俺の真実
俺は愛し合う相手としか行為をしたくはない。
それを口にして、それが俺の中での絶対的な決め事だったのだと気が付いた。
俺が高校時代に付き合った女性と続かなかった理由、それは彼女達が俺と愛し合っていなかったから。
当時の俺はフットボールのキャプテンだったり、学問の成績がトップなために、校内で勝手にキング扱いをされていた人気者でもあった。彼女達はそんな俺と付き合いたいだけでしかなく、俺という個人を見てはくれなかった。いや、本当の俺を知って離れていっただけであろう。
俺の実際は汗臭く走り回るよりも木陰で本を読みたいし、食べたければ自分でケーキだって焼いてしまう男なのである。スポーツで必死に戦果を積み重ねていたのは、貧乏な家の子供の俺が勉強を続けるための純粋な手段でしかなかったのだ。
ティナといて心が安らぐのは、彼女と一緒の時には俺自身でいられたからであろう。
ソファに並んで座って本を読み、勉強を教えてやり、そして、一緒にご飯を作る。
彼女が望むのは野獣ではない父親か兄のような存在だ。
そんな彼女は居場所を確保するために契約結婚を持ち込んだ。
俺が性欲を出して行為を望めば、きっと彼女は俺を繋ぎとめるためにと簡単にそれに応えるだろう。
それで性欲に流されて行為をしてしまったら、ティナにとってはレイプになってしまうのではないのか?
「あの、私は、あの。」
俺を見つめるティナは恥ずかしさで一杯というさらに俺をそそる表情をしていたが、俺は彼女が生贄の乙女よろしく俺に身を投げ出す前にと掴んでいた彼女の手をようやく手放した。
「ごめん。」
「ごめん?」
俺の謝罪にティナがぞっとした表情を顔に浮かべたのは、俺が彼女に襲い掛かると勘違いしたからか?
それならば、もう一度関係を元に戻そう。
俺達は兄と妹に戻るんだ。
「ごめん、ティナ。俺はそろそろ仕事に行かなきゃいけない。君はこれからもこの先も無理しなくて、いや、無理しないで欲しい。俺達は互いに好きになった相手が出来た時には解放し合おうという約束だろ。今まで通りにしよう。それで君は大学の勉強を頑張りなさいな。」
俺はいつものようにティナの頭を撫でようと手を伸ばした。
ぱしん。
ティナは俺の手を振り払うどころか俺の顔に柔らかい肌色のものをぶつけ、俺がそのぶつけられたものに目を白黒させている間に自分の部屋に駆け込んで行ってしまった。
俺の手の中には、脱ぎ捨てられて丸められたストッキング。
そして心の中には、ティナが初めて見せた泣き顔が残った。




