俺は働く。死神は酒を飲む。
本日3話目です。
楽しんで読んでいただければありがたいです。
懐には
5銀貨4大銅貨35銅貨
なかなか潤っている
レンガ亭に入る
「聖人様!」
「おぉ!アルちゃん!」
帰りましたよー
ん?昨日と違い、食堂に客がいる!
テーブルも半分は客がいた
「食事にしますか?」
「そうだね!コトミさんも良いですか?」
「そうしましょう……それで…」
ん?コトミさんには珍しく歯切れが悪い。
「どうしました?」
「喉が渇きましたね……」
え…?それは…酒を所望ですか…?
「エールにしま…」
「はい!エールにしましょう!」
だから食い気味だって!
コトミさん酒好き、酒豪って…キャラ違いません?ま…いいけど…
で言うか…コトミさん働いてないけど…
ま……いっか。
席に着くとすぐにオーナーがジョッキを持ってくる。
「聖人様!お疲れ様です!どうぞ!」
すっかり呼び名が定着してる…
「その後、奥さんの調子はどうですか?」
「どうもこうも!病なんか無かったみたいに今も厨房にいますよ!晩飯は期待してくださいな!」
食堂内はいい香りが充満している
夕食楽しみだ!
っっえ!
正面を見るとコトミさんのジョッキは空になっていた…
「オーナー!エールをもう一杯…いや三杯くらいもってきてー!」
コトミさんが喜んでる
まさに絶世の美女!
喜んでいる理由が酒なんだけどね……
アルちゃんが食事を持ってくる
昨日同様、ワンプレート
メニューは同じだが、食欲がまったく違う!
この煮込み…トロける!
はぅーぅ!うめぇ…
野菜も味がしみて最高だ!
雑穀米はモチモチでうまい!
奥さん回復して良かったー!
ってコトミさん飲むの早いって!
「オーナー!もっと強い酒ある!」
オーナーは琥珀色の酒を持ってきた
ゴクン!
誰のつばのみですか…
「これはどうでしょう」
「いただきまーす」
ゴクッ
芳醇な香り。濃厚な味
ブランデーに近いか?
「こりゃーペシャ王国産のブランだよ!
聖人様にはお世話になったから秘蔵の酒だ!」
逆に申し訳ない!
おぃおぃ…
コトミさん…すげぇ飲んでる…
顔が…にやけすぎだから…
…クールビューティー感が薄れていく…
酔っ払いのコトミさんを部屋に連れて、寝かせる。流石にお金を払わなきゃ。しばらく無料宿泊だけでありがたいからね
オーナーは恐縮していたが、有無を言わさず、1銀貨を置いて、部屋に去った。本当はもっとするんじゃないか…
部屋では案の定、コトミさんがにやけながら爆睡中
一番自由に楽しんでるの…コトミさんじゃ……ね。。。
俺も寝よー
◇◇◇◇
なんだかんだで、チャイロの街に来て一週間が過ぎた
レンガ亭でお世話になりっぱなしだ
俺が来た初日は、客はいなかった
閑古鳥が鳴きっぱなしだったんだが、今は食堂に客が溢れている
理由はオーナーの奥さんが作る料理
まさに絶品!
それを求め、連日の行列
俺の回復スキルに絶品料理が作れる効能はない。元々の奥さんの実力
おかげで、有意義な日々が遅れている
「もしもーし。コトミさん。起きてます?」
「はぁへ?」
またか。
連日、コトミさんは幸せそうに泥酔している
アル中な死神。。どうよ。。
そんなダメダメな死神を見ながら、ボーっとする
慌ただしい一週間だった
亜竜を倒した事もあり、ちょっとした騒動が起きた
ー良かった事ー
ギルドのランクが1から2に上がった。ギルドのおっさんが言っていたが、本来は3に上げたいとの事だったが、ギルドに入って間もない事もあり、保留になっているらしい。
俺指名の仕事がいくつか入った。ゴブリンに攫われた商人の娘など、サクサクこなした。
若い男と姉のような女のパーティー。依頼主は娘が助けられて無事に帰ってこれるよう俺らに依頼している。助けられて売られてしまうケースもあるらしい。恐ろしい世の中だ。で、実力も折り紙つき。文句なし!
商人の支払いがありがたい。
ー悪い事ー
パーティーに入れてくれ!やイカサマしてるんだろ!と、うじゃうじゃ付き纏われる。
で、コトミさんがキレて周囲の住人を巻き込んで50人が失神するという事件。。
その後、コトミさんはチャイロの街の住人に恐れられている。
さらに……
チャイロの街を統治しているグローブ男爵と言う貴族がしつこく勧誘してくる。さすがにコトミさんに睨んで貰う訳にいがず…ウザい。
はぁ……
コトミさんが一番楽しんでるよな
普段は美人なコトミさん
今はだらしなく半開きの口からゆだれを垂らし、テーブルでおやすみ中
そういや。奥さんって呪われてたんだよな
いったい何で呪われてたんだ
治療は出来たものの、呪いの原因がわからない為、少し不安が残る
まぁしばらく様子はみておくか
「で、コトミさーん。部屋戻りましょう!」
ギィー…ギィー…ギィー…
いつものようにコトミさんを背におぶり、二階に上がっていく
毎日の恒例行事だ
さて、明日は何しようかな
こんな感じで終わる一日も悪くないと最近思うのであった