地味に凄いな…ドロップ率5倍の効力
二階の応接室に案内される
20畳程度の部屋に大きなソファーが三つ
ほかに肘掛椅子やテーブルなどが置いてある
調度品も華美ではなく、選定者のセンスを感じる
「少々お待ちください」
受付嬢が出て行った
俺は奥のソファーに座る
ゼウス様と会って以来、お偉いさんと会っても緊張しなくなった。と言うよりゼウス様よりお偉いさんがいないからか…
ガチャ
ガタイの良い50歳程度の男
立ち姿が絵になる
んー熊かな?
髪はブラウンであご髭もある
どこかの貴族と言われて通るだろう
品格ってやつだな
「および立てした上に、お待たせして申し訳ありません。コバルトでギルド長の職に就いております、ルギア・ダンマーと申します」
とりあえず謝罪から入ったか…仕方ない…
俺も立ち上がり応える
「イツミと言う。こっちはボルジュー。共にランク4だ。今日この街に着いた。買取希望のアイテムは前の街周辺のモンスターを狩ったもんだが、買い取ってもらえるか」
あえてボルジューも紹介する。ランク4のパーティーで狩ったとした方が少しは角が立ちにくいと思ったからだ
「そうですか!ランク4の!パーティーはお二人ですか?」
「あ…あぁ…何か問題があるか?」
「いえいえ!買取依頼のアイテムに亜竜など大量にありましたからな……それに……下級とは言え竜のアイテムもありましたので、ランク6以上を含むパーティーかと思ったんですよ!!いやぁーお二人とは素晴らしい!今後益々活躍が期待されますな!」
ほーあの竜はそんなに強いのか…八つ当たりの一撃だったんだがな…亜竜と対して変わりなかった印象だ……
「それで買取の方ですが、討伐の懸賞などはありませんが亜竜と下級竜の討伐は国から賞金が得られます。
亜竜の心臓が7つ。下級竜の心臓が1つでしたので討伐数は7と1で間違いありませんか?」
「あぁ…亜竜の数はよく覚えてないが、群れだったからな…」
「群れですと…」
「ん?あぁ違うモンスター狩ってたら、群れで襲われたから、全部狩ってやった。何か問題があったか?」
「い…いえ。何も問題はありませんよ。えーお二人はランク4とおっしゃっておりましたが、ランクは上げられないのですか?」
「ランクか…上げたぞ。俺はまだ会員になって1ヶ月に満たないからな。ランク4で様子を見てくれってギルドのおっさんに言われたなー」
「1ヶ月未満……」
「問題あるのか?」
「いやー何の問題もありません。今日コバルトに着いたと。今後の予定などお聞きしてよろしいでしょうか?」
「何も決めてないが…宿探して、美味いもん食って、街ブラか…そんな感じだ。時間があれば狩りをするけどな」
「そうですか!!宿はよろしければこちらで手配致しますよ!!」
「別にそこまでしてもらう義理はないさ。宿をいくつか教えてくれれば十分だ。
で、買取はまだ出来てないのか?俺は話すためにギルドに来た訳じゃないんだからな」
「では、リストを…君直ぐに宿のリストを作ってくれ!」
受付嬢の兎人は急いで部屋を出た
正直、腹が減った。ボルジューはさっきアップルパイを食べていたが、俺は完全に空腹だ。空腹は人を苛立たせる……
「失礼致しました。
買取金額と内訳になります」
ー内訳ー
亜竜討伐賞金 1銀貨×7
下級竜討伐賞金 1大銀貨
ウルフの牙、皮
5銅貨×33 165銅貨
シルバーウルフの牙、皮
20銅貨×7 140銅貨
エンペラーウルフの牙、皮、尾
1銀貨×3 3銀貨
キリングバッファローの角、皮
10銅貨×15 150銅貨
ブラックアリゲーターの皮
15銅貨×12 180銅貨
亜竜の鱗、爪、牙、瞳、皮、心臓
50銅貨×19 950銅貨
下級竜の鱗、爪、牙、角、心臓
1銀貨×4 4銀貨
ブラックオパール
1大銀貨×3 3大銀貨
全部で
大銀貨6 銀貨9 大銅貨8 銅貨5
確認をお願いします。
財布には銀貨7 大銅貨2 銅貨2
これで俺の資産は
大銀貨6 銀貨16 大銅貨10 銅貨7
ザーザァー
並べたれた硬貨がテーブルの上を滑る
「ブラックオパールはそんなに高く買い取ってくれるのか?」
「もちろんです!ブラックオパールはブラックアリゲーターから数%で得られる貴重な宝石です。ブラックアリゲーター自体も強力なモンスターですので帝都でも年に100点程度かと思います。買取はこの値段ですが、加工され販売される時には大銀貨5枚程度で売り出されます。即売れてしまうほど人気です!」
数%を3つか。やっぱりゼウス様の加護が効いてるんだろうな。ドロップ率5倍って意識しなかったが…地味に凄いな。さすがです。ゼウス様
「すまないがブラックパール一つ戻してくれ。一つ持っておきたい。
それじゃーもう行っていいな。あっさっきのカフェの支払いここで済ませられるか?」
大銀貨を1枚戻す
「お待たせ致しましたので、もちろんこちらで持たせていただきます」
「じゃお言葉に甘えるわ。
あっもう一つ聞いていいか?」
「なんでしょうか?」
「魔道石って小さな石なんだが、あれは何だ?」
「まっっ魔道石もお持ちですか⁈」
「ん…まぁあな…」
しまった…余計な事だったか…
「魔道石はその名の通り、魔道の力が込められている石です。魔道石は鍛冶師がその石のスキルをアイテムに付随させる事が出来ます。一般的にモンスターからドロップしますが、レアなアイテムでなかなか市場に流通しない事と魔道石の詳細を把握出来るのが一部の鍛冶職人に限られています。読み取るためのスキルが必要だと言われているからです。もし魔道石をお持ちでしたら、帝都のギルドで鑑定を依頼してはいかがでしょうか。帝都の鍛冶職人でしたら、何人か鑑定ができますので……」
「そうなんだな。参考になった。ほんじゃ行くぞボルジュー」
「はぃ!」
だから胸を押し当ててるな…
一階に降りると、受付嬢から宿リストを受け取ってギルドを後にした
はぁー疲れたな。早く宿に入って、ゆっくりするか