「飯東!いくら何でも強すぎるだろ」


 どこでもいいから俺が見えるところまで行って座っていてくれという話に従ってくれていたようで、教室の中で一人座っていたベレー帽の少女に話しかける。


 

 話しかけると、びくりと身体をふるわせられる。



 

 いや、その反応をするのは俺のほうだろ?



「い、いや・・・あなた、何者なんですか」



「え?俺もしかして何かとんでもないことした感じ?とんでもない能力を見せつけてしまったのか?」



 こういう転生?に関しては、とんでもない能力を持っていたりすることがよくあることだろう。俺にはわからない何かをしてしまっていたのかもしれない。そんなことはないだろうと思っていたが、主人公の何かしちゃったかな?というのは本当のリアクションだったみたいだ。


 しかし、尊敬の目には見えない。


 どちらかというと、怯えているような視線。



「あなた、レッド学園の方に白色のペンキを書けるなんて・・・あまりにも非人道的すぎて、正直引きました」



「あー、やっぱりあの全身赤色だったり全身白色だったりって何かこだわりがあったりするのか?」



 変な格好だとは思っていたが。




 何気なく言ったことばだったが、




 

 彼女は、そっと微笑んだ。








「色の大切さにとらわれないという信条は、私は共感します。ですが、それを人に対して話をするというのは避けたほうがいいかと思いますよ」



「いや、実は俺は・・」



「?」



「別の世界から来たんだ」



 出来るだけ真剣な顔をして告げる。


 どういう風に説明したらいいのかはわからないため、それしか言えなかった。こういうのって転生したら隠したりするのがよくあるが、別に頭が痛くなるわけでも、誰かが死んでしまうわけでもないようなので正直に伝えた。


 信じてはもらえないだろうが。



 意外にも、彼女は冷静だった。



「なるほど。あなたは今はホワイト学園の格好をしているのでそういう風には見えませんが、他の世界から来られた方なんですね」


「受け入れるんだな」






「そのほうが理解ができることをあなたがしたからです・・・詳しいことは省きますが、この世界では色が何よりも大事にされているんです。他の学園の方の色を少しでも塗ってしまうというのはいくら非人道的な人間であっても躊躇をするくらいの、とんでもない行為なんですよ」



「それは、具体的にはどれくらいのことなんだ」





「そうですね・・・あなたの世界よりも考え方が大きく違っているようなので、詳しくは言えないんですけれど具体的に言うならば、例え残虐な殺人犯だとしても実行することが出来ないような恐ろしい行為をしたと考えていいでしょう



 あなたは転校生さんのようですが、友人を作るのは難しいと思ってもらったほうがいいと思います」





「思ったよりもやべぇことしてるな、俺!?」





「しかもあなたは私の魔法を発動したように見えているので、まとめると転校初日に他校の人間に対して道徳としてやばいことをした後に、とんでもない特大魔法をぶっぱなしてそのまま立ち去った頭のおかしいやつってことですね」



「終わった・・・」




「そこで、あなたがただの頭がおかしい人にならないようにするには実力さえあれば倫理観が欠けているけれど強い人になれます。そしてこの世界では強い人が、尊敬される世界です」


「なるほど」


「ということで、今回のように私の力を使って戦ってくれませんか。もちろんばれないように」


「それって君に何か得があるのか?」



「・・・私にしか得はないですよ。少しの間だけでいいんです。少しだけ隠すことが出来たならば、私もこの世界のために戦っていく決心がつくので」



 そう寂しげに語る少女を見ると、俺に拒否することはできなかった。





 俺は、よくわからないまま首を縦に振った。



 この決断が俺の人生を大きく変えることになった。






























読んでくださってありがとうございます。

よかったらレビューや感想、ブックマークをよろしくお願いします。


ベレー帽かわいいですよね

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