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兄の帰宅と若い男の子

 結婚式の翌日はきっと甘いものなのだろう。

 ベッドに閉じこもって朝ご飯なんか忘れてしまう、そんなぐらいに。


「ティナ、皿を出して。」


「もう用意してある。レモンバターも出来たし、パンも焼けている。あとはあなたのポーチドエッグをこの薄切りパンのカリカリトーストに乗せるだけだわ。」


 私は小麦色に焼けたトーストにレタスサラダを添えた皿をダンに差し出した。

 彼は鍋からポーチドエッグを取り上げると、その綺麗な楕円の玉をトーストに乗せた。


「まあ、素敵!私の大好きなポーチドエッグを作れるのはあなただけね。」


「では、墓石に刻んでくれ。最高のポーチドエッグを作れる男って。」


 私は肩でダンを突き、ダンも私に体をぶつけた。

 結婚前と変わらない私達の朝食風景だが、私に体をぶつけた途端にダンは体を硬直させた。


 まあ、顔まで真っ赤になっている!


 昨夜はせっかくだからと宅配を取り、それをつまみながらホームシアターで映画を見たのだが、私の真横でシャンパンを飲みながらくつろぐダンに、私は映画なんかより夢中になっていた。


 だって、いつもよりもダンは饒舌で、私に色々話しかけてきて、私の好きなものとか改めて聞いてくれたりしたのよ。


 知っているじゃない?え、知らなかった?いいえ、知っていたのね!

 俺が間違って記憶していなくて良かったよ。

 間違っていたら酷い目に遭わせるでしょう。


 いつもと変わらない会話かもしれないけれど、なんとなくいつもと違うし、いつも以上にダンが優しくて素敵だとほんわかしたのだ。

 でも、キス一つしてくれなかった。

 契約結婚だから仕方が無いにしても、私にはそんな魅力なんて無いのだろうか。


 それでの今日の格好だ。

 私はブラジャーをしていない。

 そして、いつもはTシャツだけど、今日はレースのついたグレーのキャミソールなのである。

 さらに、長ズボンのカットソーパンツでもなく、お尻ギリギリ丈のショートパンツ。

 ダンが固まったのは、ええと、私の身体に意識してくれたからよね。

 大人の身体になっているってわかってくれた?


「おはようございます!ええと、ジュスラン先輩を送ってきました。」


 リビングの戸口に見慣れない青年、ベージュ色の髪色と菫色の瞳をした、私と同じぐらいの年齢に見える人が兄を肩によりかからせて現れたのだ。

 ダンはそれで固まってしまったのね。

 あんな風になった兄の介抱は、いつもはダンの役目だったのだもの。

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