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温かい腕の中

 男の人の何もしない、は、最後までしないからというだけの意味だったようだ。

 ダンは私をベッドの中に引き込むや、数十分前に行っていた行為の続き、私の身体の形や硬さを確かめるという行為をし始めた。


 どこが感じやすいかの探索も。


 恥ずかしいが異論など無い。

 私自身月のものが無ければ最後まで行きたいと望んでいたのだし、この行為こそ最後までできなくとも彼が私を触れたいのだという証拠ともなるのである。


 そう、私はダンにとって特別なのだ。


 抱きしめたい女であるのだ。


 私も彼の身体に手を伸ばし、硬い胸板をなぞり、背中の肩甲骨の動く様を触診したり背骨の数を数えるという風に探索していた。

 ダンは急に脱力した様に私の上で潰れ、そして肩を震わせて笑っている。

 とっても重い彼であるが、この重さを感じる事が何でこんなにも幸せな気持ちにさせるのだろう。


「あの、くすぐったかった?」


 すっと重さが消えた。

 彼は私を潰さないように体の体勢を再び変え、そして、とっても幸せそうな笑顔で私を見下ろしていた。

 ダンが眼光鋭いだけの男だって、誰が言った?

 ものすっごくたれ目になって、彼は今すぐに溶けてしまいそうな顔をしているじゃ無いの。


「いいや。君が俺に触れてくれるのが嬉しくてね。君は俺を怖がっていない。それどころかこんなにも俺に興味を持ってくれているって証拠だ。」


「私はあなたの事ばかりよ。」


「ハハハ、君は!俺も君ばかりだ。」


 私は彼をぎゅうと抱きしめた。

 私の勢いが大きかったのか、彼はそのまま仰向けとなり、私が彼に覆いかぶさる形となった。

 いいえ、彼こそ私の身体を支えながら転がった張本人だ。

 ダンは自分の思い通りの体勢になった事ににやりと微笑み、私から手を離してその手をぱたりとシーツに投げだした。


「さあ、俺は君のものだ。俺に君のしたい事をしてごらん。」


「まあああ!」


 私は何も考えずに、裸のダンの胸に頬ずりをした。

 滑らかな肌は固くしまった体には似つかわしくない程に柔らかく、いいえ、いつだって優しいダンそのものなんだと私はうっとりした。

 ダンの心臓の鼓動は力強く、これ以上ない安心と温かさを私に与えてくれる。

 私の髪を優しく弄ぶ手も優しく、私は昼間のエステの時よりも快感をその手に感じさせられていた。


「あなたは、なんて、なんて、温かくて素敵なの。」

 

「うん。君には最高の布団みたいだね。」

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