私はあなただけが欲しい
ダンは私に問いかけた。
自分が子供を作れない男だったら離れていくのか、と。
「そんな、そんなはずないでしょう!私はあなただけが欲しいもの!あなただけしか見ていなかったもの。子供が欲しいからあなたと結婚するんじゃ無いもの!あなたと結婚したいだけだもの!」
自分が叫ぶようにして答えた言葉、その言葉を聞きながらダンの表情が世界を手にした覇者のような笑顔に輝いていったことで、私はこの言葉こそダンが私に抱いていた言葉であると思い知った。
最高の喜びに打ち震えながら。
彼は本当に私だけで、私だけしか見ていなかったのだ。
兄への愛は親友や家族愛そのものでしかなく、私への愛こそ恋人に捧げる愛そのものだったのだ。
彼の唇が自分の唇へと降りて来た。
優しく柔らかい彼そのものの唇なのに、私を落ち着かせながらも私の中を掻き立て燃え立たせようとする彼の存在そのもののキスだ。
私は彼の愛撫を受けいれ、そこでどうして今日が女の子の日だったのだろうと、ズキンと痛む下腹部を恨めしく思う気持ちが湧いていた。
今すぐに彼にされたいって、私の性欲こそ私の中で激しくうねって渦を巻いているのだ。
「すごい溜息。俺は下手かな?」
「違う。あなたとしたいのにできないって悔しいの。友達みたいにピルを飲んでいれば良かった。そうすればコントロールできたのに!」
「ぴ、ぴ、ぴぴぴる、だ、だ、だだだ?だ、誰!そんなものを飲んで君にそんなことを教えた友人は!」
「あら、女学校の子達よ。女学校の子たちは近くの士官学校生達にモテるの。彼のいない子は私ぐらいだったから、ええと、意外と、その、どうやるかの話とかは、あの。」
ダンは私を抱き締めていた腕をぱっと話すや、両手で頭を抱えて叫び出した。
「畜生!女学校だから安心だと思っていたが、一番危険な学校だったのか!ジュリアンが一番安全だと太鼓判を押してくれたというのに!」
私は兄が三者面談をダンに押し付ける理由を今理解した。
ダンの姿を見た士官学校生達が、ダンの庇護下にある私に手を出せるだろうか、と。
軍服を着た彼は外では眼光鋭いどころの話ではない。
「ジュリアンは最高の兄だわ。私達がおじいちゃんおばあちゃんになって、その時に兄が一人だったら三人で老々介護し合わない?」
「バカだな、君は。そんな事を言っていると、俺とジュリアンの二人のオシメ交換が君の役目になるぞ。君が一番若いんだからね。」
私はぷっと拭き出して、でも、ダンのオシメを交換するところを想像して、それがオシメでも何でもなくて今の若いダンが下半身を丸出しにしている映像でしかなくなった。
「ええと、練習してみてもいい?」
「練習って何を?」
「あなたのパンツを脱がす事?」
ダンは真っ赤になって顔を覆い、駄目、と弱々しく答えた。
「お願い。君の生理が終わった時、絶対にホテルでもどこでも取るから!高級な食事も何でも用意するから!お願い、これ以上俺を虐めないでくれ!」
「ダン?」
「俺は性衝動が抑えられなくて、ああ、眠っている君をどうかしそうで。俺は徹夜で部屋を片付けて衝動を解消していたんだよ。」
ダンが私の隣にいなかったのはそういう事かと、私はダンに腕を回して抱きついた。
「一週間後に!その日がだめでも大丈夫よ!私達はずっと一緒の時間があるのだもの!」
「いいや。その一週間後は必ずキめる。一週間後だったら平日でも大丈夫か?」
「生理が終わればいつだって大丈夫よ。」
ダンは再び私にキスをしてくれたが、そのキスは一週間後を今すぐにしたいくらいに、やっぱり私を掻き立てて離さない素敵なものだった。
お読み下さりありがとうございます。
これは実はムーンライトの方でお兄様が主人公の話を考えておりまして、その設定を考えている最中にこちらの方が形になったので先に投稿させてもらいました。
お兄様の話は、お兄様の副官メイヤーがお兄様を追いかけている、というものになります。
同じ蔵前で投稿しておりますので、もしよろしければ覗いてくださると幸いです。




