宿屋での善行
「67銅貨か。これが多いか少ないか…」
前世の世界と比較ができない分、謎だ
「コトミさん…お金関係の情報教えてください!」
コトミさんは小さく頷いた
「この国での通貨は1銅貨が最小単位です。
10銅貨で1大銅貨
100銅貨で1銀貨
1000銅貨で1大銀貨
生活上は大銀貨である程度賄えます。
ちなみに
10000銅貨で1金貨
100000銅貨で1大金貨となっています。
平民レベルで年2金貨程使用するようです。
最大単位は白金貨
1000000銅貨で1白金貨です」
全部10倍な感じね。
覚えやすくて、助かるー!
で、コトミさんがいて助かるー!
とりあえず、宿か?
ギルドで宿を教えて貰えば良かったなー
2人で街をぶらつく
路地はしばらく行かない
街ぶらの魅力は路地にあり!って感じで入れば、確実に怖いお兄さんに絡まれるよね!
うん。これ異世界の常識
商業地区みたいな場所を歩いている
店が乱雑に並んでいる
呼び込みが多い
今気づいたが、言葉も文字も理解できる
変換機能付きですか?
本当にありがたい
「新商品入荷しましたー」
「今ならすぐにご案内できますよー」
「お泊りの方はこちらへー」
「うちの肉はチャイロ1だよー」
結構賑わっているな
ん?
奥の店前にモジモジとしている女の子。
周りの客引きに完全に負けている。
昔から…そんな女の子に目がいってしまう。
が…頑張れ…
女の子が顔をあげ、声をだした。
「…い……いら……しゃいませ………
お……おとまりは……レンガ亭へ……」
「イツミ様はロリ○ンですか?」
「おぉ⁈ストレート!」
コトミさん。俺のストライクゾーンは…
…ま…いっか…
でも俺は今16だからなー!25の頃から比べると恋愛は微妙だなー
ちゃんと言っておく…ロリ○ンではない!
…と思ってる…
そんな事を考えてると女の子と目が合ってしまう
向こうははっとして、ここぞとばかりに近寄ってくる。140cmくらいでチョコチョコと小走りで
よく見ると耳が……狐?髪は銀色
身長差もあり、上目遣い。
…嫌いじゃない…
「お泊りはお決まりですか。。」
小声だな
「えー。一泊2人でいくらですか?」
一応聞いてみる。
狐ちゃんはニコっと笑顔になり
「一部屋で15銅貨です。ベッドは2つあります!是非、レンガ亭へ」
狐ちゃん必死に頭を下げる。
あー本当はいくつか回って相場を知りたいが…こんなに必死だと…一泊くらいいいかなって思ってしまう。
「コトミさん。ここで良いですかね?」
「私はどこでも。イツミ様にお任せ致します」
「ほんじゃ、案内してください」
俺はロリ○ンじゃない!…はず…
「あ…ありがとうございます!どうぞ!」
レンガ造りの3階建て。
少し蔦が絡まった老舗な佇まい。
案内され、中に入る。
1階は食事処兼受付だ。
「お父さん!お客さんです!」
奥の部屋からガタイの良い狐人。獣人。
「いらっしゃい!」
オーナー活気あるなー。
でも店はガランとしてる。
食堂は誰もいない。
受付で大銅貨を出す。
「2人だから大銅貨3枚でいいのか?」
「おぅ!夕飯付きだ!いつ食う?」
ん?お得じゃね!何故誰もいない!
…ストレートに聞いてみるか?
「オーナーさん。素敵な店だ。失礼だが、客が少ないな」
「あ⁈あぁ。まぁーな。昔は流行ってたんだが、ちょっと嫁が病でな」
オーナーは下を向く
「それは申し訳ない事を聞いた」
素直に謝る
やっぱり聞くべきじゃないわな…
余計な事だった…反省…
「ん!まぁー仕方ない事だからよ!
で。いつ飯にする?」
「ほんじゃ1時間後に!」
とりあえず2人で案内された2階の部屋に入る。
「あのーコトミさん。
俺の能力で、人を回復させたり出来るのかな?病とかも吸収出来たりするの?」
「可能です。寿命でなければ、異常状態の吸収はMP扱いになると思います」
ほー!魔法の吸収と同じか!
それはいい情報だ!
えーっと今の俺の状況は…
確認、確認
HP +32
MP +7.8
物 24
HP 間に合うかな…
とりあえず病気なら吸収できそうだし…
人助け…していくのも、いいかな…
とりあえず飯食いに行こう。
1階に降りる。
チョコチョコと狐ちゃんが近寄る。
「お食事ですか?こちらにどうぞ」
いくつかあるテーブル席に案内された。
「あんちゃんら!今出すからよ!」
奥の部屋からオーナーの声がする
「何か飲まれますか?」
ニコっと笑っう狐ちゃん
定番のエールかな?
「じゃーエールはある?あったら2つ」
「わかりました!」
チョコチョコと去っていった。
「あっ…コトミさん!お酒でよかったですか?」
「大丈夫です。酔わして変な事するんですか?」
へ?真顔で言う?
「冗談ですよ」
はぁ?…未だにコトミさんがつかめない…
チョコチョコ歩きの狐ちゃんが戻る
木製のジョッキに泡立った液体がなみなみと。
ではでは乾杯!
ゴクゴク!クゥゥゥー!
あっさりしてる!悪くない!ビールって言うより発泡酒な感じ!
久々はやっぱりくるぜぃ!
ゴクゴクゴクゴクゴクゴクゴクゴクゴク。
え…コトミさん…一気ですか…
ドン
完全に飲み切ってる。そして、御約束の泡のヒゲ。
本当にコトミさんがわからない。
「もう一杯飲み…」
「頂きます」
食い気味で答えた
酒好きの死神ですか?
じゃーえっと…
狐ちゃんの名がわからん。
「あのー!」
チョコチョコ寄ってきた。
狐ちゃん。
「私、アルです!お客さん!」
ニコっと笑った。
狐ちゃん改めアルちゃん。
「あっエール2つね!」
「わかりました!これが今日の夕飯です!」
ワンプレートで煮込み料理とサラダ、あと雑穀米みたいな感じ。
「いただきまーす」
もぐもぐタイム
雑穀米はボソボソしている
煮込みは野菜の煮込みが足りない
食べられない訳じゃないが、決して美味しいってレベルじゃない
モグ。ゴクゴク。モグモグ
エールで流し込むように食べる
この食事じゃこの閑古鳥も頷ける
アルちゃんが近寄ってくる
食べ終わった食器を片付ける
「あまり…美味しくないでしょ…
昔、お母さんが元気な頃は人気があったんだけど……」
アルちゃん元気ないな。
とりあえずやるだけやってみるか。
「アルちゃん。お母さんは病なんだって。
そんなに悪いの…?」
「1年くらい前から、シビれて動けない時や少し血が出る時とか……。
お母さんいつも苦しいの……」
「あーー。あのね。俺さ。少し治療が出来るだけど、お母さん診てみるか?お金とかいらないからさ」
「え!」
おとーさん!
アルちゃん猛ダッシュ
…ドタッドタバタ
奥の部屋からオーナー猛ダッシュ
「お客さん!ホントか!」
顔近い。
「えー。出来るかわかりませんが、診てみないと。どうですか?」
「是非お願いします!」
お母さんはベッドに寝ていた。
もちろん狐人。
病独特の青白さ。
「出来るかな。あ…コトミさん。鑑定でお母さんの状態を見れますか?」
「可能です。行いますか?」
「お願いします」
ー鑑定ー
情報
名前 イミール
種族 獣人 狐人
性別 女
LV. 1 (レベルアップまで 41 )
HP 21
MP 8
JOB 料理人
状態 呪い( 麻痺、毒 )
鑑定の情報を共有する。
「呪いって…誰かにかけられたのか…」
って言う事は魔法か…
やってみるか
右手をお母さんに向ける
吸収!
《マジックドレイン》
お母さんの身体が光、右手に吸い込まれていく。
HP +32
MP +11.8
物 24
MP4の吸収か。
お母さん事、イミールさんが目を醒ます。
「あなた?アル?揃ってどうしたの?
あら…今日は身体の調子が良いわ…」
「コトミさん。鑑定してください」
ー鑑定ー
情報
名前 イミール
種族 獣人 狐人
性別 女
LV. 1 (レベルアップまで 41 )
HP 21
MP 8
JOB 料理人
状態の記載がなくなってる。
成功だな!
「イミール!動いて大丈夫なのか?
そんなに動いたら身体が辛くないのか!」
「あなた…平気よ。
今日は可笑しいわね。。
明日…死んじゃうのかしら…」
え…お母さん…笑えない冗談ですよ…
オーナーとアルちゃんは泣いてる
お母さんが泣いているアルちゃんをあやしている。
やっぱり心配だよね…よかったよかった
今は家族だけにしてあげよ。
そっと部屋を出る。コトミさんも一緒に出てきた
自分たちの部屋に戻ろうと階段を昇ると
「おっお客さん!!
本当にありがとうございます!」
オーナーが駆け寄ってくる
オーナー目が赤すぐですよ…血走ってる
だから、近いって。
「なんとお礼を!」
「あー…今良くなってますが、先わかりませんので、何かあれば部屋に来てください」
「聖人様!ありがとうございます!」
オーナーとアルちゃんはおじき90°
いやいや…最敬礼ですか…聖人って…
こっぱずかしい。
部屋に逃げ込む。
さてさて、成果はあった。
うまくやれば治療だけでも生活できそうだ!
だが…その為にはHP を貯めないとなー
狩りしてHP 貯めて、治療で使う。
両方で金は稼げるな!
生活設計は何とか築けるかな。
「コトミさん。今日みたいな事ってどう思います?」
「どうと言われますと?」
「いやー生活する為に狩りと治療で稼ぐ感じで」
「イツミ様がその生活を望むならばよろしいかと思いますが。何事も自由ですよ」
ですよねー!自由だから自己決定
まっ何とかなりそうだな!
「ほんじゃ寝ますか!」
おやすみー
チャイロの街での1日目が過ぎていった