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たりない人たち  作者: なんじゃかんじゃ
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憩い

新島がピアノを始めたのは5歳の時だった。

両親は新島が中々言葉を覚えないことに疑問はあったものの、医者から幼児期に後遺症の話しをされていたので心のどこかで納得はしていた。

万が一、これからも言葉を覚えられなければ、自分たちの息子は友達とコミュニケーションが取れない。そう思った両親は言葉を必要としない音楽の道を進めるようにした。


最初は音の鳴るおもちゃのように扱っていたわが子が、日に日にそれらしくなっていくのが楽しかった。

新島も夢中でピアノを弾いた。才にも恵まれ、ピアノを始めて3年目でコンクールへ初出場した。


新島のピアノの音は、新島の感情そのものだった。

初めてのコンクールで緊張感や高揚感、演奏を続けていく上で徐々に上がっていく躍動感。

引き終わった後は、大歓声に包まれていた。


生まれて初めての出来事だった。

自分が産み出した音で人の感情を動かすという経験。新島にとって、ピアノを弾いている瞬間は憩いの世界へ没入しているのだ。


学校ではいじめに遭おうと、集団生活に慣れなかろうと、新島にはピアノがある限り苦では無かった。

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