「ダンゴムシの旅」
早起きしたダンゴムシは、湖に挨拶してから葉っぱを浮かべて旅に出た。
ブカブカ浮かんでいるだけなので、なかなか先に進まない。
湖の水は佇んでいる。
それでもゆっくり流されて、いつの間にか川に出た。
川の流れは速いけど、落ちないように葉っぱの上で寝転んでいれば。勝手に先に進んでくれる。
川の水は冷たくて、とてもキレイに見えた。
お昼頃になった川は、だんだん広く流れも緩やかになったから、流れるままにお昼寝する事にした。
温かい風とヒンヤリ背中が気持ちいい。
しばらくして波の音で目覚めると、海に着いたと気付いたよ。
波打ちぎわを超えるのは大変だったけど、
広くて大きい海原は、意外と流れも速いけど、とてもしょっぱい海の水。
同じ水のはずなのに、全然違う水の色。
ダンゴムシは寝そべって、自分の事も考えた。
昨日と今日と明日の自分、同じだけど違う顔。
立派なダンゴムシになる為に、湖から川から海に着いただけだけど、葉っぱの舟に寝そべっていただけだけど、それでも同じようで違うダンゴムシ。
それは自分だけが分かる事。
さて、新しい島でも探しに行こう。
ダンゴムシは葉っぱの上で寝転んだ。
おしまい。