表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

49/55

修羅場からの結婚式?

また大層なお出迎えで……



馬車を降りると白い法衣をまとった人達が列を作り、大神殿に道を作っていた



「ボルジュー行くか」




「はぃ!」




ボルジューは緊張した様子で俺にしがみついてきた



確かに、非日常の異様な感じだわな

結婚式の下見がえらい騒動になってしまった




バァッキイーー



重い扉が開く



今度は白と黒の法衣をまとった者と黒の法衣をまとった者が現れた



道を進み、黒の法衣をまとった者の元へ




「よくおいでくださいました。

枢機卿のマルダ・コーナーで御座います」



あーさっきの人より偉い感じね……



「神託の準備は出来ております」



扉を通ると大きなホールがあった

他は何もない

……椅子やテーブルもない……





頭に大きな声が響く





「わざわざすまんかった。イツミ君

実はあの扉だと1人しか会えんからの。今回は結婚するんじゃ、ワシとしては奥さんにも会っておきたくての。眷属じゃならのー」




け…眷属…



その場にいた数名が驚きの声をあげた



「ん?全員には聞こえないのか?」



ボルジューはキョトンとしていた



「ボルジューは声が聞こえるか?」



「へ?イツミ様の声だけですよ?」



「まぁー良い。門を開けるからこっちに奥さんとこい」



ゼウス様の声が消えると部屋全体に霧が立ち込めたようになる



「濃霧だな。先が見えない

ん?門が開いた」



濃霧のため周囲が霞む

が門とボルジューは見える…

俺の3m程度先に豪華な門が現れ、ひとりでに開き始めた



ん?


急に俺の右手が握られる


イツミ様…険しい表情をして…大丈夫ですか



「ボルジュー…良くこの視界で…」



「イツミ様?何をおっしゃってるんです?」



「まぁいい。とりあえずゼウス様が待っている。門をくぐろう」




「門っですか?」



ボルジューの手を握り、門をくぐる






光が強く俺らを包んだ







「おーよく来たの。で、隣が奥さんになるのかね?ふむふむ。良い子じゃ。イツミ君も隅におけんのー」




俺はボルジューの手を握ったまま、ゼウス様の声で現状に気づいた



「ゼウス様お久しぶりでございます」



俺が跪きそうになると




「かたいかたい…その前…その前

今日はイツミ君の結婚という話を聞いての。ちょっとしたサプライズってやつじゃよ!」



サプライズって……驚き過ぎなんですが…

さっきからボルジューはずっとポカンとしている



カツカツカツ…




「お久しぶりです」




「あっコトミさん!お久しぶりです」




コトミさんが現れた。しっかりお仕事もーどでクールビューティである




一瞬空気が凍る




となりのボルジューが俺と話すコトミを睨み…それに気づいたコトミさんがボルジューを睨む…




なんですか…しゅ…修羅場…



決して【死神の瞳】を使用したわけじゃなく




所謂…修羅場状態




実際は違うが……

元カノvs今カノ

……的な……





「やーめんか!コトミ!イツミ君悪かったのー。奥さんもその辺にしておきなさい」




ゼウス様に窘められ、ボルジューも敵意をなくした




やっぱボルジュー怖えな……浮気なんかマジで許されないだろうな……いや…私は…しませんよ…するわけないでしょ……




「ゼウス様より御二方へ」



コトミさんは手にしている二つの小箱を渡す



だから睨むなって…




「開けてくれ」




ゼウス様の声に促され、小箱のふたを開く




「わぁぁぁぁぁぁ!」




ボルジューの声が先に聞こえた




「こ…これは……」



小箱を開けると光が溢れ出てきた



一つのリングがあった



青白く澄んだ輝きのリング




「結婚指輪ってやつじゃよ!イツミ君!気に入って貰えたかのー!そのリングは便利での…指の大きさに勝手に合わせられるんじゃよ!」




「ありがとうございます!ゼウス様!」




となりのボルジューは再び、フリーズ

今度はトロンとした目で指輪を見ていた




俺はボルジューに近寄り、俺の指輪をボルジューの左手薬指にはめた




ゼウス様が言われたように、リングは大きさを変え、ボルジューの指にフィットした




「ボルジュー。俺にも付けてくれるか」



ボルジューは少し震えた手で、リングを左手薬指にはめた




同じように俺の指にも馴染んだ



「よー似合っておる!そうじゃこの後は何だったかのー」



「誓いのキスでございます」



「コトミ、そうじゃったな。ではイツミ君、誓いのキスじゃ」




俺はゼウス様の声に促され、ボルジューと目を合わせ、誓いのキスをした


ん?下見に来たのに…これ結婚式じゃないですか……



「うむ!これで良し!では、さらばじゃ!」




ゼウス様の声が遠くなり、霧が薄くなってきた





「えっ⁈」




気づけば大神殿の真ん中で俺はボルジューと誓いのキスをしていた




大音量の声が響く




ーゼウスの名の下に2人を祝福するー





大神殿の窓から螺旋を描く二つの光が舞い降り、2人の指輪に光が吸い込まれた

指輪は強く光り輝き…輝きが収まると身体に力が満ちるのを感じた



おー!おぉー!

ゼウス様のお声だ!

私も聴かせていただけたー!


神の声を聞いた事で教会関係者は大熱狂

感極まり泣崩れる者が多数いた




「とりあえず…結婚式は…しちゃったな…」



「そうですね…でも…イツミ様って…」



「ん?どうした?」



「イツミ様って神ゼウス様を知ってらっしゃるんですか!!!!!!!」



「んーまぁー色々と……」



……ゼウス様。これは面倒になりますよ。。マジで勘弁ですよ……




熱狂を他所に……

逃げるように大神殿を出た

いや…出るようにしたが、追い縋る法衣の者たち……




「だから!やめてくださいよ!」


一瞬、放出で皆殺しにしてしまおうかと思ったが、晴れの日にダメだ!っと思い止まった





ーイツミさぁまぁ

ー神ゼウス様よりの神託をお聞かせください

ー我々を導いてください




しつこいっっ




大神殿に再び大音量で声が響く




ー我が子供達よ。イツミ君は自由にさせてあげてくれ。くれぐれも頼むぞー




ゼウス様。早く言ってよー……




その言葉により何とか難を逃れ、第二区画の我が家に戻る事が出来た





「つ…疲れたな…」



「はい…でも…でも…私はイツミ様と…結婚できました!」




ドフッ




ボルジューは力一杯、イツミを抱きしめた




「そうだな。ゼウス様にも認めて貰えたし、これからは正式に夫婦だな!」



「はぁぃ!」



「だから泣くなよ。ボルジュー!」



「はぁぃ!」




こうして神ゼウスにより、唐突な結婚式を終えて、2人は晴れて夫婦となったのであった

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ