いざ!ワーインの街へ
さてさて…
「それでな。ボルジュー。しばらくワーインの街に行って、仕事をしてくる。行き帰りで…6日。討伐に2日くらいかな…」
「はぃ!わかりました!その間、しっかり家を守ってます!!!」
「頼むな。それで、それが終われば皇帝陛下主催のパーティーなんだが……ボルジュー相談がある…」
「は…はぃ。なんでしょう…」
「貴族になっていいか?」
「へ…えぇぇぇぇ!!!!」
なんか久々に聞いたな。ボルジューのダメ子モード
「え…なんで貴族に…」
「あぁ皇帝に紹介するのに無爵位だとまずいのと、ギルドランクが8になるから一代男爵になるんだってよ。一応保留にしてある。ボルジューにも聞かないいけないからな」
「なんで私に聞く必要が…?」
「はぁ?俺の妻なんだから、色々あんだろ。男爵になったらなったで大変だとか…」
うぅ…ぅぅ……
何故に泣く
ちょいちょい分からないとこで泣くんだよな
前世の世界において亭主関白なんて言葉は完全な死語になっていた。男女平等。夫婦は互いに認め合う。それが当たり前なのだが…
現世は男女差別というより男性中心の世界
フェミニストは限りなく少ない世界
「わだしぃわぁ…イヅミざまぁと…げっこんして…ほんとぅに…しあわぜぇですー…」
泣きながら話すな…聞きにくい…
「とりあえず男爵の話は受けていいんだな」
「あ"ぃ!」
やっと笑顔になった
ホントよくわからないな
「じゃボルジューも20日後にパーティーに行く用事をしておいてくれ」
「で、今から仕事行ってくる
これで足りると思うが、生活費とドレスとか準備しておきな。わからなければギルドマスターが相談に乗ってくれるだろう」
俺はテーブルに大金貨を2枚置いて、家を出た
「だぁっだい金貨ッッ?」
俺と同じ反応だ…ボルジュー!
その日のうちに街を出た。一応馬は借りたが、第四区画の城門で返した
やはり走った方が早い
街を出て2日目の日没
長距離マラソンのように走った
夕陽に照らされ、微かに城壁が見える
空に複数の飛翔体が見えた
あれかワーインの街は
飛翔体は亜竜であるワイバーンだが…一部が腐り、骨が露わになっている
街の一部がゾンビやグール、スケルトンなどのモンスターに囲みこまれている
街に入るには邪魔だな……
街の城壁と並行に位置どり
右手を掲げる
放出!
《リターンマジック0.5》
ビジューーン
細い光が城壁沿いに照射される
ビヂュ
グヂャ
スパッ
様々な音が響く中、モンスター達が崩れていく
グチャ
バキャ
ガチャ
「スケルトンの音が一番響くな…」
そんな事を思いながら
俺はのんきに歩いた
数秒で数百の軍勢が消滅
残されたドロップアイテムが大量に出現
右手を掲げたまま
左手を下方へ
逆手のまま
アイテムを吸収していく
両手使いはすでに検証済みだ
「ホントに便利だよな」
右手から放出される魔法は無属性
効き目が強くなるモンスターもいなければ弱くなるモンスターもいない
純粋に魔道力勝負
ナンダ…ギサマハ……
雑魚敵一掃中に奥から何かが出てきた…
言葉話してるな……まさかあれがアンデットキングじゃないよな……
ヨグモ……ワガチカラヲ…シレ…
正体不明のモンスターが何かを放った
距離にして30mほど
「あんな距離でよく言葉ば聞こえたな…」
我ながら感心しているとモンスターが放った何かの正体が見えてきた
グワァーァァー
大きく口を開けた紫の煙ドクロ
RPGでよくある闇魔法とか死霊魔法とかそんな感じのやつか……
どんどん近づく
…あれは喰らったらヤバいやつだなぁ




