晩餐会でネーミングを…byギルド長
良いタイトルが浮かびません…。
俺らは柄にもなく、洒落た姿で屋敷の前に立っている
ギルド長から子爵の晩餐会に招待を受けた後、服を新調した
こちらの正装がわからないから、任せてみたら、深緑の燕尾服を仕立てられた。16歳くらいであれば、ちょうど良いとのこと。
ボルジューは髪の毛に合わせて、薄い黄色のドレス。胸元が清楚な感じにデザインされている
ちょっと寂しいので、ピュアサファイアのアイテムをネックレスに加工してもらった
細工屋の狐人の店主が驚いていたが、即行で作成してもらった。デザインも悪くはない
ボルジューの首元につける際に、色々あったが、どうにか落ち着いた
ドレス姿のボルジューもかわいい
「さぁーて、ギルド長。入っていいんだよな」
ギルド長も緊張している様子だ
「ほんじゃ入りますか」
扉を開ける
ガチャ……キィーィーィー
煌々と光る大広間にもう何人も集まり、軽いお酒を飲みながら談笑している
「よくおいでくださいました!」
あー前のおばあちゃんか?
前回訪れた際に案内してくれた老婆が笑顔で迎い入れた
あんなに表情がなかったのに、今はとても和かだ
広場の一角のテーブルに案内された
立食スタイルだな…
俺は辺りをグルリと見回す
たぶん貴族や商人なんだろう
色々な話をしている
「すまんが俺には軽いお酒を彼女には果実のジュースを…ギルド長…何飲みます?」
「じゃ私も軽いものを…」
ギルド長は辺りをキョロキョロ見回している
「おーこれはイツミ様!お久しぶりにございます!チャイロの街では大変お世話になりました!その後、支店長も元気になりました!これも全てイツミ様のおかげです!御礼を申し上げようとしましたら、すでにお達になられていて…でもこうして、またお会いできてよかったです!」
「色々バタついてご挨拶ができず、申し訳ありません。タートルさんは商いでこちらに?」
「はい!子爵様に懇意にして頂いております。武具や兵糧など最近戦もございましたので」
思いもよらぬ人物に出会った
チャイロの前で何度か依頼を受けたタートルさんだ。相変わらず広い人脈を使って商いをしているようだ
「申し訳ない。あちらで呼ばれているようです。また後日ごゆっくりと」
「ボルジュー。お前には気づかなかったな」
「そうみたいですねー。会ったのも一二度程度ですからねー」
いや。一流の商人は会った相手を忘れない
忘れるだけ勝機を逃すからだ……
そんなタートルがボルジューに気づかない
ボルジューは色々とそれだけ変わったと言う事か…それとも……
しばらく様子をみていると、大きな拍手と共に主役の子爵とルナが入ってきた
パチパチパチパチパチパチ
ールナ様はお綺麗だ
ー病が完治して本当によかった
ーこうなると婚約などお相手が気になりますな
パチパチパチパチパチパチ
はぁぁ…軽く挨拶して、サッサと帰りたいな
食事などが運ばれてきた
肉の塊とシェフ…ローストビーフかな
あれは……ドリアかラザニア
エビやカニなど海産物
色々な天麩羅
お洒落なフルーツ盛り
ービュッフェスタイルー
と。思ったら、テーブルに1人メイドが付き、要望を伝えると持ってきてくれる
なんとも、貴族な仕様
周りの貴族達は当たり前のように、メイドに指示している
「メイドさん。適当に選んで持ってきてもらえるかな?特に駄目なものないかさー」
「畏まりました」
「ギルド長…おーい!ギルド長?」
「あっっなんだい!」
「流石に挨拶して帰らないといけないよなーどのタイミングで行くのがいいんだ?」
「そ…そうですね…一頻り貴族の方々と話が終われば自由かと。私が声を掛けてきますよ!」
「ギルド長ですもんね!知り合いの方々も多いのでは?」
「数名の貴族ですね……知っている程度ですが……色々便宜を図って頂いている方もいるのですが、公の場ではあまり……」
「そうですか…聞かなかった事にしておきますね…」
ギルド長も色々大変なんだなぁ…
メイドさんが戻ってきた
「これはカルパッチョか…おぉ旨いな!こっちはローストビーフ?おぉぉおぉ!!」
思わずテンションが上がってしまった
ボルジューも嬉しそうに食べている
「旨いな!ボルジュー!」
「はい!!イツミ様!」
楽しく2人の食事を楽しんだ
「そろそろ挨拶に行きましょう!」
ギルド長より声が掛かった
「さて、ボルジュー行くか!」
「はい!」
最近、ボルジューは はい としか言わない気がする……
「ボルジュー俺に言いたいことは言ってくれよ」
「はい!でも一緒にいられて私は幸せです!」
「そうかぁーでも気になれば言ってなー」
「はい!」
…さーって何を言えばいいかな…
子爵の前についた
ギルド長が緊張した面持ちだ
「御無沙汰しております」
「おぉールギア男爵!ギルドのおかげで娘が救われた!感謝しておりますぞ!」
「忘れてた…そーいや。ギルド長は貴族か」
「そっちの御仁が……」
ギルド長が俺らを紹介した
「こちらが〈グラトニー〉の二人です」
…?〈グラトニー〉…?
よくわからない紹介だ……なんだ?貴族階級では当たり前の紹介なのか……?
「あ……はじめまして。イツミと申します。こちらはフィアンセのボルジューです。この度は回復のお手伝いが出来た事を光栄に思います」
後ろでドギマギしているボルジュー
「なんと言えば良いか、本当に感謝しかない!ありがとう!」
「私は仕事をしただけです。娘さんの生命力の賜物ですよ」
「そんな事は無い!何人もの治療士が困難だった事をやってくれた!」
「ふふふ。イツミ様。ありがとうございました。このように立って、皆様にお会い出来るとは思いませんでしたわ」
「御助力出来て、よかったです」
早く去りたい。後ろのボルジューがクネクネしている
「では、私はこれで失礼致します」
少しドライだが、
礼を逸しない程度は出来ただろう
子爵はまだ話したそうだった…
こんな場に長くいてもロクなことはない…
「で、ギルド長…〈グラトニー〉って何?」
「あぁ!二人の通り名だよ!寝ずに考えたんだ!依頼をなんでも片付ける!まさに貪食!!で、〈グラトニー〉」
「勝手に決めたのか!」
「はぃ…不味かった…すでにギルド登録済みで……」
なんだ恥ずかしい名は……もぅどうでもいい…
なんだかどっと疲れた…
テーブルの食事を頂き
そのまま、屋敷も後にした
あのままいると面倒なフラグが立ちそうだった。ボルジューをフィアンセと言ったのも、娘を貰ってくれ的な流れの防止をかけた。思った以上にボルジューが衝撃を受けたようで、今を俺の顔を見るたびに恥ずかしげにモゾモゾしていた
何はともあれ、子爵の晩餐会イベントは終了出来た。もう関わる事はないだろう
ギルド長が通り名について終始謝っていた…
もう……どうでもよいですよ…
ギルド長と別れ、宿に戻る
服装が正装な分、肩が凝る
全部バッサリ脱ぐ
「はぁー楽だー」
「イツミ様!イツミ様!イツミ様!」
「なんだ、ボルジュー?」
「さっきの言っていた……その……フィ…フィ……フィアンセって…わたし…わたしが…フィアンセで……フィアンセってことは……イツミ様と……結婚を…してよろしい…のですか…」
「あぁそのつもりだけど、ボルジューは嫌か?」
激しく首を横に動かす
素ッ裸で言う事じゃないんだが…
…嫌いじゃない…
…やっぱり好き…
とりあえずお姫様抱っこ
お互い素ッ裸
向かう先はベッド
本日も濃厚な営みを
心なしかボルジューが激しい気がした
 




