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子爵の依頼……俺は静かに暮らしていたいんだよ…

次の日


ギルド長が再びやってきた



「イツミさん。すみません。子爵様から朝手紙が届きました」



手紙を渡させる



ルギア男爵 殿


昨日は我々のために御足労頂き、感謝する。娘の治療も重ね感謝する。

話は変わるのだが、イツミ殿のフィアンセであるボルジューさんがお持ちであったネックレスについて2、3伺いたい。

再三で申し訳ないが、お2人を連れて来てもらえますか?



と、言うわけです



もう関わることもないと思ったんだが…



「で、どうしたらいいんだ?」



「か…可能ならば…同行をお願いしたい…」



ギルド長…肩身が狭そう…



はぁ…ギルド長…大変そうだな……



俺は思わずギルド長の肩を叩く



分かり合える二人の視線が合う



そうなんだよ!大変なんだよ!!

心の声が聞こえるようだ…




「ボルジュー悪いが行く事になりそうだ」



ギルド長は涙目で頷いている



ギルド長……なんか悪いな……俺が街に来てから大変そうだ……



着替えて。子爵屋敷に向かう



ボルジューにプレゼントしたピュアサファイアのネックレスは一時俺が吸収して保管する



ギルド長は帰した。業務もあるだろうし…



「さーって行く。ボルジュー」



「はい!イツミ様!」




変わらず大きい扉だ



ガチャン ギィーー



「どうも」



姿勢の良い老婆だ



「イツミ様。ようこそおいでくださいました。ご案内致します」



一階の奥の部屋に案内される



大きな応接室だ



「何か飲まれますか?」



「ありがとうございます。では紅茶を。彼女には果実ジュースをいただけますか」



「畏まりました」



長ソファーに二人で腰をかける



しばらくすると、メイドが飲み物を持ってきた



よい香りだ。一流の茶葉だ



ガチャン



「やーお待たせした!済まないね。早速で申し訳ない。男爵殿に伝えたんだが、昨晩奥方が身につけていたネックレスなんだが……もう一度見せてもらえないか?」



直球な会話ですなー子爵。渡したら、即没収とかだったら、俺キレちゃうよ……



左手で革のカバンを漁る

最近になって気がついたが、アイテムボックスのような、この能力自体、あまり広く知れ渡ると厄介ごとに絡まれる可能性があるって事を……



実際は左手で

放出!

《リターンアイテム》



で、取り出す




呪文も心の中で大丈夫。便利

やはりチートですな…




「子爵様。これで宜しいか?」



テーブルにピュアサファイアのネックレスを置く



「おぉぉぉ!!やはり!!この輝きはまさにピュアサファイア!!イツミ殿、この宝石はどちらで?」



子爵は宝石がお目当てですか…



「いやぁーまぁーたまたま手に入りましたが……この宝石が何か…?」




「あぁー申し訳ない!興奮してしまった!いや実はな。皇子の結婚式に向けて帝国全土から宝石が集められている!皇子の目に留まった一部の宝石は皇室で買い取られ、式に使われるんだが、大変名誉な事なんだよ!当家もその宝石を探しておってな!このピュアサファイアは帝国内でも数点しか報告がないものだ!正直に言おう!奥方には申し訳ないが、このピュアサファイアのネックレスを売ってはくれないか!?」




やっぱりそう来るよね…ボルジューの顔を覗く



下を向き震えている

渡したくないって思いだろうが、実際言えないよな…子爵が熱望だからな…



どうしたもんか……



「もちろん!イツミ殿、奥方の望みは叶えられるだけ叶えよう!頼む!このピュアサファイアを譲ってくれ!」



子爵は頭を下げる



おぃおぃ…宝石で平民…みたいな奴に子爵が頭を下げるかよ……いやー逆に考えるとそれだけこの子爵がいい貴族だって事か……だって貴族なら召上げるみたいな方法もあるだろうしな……



別にこのピュアサファイアを渡しても、実際に俺はあと二つ持っている。後はボルジューの気持ちか……



「ちょっとボルジューと話していいですか?」



ボルジューと一緒に窓際による



「イツミ様……私は……」



ボルジューは泣いていた。それくらい、ネックレスへの想いがあるんだな…

とっても嬉しかった。。。



作戦変更!

本当はネックレスを渡し、後で二つあるピュアサファイアでネックレスと指輪を作ろうかと思っていた。その方が子爵にも必要以上に貸しができると考えた

だか、今ボルジューの涙を見て、そんなせこい駆け引きはいらん!と気づいた!大切なのは、ボルジューの気持ちだ!!

うん。うん。危なく間違えるとこだった!




下を向き、涙するボルジューを抱き寄せる

子爵がいる中で、不謹慎かもしれないが、まぁー許してくれ…



そしてボルジューの耳元で囁く


……大丈夫。ネックレスは渡さないよ……


ボルジューから離れ、子爵の元に戻る



呆気にとられたボルジューが俺を視線で追う


子爵が話しかける



「本当に申し訳ない。。だが、、、頼む!!」



再び子爵は頭を下げる



「子爵様。頭をお上げください。残念ですが、ネックレスをお譲りする事は出来ません」



子爵は顔を上げ、落胆な表情。全身の力が抜けるような感じだ



「ですが、代案を」



ソッと俺は左手から出した宝石をテーブルに置き、子爵の方に押し出す



子爵は慌てて、押し出された宝石をみる



「ピュ……ピュアサファイアか!!しかも加工前の!!」



「そうです。これでしたら、色々と加工が可能でしょう。ネックレスよりもある意味価値が高いかと思いますが……」



「こ……これを譲ってもらえるのか……」



「どうですか、私の代案は?」



「もちろん!もちろんだ!その代案で構わない!おい!!至急帝都にいるバルボに連絡をしてくれ!提出する宝石が手に入ったと!」



よかった。これでボルジューが悲しまないで済む



ボルジューを見ると号泣している



「なっっ何故泣くっっ!!」



「だってぇーイツミさまぁがぁぁー!!」



「はぃはぃ。よしよし」



「イツミさぁぁぁまぁぁぁぁぁぁーー!!」



よしよし。よしよし



しばらくボルジューをあやしている間に子爵はサクサク周囲に連絡を取り、話を進める

価格交渉などは何もしていないが、そんな事はどうでも良いのだろう



しばらくして、双方が落ち着いた



「いやー。バタバタして申し訳ない!」



すでにテーブルにはピュアサファイアはない。もう帝都に輸送されていた…

仕事早すぎでしょ……



「それで、イツミ殿。価格やその他の条件なんだが。イツミ殿にご希望はあるかな?当家で叶えられる限り叶えさせていただく!!」



通常の交渉とは全くの逆だ



「んー。適正な取引であれば文句はないですよ。特に条件は……ないよな…ボルジュー?」



「はい!私はネックレスがありますから!」



目が腫れているが、にっこにっこしている



「なんと欲のない!!

では、まずピュアサファイアの価格だが、通常の価格はない!というのも、国宝クラスの宝石であるから、国同士など大きな交渉ごとに使用されるレベルだ!まぁー価格をつけるならば大金貨……数十枚は必要だと考える!当家として、大金貨10枚でどうだろう?本来ならそれ以上の可能性が高い。申し訳ないがそれ以上はこの街の規模の予算で捻出できない。色々言っていたのに、その程度しか出来ず申し訳ない……そこで追加報酬として他に金貨以外に付ける事でどうだろうか?」




怒涛の勢い。実際、大金貨10枚って大まかな概算だけど、日本円で1億くらいになる。十分じゃないか…宝石一つだろ……




隣のボルジューが今度は青ざめて震えている



寒いって訳じゃないだろうな…



「金額はそれで構わない。子爵を信用する。追加で付ける条件とは……お伺いしても?」




「本当であれば……子爵家に婿に入ってもらいたい……と言いたいところだが……」




泣いたり、青ざめたりしていたボルジューがものすごい勢いで睨むのがわかる



ちょいちょい…仮にも子爵様だから…




「と言いたいが、奥方もおいでだ。第2夫人には流石に面子上、するわけにいかない」




ボルジューの視線が若干柔らかくなる



「失礼だと思ったが、可能な範囲でイツミ殿を調べさせてもらった。ランク6で今度は7に上がる予定とか…他にも色々な勧誘を断っているとの話も聞いてる。帝都に行かれる予定が今後あるとの話も伺った…がいかがか?」



「そうですね。帝都に行こうかと。ランク7にしたいのも、家が帝都に貰えるって話から目指した訳で。。。」




「そうだったのか!では追加の条件として、帝都にある子爵家の別宅を譲り渡すというのはいかがか?金額の補填は出来ると思うのだが」



「別宅?それって物凄くデカかったり、貴族街にあったりするんじゃないんですか?」



「確かに、そういった家もある。色々な用途で違う家が必要になる。帝都は第1から第4区画まで区分けされているが、イツミ殿に渡そうと考えているのは、第2区画の家なんだが、どうであろう」



行った事がないから、分からないが…区画って帝都はやはり大きいのか……



「聴きたい点はその家が裏の顔で使われてなかったかって事だ。どうですか?」




子爵の表情が変わる。随分と剣のある表情だ



「裏の顔とは……?」



「子爵様ともなれば色んな顔をお持ちでしょう……まぁー花を囲った家であれば、別に問題ないが、影の帳みたいな家であれば、お断りですね……俺は政治や野望なんかに関わらずに生活したいからなー」




「ふぅーイツミ殿。あなたは何者だ?」



何者でもないですよ……とりあえず静かにこのボルジューと暮らしていたい。それだけ。邪魔されれば歯向かうけどね…」



「お互い手を取り合っていきたいものだよ。心配には及ばないよ。その家はイツミ殿が言うように花を囲っていた。が、昨年、帝都の屋敷に入ってもらった。政治利用もしていない家だ。しかし、こんな話をするのも久しぶりだ」



子爵の表情が緩やかになった



「何度も言うが俺はボルジューと静かに暮らしていきたい。ホントにそれだけだ。邪魔しないでくださいよ」



いつしか俺の口調もくだけていた



「わかった!イツミ殿を敵に回して得はないからな。可能であればイツミ殿も私の敵にならないでいただきたい」



「何度言わせないでくれ。俺の望みを妨げなければ敵になる事はないさ」



「ふはっはっはっは!肝に銘じておくよ」



子爵との話し合いは考えもしない展開で幕を閉じた




退出時に即金で大金貨5枚。そして手紙を二枚預かった




1枚目は帝都の屋敷で大金貨5枚を渡す内容

2枚目は帝都第2区画の家の譲渡書類




両方とも俺の目の前で記入し、封をして直接渡された。偽造や虚偽の要素がないことを子爵は示したのだろう




帰り道


ボルジューは複雑な顔をしていた



「どうした?ボルジュー?」



「あの…イツミ様。私が…奥さんで良いのでしょうか……」



「何を言い出したんだ?急にどうした?」



「だって…私がいなければ…子爵様の姫と結婚し…」



道の真ん中でボルジューを抱き締める



「俺が子爵様の姫と結婚したいって言ったか?」



「言ってない…」



「じゃー俺が何で子爵にボルジューをフィアンセって言ったか分かるか?」



「えっっ」



「子爵の姫を嫁に…って話を予防するためだ。俺はボルジューと生活がしたい。これは今もこれからもだ。分かるか。ボルジューが奥さんになるのは俺の望みなんだ」



「イッイツミさぁぁぁまぁぁぁぁぁぁ!!!」




激しく抱き合い、キス

道のど真ん中




ーよっっ若旦那!家帰ってからやれよ



あっっ!




二人して顔を赤く染め

ダッシュで宿に戻った


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