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39/55

やっぱりカレーは美味!



ボルジュー…な…なんと……



「ボル……か……」



おぃおぃ…意外な展開に…



「門開けてもらえます?」




「くっっ開門だ」




ギィー




城門が開く



「ボル…どうした…護衛の仕事は…」



「借金も返済できたから…やめた」



「今は…何を」



「イツミ様と…その……」



「初めてお会いする。イツミと言う。ボルジューの夫となる予定だ。これから帝都のギルドで仕事をするつもりだ。新居は第二区画の予定になっている」



ここは大人な対応だ



「そ…そうなのか…ボル…」



「はい」



ボルジューはいたって笑顔

兄は苦虫を潰した顔に…



「いずれまた挨拶に伺います…」



「そ……そうか……」




一波乱あったが

とりあえず第三区画に入れた…



いや…しかし、ボルジューの兄に会うとは…

結婚するから義兄になるわけだが…

あんな高圧的なのはなー




第三区画

また住宅が広がる



長屋では無く、戸建住居が多い

それでも路地幅は狭く

家自体も小さい作りだ




「旦那これからどちらへ?」



また馬車から声かけられた



「あ"馬車はもう結構だ…」

お尻が痛いです……



ちょっとだけさっきの苛立ちを引きずってしまった



「イツミさま…兄が…失礼でごめんなさい。

あんなにキツイ兄じゃなかったんですけど…

生活が辛い事もあったから…」



「色々あるんだろうな…今度家族とみんなで食事でもしてみないか」



「いいんですか…?」



「義兄だけか?」



「妹と弟がいます……仕送りと兄の収入で生活しているんです…」



「仕送り?今はボルジュー送れてたのか?」



「はぃ……頂いたお小遣いを仕送りしていました……」



「そうか…もっと早く言ってくれよ!水臭いなー!」



「イツミ様に頼りっぱなしで…」



「お前も頑張っているんだからな。夫婦になるが、パーティでもあるんだよ。だから稼ぎはボルジューの分もあるんだ。わかったな」



「はい…ありがとうございます…イツミ様……私は幸せです…」



「落ち着いたらみんなで飯だ」



そんな話をしながら第三区画を歩いた



やはり遠いな……

全然街並みが変わらない…



「お客さん!乗りませんかー」



客引きをする馬車運転手




「第二区画まで行きたいんだが…」

正直…尻が……



「片道銅貨4枚二人で8枚ですよ!歩くより断然早いですから!」



そりゃ歩くより早いだろ…

でもまた……馬車か……




ただ前回の馬車よりも作りがしっかりしている。荷台式だが屋根もあり、椅子にはシートが引いてある




さっきよりいいのか…



再び馬車に乗る

さっきよりだいぶマシだ

だか。すでに尻がヒリヒリした状態だから、痛い事に変わりなし…

苦痛に耐える…



耐える…



耐える…



耐えるついでに周りを見る

さっきよりも住居がしっかりしている

遊んでいる子供たちの服装も良くなっている




区画による格差か……痛ぃー




やはり30分程度で城門に着く

歩いた分、短かったか……



「ここから先が第二区画だよ!ご利用ありがとうございます!!」




腰と尻が痛い

腰が伸びず、中腰の姿勢



「あ"ぁぁあ"ぁー」

身体が伸びない…




やっとついた

三つ目の城門…



城門は開いていたが

並んでいる人らがいる



あれの後ろに並ぶのか…

早く宿で休みたい…



大人しく並ぶ

意外にサクサク進む



そうか…みんな顔なじみで慣例チェックか…




毎日通る人もいるんだろう

仕方ない…



やっと俺らの番か…



「第二区画にはどんなご用ですか?」



「あーギルド会員なんだ。とりあえずギルドに行く予定だ。そういやーコバルトのギルド長から紹介状もらってたな…」



「ほー拝見できるかな?ちなみにランクはいくつかい?」



「ランクは7だ」



「7?冗談はよせ!」



「面倒だ。さっきもその会話したから……ほいよ……会員証。これでランク7って理解したか?早く通って休みてーんだよ!」



「あ…本物……失礼…しました」



「ほんじゃ通るよ。あっギルドってどこ?って言うか宿はどの辺り?」



「あっっギルドは真っ直ぐ進んで頂き、左側にある五階建がギルド本部です。反対の右側は宿が固まっています」



「サンキュー!」



第二区画の建物は立派。頑丈。そんなイメージだ



しばらく進むと一段とゴツい建物



これか…しかし尻痛ぇ

…サスサス



さっき摩りながら歩いているとボルジューが摩り始めた。流石に帝都のど真ん中で、尻をさすられながら歩くのは勘弁してもらいたい。丁重にお断りしたら、ボルジューが寂しそうになっていた。宿に着いたら、愛のスキンシップをしなくては……



ガッチャン



ギルド本部入室



「まぁーどこもおんなじだなー」



一階は受付と飲み屋



…まぁー飲み屋で情報交換するんだろうし、パーティーも探すんだろうけど…



人種も性別も入り混じっている



さーて、受付で手紙出したら、宿探すか。。



「いらっしゃいませ!ようこそ本部へ!どういった御用でしょうか?」



「あー今日帝都についたんだが、コバルトの街のギルド長から手紙を預かってきた。とりあえずこっちのお偉いさんに渡してくれないか?俺の用はそれだけ」



「えー偉い人というのは……ギルドマスターの準子爵ペプチド様でよろしいですか?お手紙お預かりします……この封蝋はコバルトギルド長個人用ですね……畏まりました。なるべく早くギルドマスターに提出します!」



「あっありがとう…そんな張り切らなくてもいいんだけど…まぁーいいわ。ほんじゃーよろしく。あーついでなんだけど、宿って何処がオススメ?」



「宿ですか?漣亭かティラミスホテルが人気です。値段で言えば漣亭。サービスで言えばティラミスホテルかと」



「へー。あんがとさん。じゃ手紙の件はよろしく!ボルジューどっちにする?」



「私はどちらでも。あっでもご飯が美味しい方がいいです!」



「確かに!おねーさん!どっちが美味い飯出す?」



「漣亭は庶民的。ティラミスホテルは豪華な感じです」



「ですか!私は漣亭がいいです!」



決まりだな!漣亭空いてるといいけどなー



要件は済んだ。時間も時間だから、一泊してから、改めて子爵の屋敷に行く予定。第一区画だからな



えーっと……ここを右に……あーこれか漣亭!



3階建て

受付のおねーさんが優しく地図まで書いてくれた。今度お礼をこっそりとしておこう



漣亭は看板の形が特徴的

気を立体に彫ってある

さざ波をイメージしてるのか…




ガチャン




「いらっしゃいませー!」



ヒトを久しぶりに見た気がする



「食事ですか?宿泊ですか?」



「あぁ一泊したい。それと飯も頼めるか?」



「それでしたら、二食付きで一人65銅貨になります!同室でよろしいですか?」



「あぁそれで頼む」



銀貨1枚と大銅貨3枚をカウンターに乗せる



「211の部屋です!この木片は食事の時に渡してくださいねー!ごゆっくり!」




ボルジューと二階に上がり、部屋に入る。感じはビジネスホテルをちょっと広げた感じ。ベッドは二台。細いタンスが一つ。あとトイレ



「ボルジュー飯にするか」



「はい!さっきから良い匂いがしてました」



確かに。受付の際にスパイシーな香りを感じた





一階の受付隣が食堂兼バー

スパイシーな香りの正体が運ばれてくる



見た目は正にチキンカレー。空腹時に強烈に胃袋を掴まれるルックスと香り




チキンは手羽元。かなりデカイ




「頂きます!」



パク




うっうまぃぃぃ!




正に溢れ出る肉汁

噛みちぎる肉肉しさ

染み込んだ香辛料が口に広がる




はぁぁあー!




ボルジューも歓喜の声を上げる




ルーを啜る



カレーだ!懐かしい!野菜ゴロゴロ系!最高だ!やや平たくしたパン。これはナン!なんだ!この店は!!!最高じゃないかー!




あっと言う間の出来事



胃袋が喜んでいる




「うちの料理を気に入っていただけたみたいですね」



「キャップを被った猿人が話しかけてくる」



「実に美味しい味でした。この味はご主人が?」



「いやぁー私ではなく、4代前の料理長考案だそうで。今もこうして1週間に一度提供させていただいてます!」




「1週間に一度?」




「えぇなんでもしきたりだそうで。今もそれを守っていますよ!」



ふーむ

カレーとナン。それに週一回のルールか。ひょっとして…転生者が過去にいたのか……でもコバルトの街にも煮付けなんかがあったからな。まっどっちでも良いな。今は美味いカレーが食えて幸せって事だ




チキンカレーを、食べ終え周囲を見回す

やはりギルド会員のような姿が多く見られる。繁盛店のようだ



「ギルドの受付嬢に嘘はありませんでしたね!イツミ様!」



空腹を満たされてボルジューはいつも以上に元気だ



「明日は第一区画に行ってみよう。子爵の手紙がどうなるか。まぁーないとは思うが、襲撃の可能性も多少は考えておくか」




手紙の内容は目の前で書かれて、封蝋もされている。文章の内容に問題はない。だが、手紙自体や封筒内部に細工がされている場合、俺が知ることは出来ない。つまり、完全な安全ではないって事だ




あんまりこんな人を疑いたくねーな。もっと楽に生きたいよ…



明日もある。早めに寝るか……



俺らは部屋に戻る



部屋に入るなり、背中に温かいぬくもりが…



…イツミ様…



「ん。な……」



久しぶりに不意打ちの濃厚なキス

舌がお互いに絡み合う



ん…うぅ…ん…



ゆっくり抱きしめベッドへお姫様抱っこ

最近、移動が続いていた分、ご無沙汰であった

お互いに強く結び付く

繰り返し確かめ合う愛情の結果



もうすぐ夜明け



「ちょっと寝ようか」


「はぃ!」



ボルジューは俺の胸元に頬を寄せ、寝息をたてた




帝都1日目は大きな問題もなく過ぎていった

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