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少女が歩む道  作者: 霧熊童子
〜プロローグ〜
6/27

信仰〜慧人視点〜

サブタイトルの通り弟の慧人視点となってます


「ただいまー」


奥から母ちゃんがおかえりって返す。部屋に戻ってランドセルを下ろした後にリビングに行ってお茶を飲む。リビングには母ちゃんが今日の晩ご飯を作ってる姿しかなく、おじいちゃんの姿はなかった。


「母ちゃん、おじいちゃんは?」

「お義父さんなら早苗と一緒に部屋に行ったわよ」


料理しながら答えてくれた。姉ちゃんも昨日の話を聞きに行ったのだろうと思い母ちゃんにありがとと言っておじいちゃんの部屋に向かう。


「―――として人々から崇められていたと言うことが分かるだけじゃ」

「現人神?」


障子で隔てられてるとはいえ微妙におじいちゃんと姉ちゃんの話し声が聞こえてきた。


「おじいちゃん」


そう言っておじいちゃんを呼ぶと


「慧人も聞きに来たのじゃろう?話し始めたばかりだから遠慮せず入っておいで」

「う、うん」


俺は障子を開けておじいちゃんの部屋に入った。鞄を部屋に置いて話を聞きに来たのか姉ちゃんは制服のままだった。

最初から出していたのか既に姉ちゃんの横に座布団が置かれてたからそこに座る。


「慧人にはまだ血筋の話をしてなかったのう。東風谷家は諏訪地方を統べていた神様の血を引いておるのだ」

「諏訪地方を統べていたって言ったら洩矢諏訪子?それとも八坂神奈子の方?」


途中寝てしまったとはいえ聞いていた部分を思い出しながら訊く。


「どっちの血が流れているかなんてわからないのじゃよ。代々口伝で神の血が流れていると伝えられてきて、系図を見ても初代の東風谷一禮(かずのり)からしか記載されておらんのだ。もしかしたら他にも文献はあったのやもしれぬが空襲で焼失した物もあるからのう」

「口伝そう伝えてきたんだったらどっかの代で捏造されたって可能性はないの?」


俺には何も感じず、ホントにいるのか怪しくなっておじいちゃんに言ってみる。


「わしはその可能性は無いと思っておる。何故ならこの文献に東風谷家には二柱と意思疎通が出来る人度々現れたと記述されており、曲がりなりにもわしはそのうちの一柱の存在を感じることが出来る」

「じいちゃん、それ本当!!」


祖父が一柱の存在を感じ取れるという事実に初めて知り、俺は驚く。


「そういえばおじいちゃん、さっき現人神って言ってたけどそれって何?」


ちゃぶ台の上に置かれている史料を見ながら姉ちゃんは思い出したように訊く。


「おお、忘れておった。現人神と言うのは自身が御神体となって信仰を集める人の事じゃ。例を挙げるならば天皇じゃな」

「天皇も現人神だったんだね」

「そうじゃ、東風谷家と同じように天皇にも神の血が流れており、その系図を遡ると神倭伊波礼毘古命(カムヤマトイワレビコノミコト)、所謂初代の神武天皇になりそこから更に遡ると邇邇芸命(ニニギノミコト)、天照大神となるのだ」


聞いたことがない名前の神様が沢山出てきて分からなくて首を傾げる。


「ほっほっほっ、慧人には難しかったかの。簡単に言うと――――」


不自然におじいちゃんの言葉が途切れた。そのあとおじいちゃんと姉ちゃんは同じ方向を見て


「諏訪子様!」「おお…、諏訪子様がわしの部屋に来られるとはなんとも畏れ多い…」


同時にそれぞれ言う。


「えっ神様いるの!?」


2人の声に気付いて辺りをキョロキョロ見渡すが、何も見えないし感じない。


「諏訪子様どうしたんですか?……………暇だからといって来られても…おじいちゃんがずっと頭下げてるんですけど」


周りから見ればそれは一人演技をしてるように見えるけど、実際は諏訪子と言うここの神様と話をしているように見えた。


「もしかしたらおじいちゃんをいじるのが好きなのかな…」


ポツリと聞こえてきた言葉に、俺は姉ちゃんが神様と会話していたという事実に興奮して


「すげー!ねーちゃん、神様と話出来るんだ!いつかねーちゃんみたいに神様見えたりしないかな!?」

「う、うん。祝詞を覚えたり筆頭神官になるように頑張ったら見えたりするんじゃないかな?努力は報われるって言うし…」


姉ちゃんみたいに神様が見えるように頑張ることを心の中で決めた。そして姉ちゃんがおじいちゃん、と声をかけると


「おお、すまなかった。ええと、どこまで話したかね。そうそう現人神じゃったな。現人神を簡単に言うと」

「人の身でありながら神として崇められるもの、でしょ?諏訪子様が言ってた」


どうやらあの時諏訪子が喋っていたらしい。


「東風谷家は神とともに生きることによって自身に信仰を集め、同時に参拝客を増やすことによって祭神にも信仰が集まった」

「今はどうなの……?」

「天皇は玉音放送で現人神で在ることを否定され、高度経済成長で神の存在を否定され、神への信仰が薄れ、科学が信仰される今の世は神々にとって日本という国は墓場じゃろうな」

「そんな…!」

「もし、信仰が無くなってしまったら神様はどうなるんだ?」

「憶測でしかないが信仰心が無くなれば存在を保っていられなくなるのでないかのう」


おじいちゃんの言葉に俺達は息を呑む。もし、おじいちゃんの言う通り日本という国は神々にとって墓場ならば、さっきこの部屋に来た神様もかなり危険じゃないだろうか。


「晩ご飯できたよー」


はーいと2人で返事をする。


「最後に一つだけいいかのう?たとえ神職に携わらなくても信仰心は忘れないでおくれ。さて、夕食ができたことじゃから食べようかの」


そう言っておじいちゃんは立ち上がって俺とおじいちゃんはリビングに、姉ちゃんは着替えに部屋に戻ってからリビングに来た。


世襲がなにか分からずGGったら地位や財産等を引き継ぐ、らしいですね。それと祖父の会話に風祝という神職も書き加えれば良かったと後悔中


次回にどうやって風祝を絡めようか考え中

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