宿屋
投稿が遅くてすみません!!
できれば週一で投稿したかったのですが。。。
書くのが楽しくなってしまい、気付いたら文面めちゃくちゃで直すのに手間取ってしまいましたw
一応誤字脱字気をつけたのですが、まだある思います~_~;
それでも読んでくれたら嬉しいです!!
よろしくお願いします!!
心地よい風が頬を撫で、太陽の光が優しく体を包み込む。まるで春先のような陽気にこのままずっと寝ていてしまいたくなる。
許されるならすっとこのまま寝ていたい。あんな辛く厳しい現実など忘れて永遠に。
(我が人生に一片の悔いなし…
…あれ、確か今って冬なんじゃ…)
違和感を感じ、この心地よい眠気から無理やり目を覚まし、体を起こした。
「どうなってんだ、こりゃ…」
俺の前にはとても信じられない光景が広がっていた。
辺り一面に広がる綺麗な草原、その奥に深そうな森。
どう考えてもさっきまでいた自分の部屋では無い、それどころか生れ育った日本でも無いだろう。
日本はクリスマスシーズン、真冬の時期だ。
俺は頭を無理やり動かし、今の状況を整理した。
まず一つ、最後に見た光景は自分の部屋でみんなとゲームをしていた。
二つ、風呂に入って戻ってきたらハルトに変なアプリを薦められて、みんなんで始めた。
三つ、そのアプリの最後に出てきたあのダイアログボックス
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こちらの世界を破棄し、あたら世界へ転生しますか??
Yes/No
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それを押したら意識が朦朧として気を失った。
四つ、目を覚ましたら見た事もない場所で寝ていた。
「…全く分からん、何がどうなってんだ??
ていうか、あの時みんなにも同じとこが起きていたような気がしたが…
もし起きてとしたら何処にいるんだ??」
俺はあたりを見渡した。
さっき起きた時には気づかなかったが、森から川が流れており、その川は森と反対に位置する町らしき方に流れたいた。
「とりあえず、向かうならあそこか
言葉…通じるといいけど」
俺は不安を抱えながら村に向かった。
もし、みんなこんなわけの分からない世界に飛ばされているなら早くと合流したい。今となってはハルトのあのうるささも恋しい。今ならどれだけ騒がれても許せる気がする。
しばらく街の方に歩いていると前方に小さな石があり、そこに人が座ってるのが見えた。フードを被っていて、遠目からでは男性か女性かも分からない。
(良かった、とりあえず人に会えた
後言葉が通じるかだけだな)
俺は少し早足になりながらその人影に向かった。走っても良かったのだが、もし言葉が通じなかったら変質者の烙印押されてしまうかも。そうなったら近くのあの町にさえ入れてもらえなくなってしまうかもしれない。
考えすぎかも知れないがもしそうなってしまったら、みんなを探すどころか食料も調達できずに俺が飢え死にしてしまう危険もある。それだけはどうしても回避しなければならない。
しばらく歩き、その人影に近づいて後ろから見ると小柄な女性のようだった。
俺はいろいろな不安を抑え込みながら恐る恐る声を掛ける。
「あの、すみません。」
「え??」
振り返ったその女性はとても綺麗な顔をしていた。胸のあたりまで伸ばした髪も綺麗で、艶々しており、目は若干吊り上っているが何処となく優しく、唇は薄くてアヒル口で、男を虜にするような顔立ちをしていた。
俺はあまりの美貌にしばらく固まってしまった。目の前の美女は何処か嬉しそうにこちらを見ていて、その笑った顔もまた俺をさらに硬直させる。
「その声、スイさんですか!?」
「え??」
俺の名前、それを聞いた瞬間に俺は硬直から解放される。
俺の名前を知っているという事は先ほどまで一緒にゲームをしていた仲間以外ありえない。それに、俺は目の前の女性の声を聞いたことがる。
「もしかして、ナナ、なの??」
「そうです!!
良かった、私だけこの変な世界に送り込まれてしまったのかと…」
ナナは嬉しさのあまり、泣き出しそうになっていた。そりゃそうだろう、先ほどまではいつもの日常と変わらず過ごしてきていたのに、目が覚めたらこんなわけの分からないとこに飛ばされているのだから。しかも女性一人でだ。
知り合いが現れたら嬉しくて堪らない。現に俺も今ものすごく嬉しいのだ。たった数分かも知れないが不安で孤独だったのだから。
だが今は出会えて嬉しい押さえつけ、自分たちの現状把握をしなければならない。
それとナナがここに居るという事は他のみんなもここにいる可能性が高い、他のみんなの安否の確認を把握しなければならない。
「他のみんなは??」
「すみません、ここ3日探し回ったのですが、会えたのはスイさんが初めてです…」
ナナから聞いた情報に俺は驚きを隠しきれなかった。
「え、3日??」
(俺は確か先ほど目が覚めたばかりのはず…
3日経っているってどういうこことだ…
それに、そんなに探し回って俺だけって…)
「はい、私はあの町の近くに倒れていたらしく、町の人に助けられ…
それからというもの、毎日日が暮れるまでみんなを探し回っていました
もう3日も経って誰も見つけられずにいて、私以外誰もいないのではないかと絶望しかけてたところにスイさんが現れてくれたのです」
「…」
「どうかしましたか??」
「いや、なんでも無い」
俺はついさっき起きたということをナナに伏せた。今ここで余計な不安を与えるべきでは無いと判断したからだ。
「とりあえず、あの町に人はいるのかな??」
「はい、私に宿や衣類をくれたりしてくれました」
そういうナナの格好を見ると確かに日本ではまずしない服装をしていた。まるで一昔前の衣類とでもいうのだろうか。とても簡易的な作りだ。
「ナナはあそこの町で何か聞いたりした??ここが何処でどういうところなのかとかさ」
「いえ、特には…
でも、村の名前は聞きました。確か『ドラニエ』だった気がします」
「そうか、とりあえず、そこの村に行ってもう少し情報を集めたいね
何か有益なことが聞けるかも知れないし」
「わかりました。私も町長さんにご報告をしなければならないので」
「報告??」
俺が疑問に思って尋ねると、ナナは少し気まずそうに答えてくれた。
「あそこの町長さん、少し変わった方でして、いろいろお世話を焼いてくれるのですが
何かやったり、何かをするとなると許可を取ったり、報告しなければいけないんです」
「何かって??」
俺は何故か穏やかじゃない雰囲気を感じ取り、話を掘り下げた。
「いろいろです。
庭に花を植えるとか、自分の家で宴会をしたり、
それこそ私がしていたように、人探しなど。
町の出入りはまぁ、何となくわかりますが、個人の行事、誕生日会などまで、いろいろ報告をしなければいけないみたいで。
まるで監視されてるような感じで…」
「昔からのしきたりとかそういうのじゃなくて??」
「いや、今の町長さんになってから見たいです。
しかも、女性絡みになると余計うるさいらしくて…」
「なるほどねぇ、まぁ、なんにしても、あまり長居するとこじゃなさそうだね」
まだこの世界に来て何もわかってない状態でここの住民と揉めるのは避けたい。後々響くかも知れないし、何より、調べなきゃいけないことが山ほどあるこの状況で面倒ごとを増やしたく無い。
俺とナナは町へ向かって歩きはじめた。
町の入り口には簡易的な門があり、俺らはそこで簡単な検問を受け中に入る。
町の中に入る頃には、辺りは薄暗くなっていて町には灯りがつき始めていた。
「すいさん、こっちです」
俺はナナに案内されてまずナナがお世話になっている宿屋に向かった。
門からしばく進んでいくと噴水のある広場があった。その噴水の周りにはいくつも屋台があり、人がごった返してた。
「ものすごい人の量だな…」
「ここは海辺にある街で貿易が盛んらしいんです」
「貿易か、町長の件がなきゃ、しばらくここを拠点に動きたかったな。」
俺らは再び歩き出した。宿屋は町の中心部の広場から北部にある住宅街の方にあるらしい。
広場からしばく歩き宿屋についた。
宿屋の名前は『シャボン』。
俺はそこで初めて気づいた。いや、この街に入ってからの違和感にやっと気付いたのだ。看板の文字が読める。
「驚きですよね」
ナナが言葉をかけてきた。かつて自分も同じ経験をしたからだろう。
「どうして読めるんだ、完全に知らない文字のはずなのに」
英語でもロシア語でも無い。地球では多分存在しない文字なのにまるで日本語を読むかのようになんの不自由もなくスラスラ読めるのだ。
「そこは私にもわかりません
ですが、言葉も文字も何不自由なく読めて、使えるみたいです」
「いや、確かにありがたいが、怖いな」
「わかります
ですが助かる事には変わりないですからね」
ナナも俺と同じように複雑そうな顔をしていた。
「…とりあえず、中に入る??」
「はい」
俺は何かを覚悟したように宿屋の扉は開け、中に入る。
カラーン。
「いらっしゃいませー」
来客を知らせる鐘が鳴り、奥から慌てたように人が出てきた。多分ここのオーナーだろう。
宿屋の中の作りはペンションの受付の様な簡易的でカウンターが一つあるだけで案外さっぱりしていた。
「あら、ナナちゃん
おかえり!!今日は早いね!!
ん??後ろの人は??」
受付の奥の部屋から出てきたのは中年の男の人だった。
「ただいま帰りました。
こちらは、私が探していた仲間の一人のスイさんです
スイさん、こちらこの宿屋のオーナーでサフィンさんです」
ナナが軽く紹介して俺とサフィンさんはお互い顔を見合わせ、自己紹介をした。
「はじめまして、スイと申します
よろしくお願いします」
「あー、そんな硬くならなくていいから!!気楽に行こうぜ
俺はサフィン、サフィン・イリアってんだ
スイもしばらくここに泊まるだろ??よろしくな!!」
サフィンさんは顔は爽やかだが、ガタイがよく声もデカい、宿屋よりも大工などの職人って感じの人だった。
サフィンさんは快く俺を受け入れた。
「お世話になりたいのは山々なのですが、俺持ち合わせがなくて…」
この世界に来て数時間の俺にこの世界、この国の通過など持ち合わせてない。
「ははは!!
大丈夫だ、金がないならうちで働けばいい
ナナもそうやって日銭を稼いでるからな!!」
「良いんですか??」
「全然かまわない!!
これから忙しくなる時期で人でも欲しいからな!!」
そう言われて俺はありがたくここで働くことにした。
その日はここに来たばかりで疲れてるだろうという事でしばらく寝泊まりで貸してくれる2階の部屋に案内され、夕食が出来るまでゆっくりするように言われた。
案内された部屋の中は装飾品など無く、ベットと机と椅子、それからちょっとした着替えや小物を入れるための小さい棚があった。
俺は今日1日の事を思い返し、ため息をつきながらベットに腰をかけた。
仕事が終わっていつものようにゲームして、風呂はいって、風呂から帰ってきたらハルトに変なアプリ勧められて、起動したらこの世界に来ていた。
いくら考えてもどうしてこうなったか訳が分からない。
俺はまたため息をついた。
とりあえず今やるべきことは自立を目指して仕事して、それからみんなの事を探さなくてはならない。
残り4人、ナナから聞いた話だと俺とナナとではこちらの世界に来てから数日のズレがある。場所も少しズレていた、みんなももうコッチに居るのか。もし居たとして、この近場なのか。
ここが地球みたいに丸かったとして、真逆の場所に居たら合流するまで何年かかるか…いや、下手したら合流出来ないかもしれない。
考えれば考えるほど頭が痛くなる感覚に襲われる。
コンコン
物思いにふけこんでるとドアからノックの音が響いた。
「はい、開いてます」
ガチャ
ドアを開けたのはナナだった。
さっき別れてからそれほど経っていないのにどうしたのだろう。
「スイさん、サフィンさんが夕食を作って下さったので良かったらみんなで食べませんか??」
もうそんな時間か。
「うん、すぐに行くよ」
とりあえずは、自分の事を優先していこう。
みんなを探すにしてもまずはこの世界の事、それから探す旅に必要な資金の事。
先にこの2つをどうにかしないと話にならない。
階段を降りて先程サフィンさんと会ったカウンターを過ぎると奥の方に小洒落た食堂が見えた。
いくつか並ぶテーブルの奥にサフィンさんとその他に3人座っていた。
「おう、やっと来たな!!」
「お待たせしてすみません」
俺とナナは少し急ぎながら席についた。
「スイ、紹介する。こっちが俺の妻のジュリーだ」
サフィンさんが妻だと紹介してくれた女性は柔らかい雰囲気の女性で、タイプはサフィンさんと真逆というのが第一印象だった。
「はじめまして。あなたがスイ君??これからよろしくね」
「すみません、お世話になります。よろしくお願いします」
「そしてこっちが俺の子ども達で長女のエマと長男のセロフだ」
「よろしくね!!」
「よろしくお願いします」
みんな人当たりが良くて接していてとても心地よかった。短時間でここまで人に対して好意というか安心感を持ったのは生まれてはじめてだった。なんというか、さすが客商売という感じだ。
「改めて、スイと申します。いろいろご迷惑かけると思いますが、よろしくお願いします」
その後、俺たちはいろんなことを話した。
俺たちふたりの事は記憶は無いが仲間の事を覚えているという、何とも苦しい言い訳をした。
しかし、サフィンさん達は何も聞かずに
「そうだったのか、大変なことになってしまったな」
と、話を受け入れてくれた。
次にサフィンさん達は自分たちの事を話してくれた。
サフィンさんとジュリーさんは結婚25年で2人でこの宿屋『シャボン』を経営している。
『シャボン』はサフィンのおじいさんが創業してこの街ではなかなかの老舗らしい。
そして港町だけあってお客さんも良く入るから儲かるとサフィンさんは笑って話していた。
エマとセロフは俺より年下らしく、エマが23歳でセロフが21歳らしい。
エマはお母さん譲りの柔らかい雰囲気の持ち主で、すごく可愛らしい女性という感じだが、性格はお父さん譲りのおてんば娘、セロフは、喋らなければクールな顔つきの子なのだが、中身はお母さん譲りの大人しく、柔らかい雰囲気が滲み出る。
そして2人とも今は冒険者になる為、学校へ通ったり、冒険の資金を集めるためにアルバイトや宿屋の仕事を手伝ったりしているらしい。
その話を聞いて疑問に思ったことを聞いてみた。
「冒険者になる為には学校へ行かなければならないんですか??」
「いや、そんなことは無いんだけど、長期間外で過ごすってすごい危ないじゃない??
モンスターや盗賊とか色々居るし。
だから体術や剣術、魔法とかを少しでも学んでから冒険者になりましょうって事!!」
「戦う方法だけじゃなくって食べられるものや薬草とか、旅で必要なことも教えてもらえんです。」
俺の質問にエマが即答し、セロフが補足してくれた。
俺は今の話を聞き、また思考の波に飲み込まれる。
この世界にはモンスターが生息する。
そして、その様な学校があるってことはなかなかの脅威なのかもしれない。
どの位の種類のモンスターが居てどの位の脅威なのか、それと仮にゲームみたいにそのモンスターの素材を売れたら旅の資金にできる。
そして、魔法。
これはすごく重要なワードだ。
気になるのは誰でも魔法が使えるかどうか。
もし使えたとしてどの程度自分の魔法がモンスターに通用するのか。
みんなを探すにあたって魔法を習得出来るのと出来ないのとでは大違いだ。
何としても物にしたい。
そのためにはまずお金を貯め、本を買うなりして魔法について調べなければならない。
あまり時間をかけられない。他にもっとっ手っ取り早い方法は無いものか…
「すいさん??」
思考の波のまれた俺をナナが引き戻す。
「どうかしました??」
「いや、ちょっと考え事してただけ」
人前でここまで考え込んでしまったことに少し恥ずかしくなりながら笑って答える。
「夕食も済んだことだし、疲れもあるだろうからもう寝なさい。」
「はい、ご馳走様でした。」
…
みんなが俺たち二人を見ている。
何かまずいことをしたのだろうか。
「何それ??」
エマに指摘されて初めて気づいた。
俺とナナはいつもの癖で両手を合わせて頭を下げていた。
あらー…やっちゃった。
心の中で後悔してももう遅い。
どうしようかと悩んでいるとナナが
「自分たちの国の習わしだと思います
体に馴染んでいたのでしょう
自分でも少しびっくりです」
ナナに助けられた。
その話に便乗してその場を乗り切ろうとした。
「俺もびっくりです
言われるまで何も違和感を感じなかった」
「へー、面白いね!!
あたしもやる!!」
「何か頂いた命に対して最大の敬意を示してる見たいね」
エマとジュリーさんが楽しそうに話して、俺たちの真似をし始めた。
そして次にサフィンさんとセロフも。
今まで特に気にして無いでやっていた行動がここまで賞賛されると嬉しいものがある。
俺とナナは顔を見合せ笑った。
食器を片付け、テーブルを拭くなど、片付けを一通り手伝ってから俺たちふたりは自分の部屋に戻った。
仕事の内容は明日サフィンさんから詳しく話してくれるらしい。
倒れ込むようにベットへ横になる。
今日は疲れた。
いつも以上に驚きやら恐怖やら、ほんとに色んなことが起きた。
だけど今日の最後にあの家族に出会えてほんとに良かった。
楽しかった。
久しぶりに人とご飯を食べ、久しぶりにあんなに笑いながら喋った。
元いた世界よりもあの瞬間だけはすごく充実していた。
そんなことを思いながら俺は眠りについた。
どうでしたでしょうか!!
楽しんでいただけていたら嬉しいです^^
おかしいとことかまだまだあると思います。
コメントで教えていただけたら嬉しいです~_~;