治療は食事療法?
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ここはいったいどこなんだ…
街中にこんな避暑地みたいな場所があるとは
軽井○別荘地にご案内されたようですよ…
「で、皇妃様は?」
「こちらです」
3階建て。木造のログハウス。
…俺の初期家みたいだな…
規模は全然違うけど…
エントランスを抜け、寝室へ
大きな寝室だ
20畳以上はあるな
中央部に天蓋がかかるベット
1人の女性が伏せていた
「皇妃様。治療師を連れてまいりました」
「御苦労様です。そちらの治療師の方。わざわざありがとうございます。こちらで治療をお願いします。妾の身体は癒されるのであろうか……」
弱々しい声が聞こえる
布団から出た指先は震えている
「失礼致します。イツミと申します。ギルド会員をしております。回復スキルを持っておりますので、皇妃様の治療に当たらせて頂きます」
俺は皇妃に近寄り、様子を伺う
頬はこけて、血色が悪い
また肌の乾燥が強い
細い体の割に浮腫が強い
指先は小刻みに震えている
ー鑑定ー
情報
名前 アルドリア・ミーユ(ドール・ミーユ)
種族 猿人
性別 女
LV. 2 (レベルアップまで 93 )
HP 16/32
MP 9
JOB 皇妃
状態:ビタミン欠乏 廃用症状
………。
嫌な予感がする
まずは治療だが……
これは回復スキルで治療出来ない
食事による栄養バランスが重要となる
が、服毒などを考えると食事に関われるかが疑問だ
そしてこっちは大ごとになる可能性が…
それは名前だ
ドールとある。。。
これは……たぶん……俺の親類
どの程度の関係かはわからないがバレると色々と面倒だ
確か…兄弟で揉めてるんだよな…
関わりたくない。本当に…
だが引き受けた事を考えると仕方がない
「伺ってもよいか?」
案内役に尋ねる
「はい。分かる事ならば」
「皇妃はお酒を飲まれるか?」
「はい…毎夜…。今は飲まれませんが…」
「そうか…で、食べ物の好き嫌いは?」
「ございます。偏食ですので…」
「わかった。治療をする。皇妃は食事で改善できると思う。食事に関わって大丈夫か?」
「しょっ食事で!で、ございますか!もちろんです!よろしくお願いします!!」
よし。第一関門突破だ
「ボルジュー頼みたいだけど、治療食を作るのを手伝ってくれ」
「はい!任せてください!!」
ボルジューは嬉しそうに応えた
調理に移動する
それとなく監視はされている
当たり前だよな
さてさて…
俺作。男の脚気予防飯
「じゃーボルジュー頼む!指示するから」
豚肉。大豆。玉ねぎを用意
一口大に切る
玉ねぎ炒める
大豆を炒る
水を加えて、豚肉入れる
味噌と砂糖と塩で調整
完成!
(※実際に味の保証はありません)
パクッモグモグモグ
んー。悪くはないか…
たぶん皇妃は脚気だろう…
飲酒&偏食
痩せる。浮腫む。震える。
こんな状態は身に覚えがある…
仕事のストレスで酒を飲み、インスタントラーメンを食べ続けた俺は、食欲不振と痺れに悩まされた結果、ビタミン欠乏症。つまり脚気の診断を受けた
一時的に食事の改善により症状が緩和した
その時よく食べたのが今のメニューだ
「これを皇妃に毎食食べてもらってください。嫌でも一口、二口でも構いませんので」
「これでよろしいのですか?」
「あーあと全粒粉…色の濃いパンなんかも食べてもらってください」
「は…はぁ?」
「とりあえず二日間。6食食べて、様子を教えてください。何度も言いますが必ず一口以上は食べてもらってください」
「わかりました。イツミ様はその間、隣の家に宿泊ください」
「わかりました。ボルジューは帰るか?」
「いやです!一緒にいます!」
だよねー
家の防犯とか大丈夫かな…
「それでは二日間お世話になります」
その後、できた料理を運んだ
皇妃は豚肉の匂いを嫌がっていたが、大豆だけでも良いと伝えたら、渋々5口程食べていた
「これでよくなればいいが…」
隣の家は使用人が使用するような部屋だった
…これは隔離か…?
少し待遇に不満を覚えたが仕方がない…
そして二日間
なんだかんだで、避暑地&別荘
その間、湖畔の散策などボルジューと別荘地を楽しんだ




