男はストッキングが好きな生き物
玄関を出ようとしたそこでティナが悲鳴を上げた。
自分の事しか考えていなかった俺のせいだ。
俺に突き飛ばされたことで、彼女が床に転んでしまったのである。
慌てて彼女を抱き上げてソファに運んで横たえてみたが、彼女のひねった足の具合を確かめるのはストッキングは邪魔なものでしかない。
ストッキングを脱いで。
そのたった一言が言葉にならず、俺は彼女の前でどもるだけだ。
しかし、お姫様抱っこが好きなお子様な彼女であり、六年間俺と過ごして来た阿吽の呼吸も持っている彼女なのである。
どうぞと言って俺に足を持ち上げて見せた。
タイトスカートは腿にまでめくれ上がり、そのせいで彼女の張りのある美しい太ももを見せつけた。
ありがとう。
俺は君が履いていたストッキングが、パンティストッキングなのかガーターなのか悩むことは無くなったよ。
ハハハ、パンティ部が無いガータータイプストッキングだよ。
このタイプはストッキングを履いた後にパンツを履くんだから、パンツ脱がなきゃストッキングが脱げないじゃないか!
「大丈夫?ダン!一体どうしたっていうの!」
俺を心配するティナの声。
ああ、俺は顔を両手で覆った姿で床に転がっていたのか。
そうだな、床に転がって横になっていないと、ティナに俺の恥ずかしい状態を知られてしまう。
俺は今の状態のまま大きく息だけ吐き、それから出来うる限り平静の声を出すべく努力した。
彼女を脅えさせてはいけない。
これから話す内容は彼女を脅えさせてしまうのだから。
「ティナ。足の状態を見たいからストッキングを脱いでくれるか?俺はええと、この状態で君が脱ぐ所から目を逸らしているから。」
「あ、ああ!そういう事ね!まって、でも、ええと、あの、ここで、これを脱ぐの?」
「君の言いたいことはわかる。俺はそのストッキングがどういうものか知っている。だから、俺は絶対に君を見ないようにこの状態でいるから、気にせずに脱いでくれ。」
彼女は息を吸うとそのまま沈黙した。
その沈黙の中、俺は自分がいたたまれなくなっていっていた。
軍人らしく仁王立ちして彼女に背を向けている、という事をなぜしなかったのかと自分を責めてもいた。
仁王立ちして背を向けてのその台詞ならば少しはサマになるのに、今の俺は床に転がって顔と下半身を手足で隠しているという間抜け状態なのだ。
「え、えと。脱いだわ。それで、足の状態を見てくれるの、かしら?」
早い!
俺は体勢を立て直していない!
違う!
体勢を立て直せない状態なのに!だ。




