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少女が歩む道  作者: 霧熊童子
〜プロローグ〜
2/27

邂逅

1話と2話を統合&一部修正しました(2/7時点)


私が小学生の時に祖父から聞いた話によれば、私たちの一族は遠い昔に諏訪地方を統べていた神様の血を引いているらしい。その血の影響か一族の中で稀に神様が見える人や、姿が見えずとも存在を感じ取ったりする人が現れたらしい。その時の私は神様を見ることは愚か、存在を感じ取ったりする事は無く、その話を他人事のように思っていた。あの頃までは…


神様()の姿がはっきりと見えたのは中一の頃だった。塾が終わって家に帰る時に視線を感じ後ろを見たが、大通りで人が多いという事もあってその視線の主はわからなかった。暫く歩いても視線が消えることは無く、私は怖くなって角を2つ曲がって路地裏に入り息を潜めた。そして走る音が近くなり、


「もしかしたら···は私達の···が···かい?」

「今まで···くて···の···ような···のに?」


等と所々聞き取れなかったもののそんな話し声が聞こえてきた。

聞こえなくなった所で一度深呼吸する。ホラー系では振り切ったと思ったら後ろにいる事がよくあるから恐る恐る後ろを振り返るけどいない。そんなことは無かったと思いながらも警戒しながら路地を出ると


「やっぱりここに早苗がいた」


と言う声が聞こえて、あまりにも驚いて声にならない声を上げて尻もちをついてしまった。


「この驚きよう、やっぱり早苗は私達の姿が見えているんじゃないかい?」

「みたいだね。今まで見えてなかったのに、どうしてだろうねー」


私の反応を見て目の前の少女と女性はそう話す。どうやら2人は私の事を知ってるらしい。


「どうして私の名前を知って…?お二人は…?」


驚きながらも何とか言うと


「いつまでも座り込むんじゃなくてそろそろ立ったらどうだい?」

「私達が地面に座り込む原因になったのに神奈子は冷たいなー。ほら立てる?手を貸そうか?」


そう言って少女は手を差し伸べてくれたのでありがとうと言って手を掴んで立ち上がる。


「私達のことを話して帰りが遅くなるのは家族に申し訳ないから早苗の部屋で私達について色々と話そうかねぇ」

「早苗の部屋は毎日見てるから心配しなくても大丈夫だよ!」


とかなり怪しい事を言っていて家に上げようか悩んでいると、


「私達の姿は皆には()()()()()()()()そこまで気にしなくて良いよ」

「そうそう。さっき早苗の部屋を毎日見てるって言ったけど実際その通りで毎日家に上がってるんだよ。っとお喋りはこの辺りにしてそろそろ帰らないと家族に心配かけちゃうよ?」

「あっうん、そうですね…」


とやや呆気に取られながらも何とかそう返事をして歩き出す。



――――――――――



「お二人って一体何者なんですか?さっきの見えていないってどういう…?」


家まで少し距離があるので一番気になっていた事を聞いてみる。


「私達は神様でね、皆には見えていないんだよ。まぁ早苗の一族には私達の姿が見える者が生まれたりするけど」


と少女の方の神様が私の疑問に答えてくれた。疑問が解決するよりも


「えっ、神様って…一体どういう…」

「まぁ普通に驚くし混乱するよね。家が見えてきたからその辺の話は後でしよっか」


少女の神様はこうなる反応だと分かっていたのか少し落ち着いた口調だった。

私は緊張しながら玄関のドアを開け、ただいまと言うと奥から母が


「おかえりー、晩御飯出来てるから早く着替えて降りて来るのよー」


私は返事をして早足で自室に向かった。

制服を脱いで部屋着に着替え部屋を出る間際に


「私達はここで待ってるね。食卓までついて行って早苗を気まずくさせちゃうのもアレだし」

「それは言えてる」


神奈子と呼ばれた神様が笑いながら少女の神様に言い返した。確かにいろんな出来事が起きて整理出来てないのに食卓までついてこられると食の手が止まりそうと思った。


「なるべく早く食べて戻ってきます」


私はそう言ってドアを閉めた。



いつもより少し早めに夕食を食べ終わって自室に戻ると


「早苗が戻ってきたからさっきは話せなかったことを色々話すとするかい」

「そうだね、まずは自己紹介をしよっか。私達は早苗のことを知ってても早苗は私達のことを知らないだろうし」


私は椅子に座りながら2人の神様の話を聞いていた。


「じゃあ自己紹介は私から。私は洩矢諏訪子って言ってここの神社に祀られてるよ」

「私は八坂神奈子で諏訪子と同じでここの神社に祀られてる。まぁ厳密に言うとここ、守矢神社ではなくて諏訪大社の方に祀られてるんだがね」

「あの、お二人はいつから私の事を…?」

「早苗が赤ん坊の頃からずーっとだよ。だからさっき早苗の部屋は毎日見てるって言ったんだよ」

「しかも幾千年という月日を早苗の一族と共にしてきてねぇ。知らなかったろうけど早苗の祖父の昌幸は私達の存在を感じ取れる人だよ」


なんと、祖父は2人の存在を感じ取れたらしい。そんな素振りが無かったので気が付かなかった。


「おじいちゃんが二人の存在を感じ取れたのは知りませんでした。でもどうしてその事を黙ってるのでしょうか…?」

「厳密に言うと昌幸は私の存在は感じ取れないけど諏訪子の存在を感じ取れるのさ」


神奈子様が少し修正をする。


「そうそう。昌幸は何故か神奈子の存在を感じ取れないんだよねー。えーっと、昌幸が黙っていた理由だっけ?早苗は子供の頃怖いものがダメだったからじゃないかな。だから早苗に怖い思いをさせまいと言わなかったんだと思うよ。」

「そうそう、いつだったかねぇ。夜中に早苗がトイレで目を覚ました時に少し驚かそうと風を使って窓を揺らしたらあまりにもビビっておも―――」


「あーーーあーーーーああーーー!!」


突然の恥ずかしい話に思わず声を上げてかき消そうとする。2人のことは皆には見えてないし声も聞こえてないのだからかき消す意味はないのだが当然


「早苗ーどうしたのー」


下から母の声が聞こえてくる。


「な、何でもなーい!」


慌てながらもどうにか答える。


「ふぅ…もー、どーしてくれるんですか!!危なく怪しい人に見られるところだったじゃないですか!!」

「あっはっはっ、いやーすなかったね。あまりにも懐かしくて思わず喋ってしまったよ。あの後諏訪子にやりすぎだーって言われて怒られたよ」


神奈子はどこか楽しそうに話す。


――――――――――


「早苗は今後どうするんだい?」


暫く雑談が続いたあと神奈子様はそう切り出してきた。


「どうする、と言いますと…?」

「東風谷家は代々神職に携わってるだろう?今までだったら無理に神職に携わる必要は無かった。けど早苗が私達の姿を見るどころかこうして意思疎通してる事が周りの神官達にバレたら強制的に位の高い神官に就かされるだろうねぇ」

「二人と意思疎通出来ることがそんなに珍しいのかな…?」

「遥か昔はそこまで珍しくなかったけど、今となっては珍しいよ。姿が見えたり感じ取ったりする程度なら偶に現れるけど早苗みたいに姿が見え、こうして意思疎通出来る人はここ数百年、事によると千年は現れてない。意思疎通ができるという点を除いても姿が見えてるから神官たちにバレたら昌幸みたいになるよ。まぁ昌幸に関しては努力して筆頭神官になったんだけどね」


神奈子様に代わって諏訪子様がそう答えてくれた。諏訪子様によれば2人の姿が見え、意思疎通が出来る人は約千年現れてないらしい。千年というスケールを出されて私は改めてこの2人は神様なんだなと実感する。


「この先どうしようかまだ決めてないですけど、おじいちゃんに相談してみます。あと慧人にもそれとなく相談してみます」

「そうしたらいい。早苗の人生は早苗自身が決めたらいいよ」


諏訪子様にそう言われ、私は頷く。



このあと3人で楽しくお風呂に入ったり一緒に寝て、早苗には楽しい思い出となった。


二次創作(厳密には三次創作?)を初めてネットに上げてみました!

この作品は凋叶棕のAt least one wordとA transient faithの2曲を自分なりに解釈して書いています


神職とか諏訪大社とか全くと言っていいほど詳しくなく、至らない所がありますが暖かい目で見守ってください(〃・д・) -д-))ペコリン


早苗が路地に身を隠して聞いた会話は

「もしかしたら早苗は私達が見えているんじゃないかい?」

「今まで私達の姿が見えてなくて、存在を感じ取ったりするような素振りもなかったのに?」

となっています

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