遠足前日譚
諏訪市に行ってみたい。そしてあわよくば住みたい
そう思ってるのは自分だけではないはず笑
前日譚かなり長くなりました笑
学校の年間行事の一つでもある遠足。曰く3年が自由に決めれて1年と2年が固定らしい。
そして私達1年生が行く場所が――
「湖畔公園かー。岡谷湖畔公園だったら嫌だなぁ」
そう愚痴るのは巡である。
「小学校の遠足で散々行ったの?」
「うん、飽きるほど行った。早苗は小学校の頃遠足どこ行ったの?」
「私は大見山に散々行ったなぁ〜」
小3から中2まで遠足はそこしか行かなかったから正直行きたいとは思わない。
「二つに分けて諏訪湖畔公園か岡谷湖畔公園になるらしいからね」
私が言うと巡が「諏訪の方、諏訪の方…」と必死に祈っている。
なぜ二つに分けるかと言うと私が通っている高校は一学年12クラスで合計約500人居るから分けるのだ。
HRが始まり担任の先生が教室に入ってくる。
「欠席は……居ないみたいだな」
欠席が居ないかを確認すると遠足について話し始める。
「2、3年生から聞いてる人も思うが1年生は2つに分かれて湖畔公園に行くことになってる。一方が岡谷湖畔公園、もう一方が諏訪湖畔公園だな。」
「先生、どうやって2つに分かれるんですか?」
クラスの誰かが質問する。
「分け方については各クラスの担任と話した結果1・2・3・4・6・12組が岡谷湖畔公園、5・7・8・9・10・11組が諏訪湖畔公園になった」
先生がそう言うと賛否両論の声が上がった。私はどちらでも良かったけど巡に関しては喜んでいる。
「次のLHRで班決めとかするからなー、以上」
そうしてHRが終わり授業が始まる。
―――――――――
「早苗やったよ、諏訪湖畔公園だよ!」
食堂で学食を食べながら巡は嬉しそうに言う。それほど岡谷湖畔公園じゃなかったことが嬉しいのだろう。
「メグ〜、もうそれで19回目だよ」
HRで決まってからずっと言っているのだ。英語の授業の時は嬉しさが顔に出て先生に言われた程である。
「えっ、そんなにも言ってた!?」
19回という数字を出すと本人はそんなに言ってる自覚が無かったのか驚く。
「友達や近くの席の人に聞いてみたら数字は分からなくてもどれだけ言っていたかわかると思うよ」
「そっかー、そんなにも言ってたんだ…でもでも岡谷湖畔公園じゃなかったから嬉しいんだよ」
私は「はいはい分かってるよ」と言って話を流す。
昼休みもいつの間にか終わりLHRが始まる。
「朝にも話したようにこの時間は班決め等諸々決めていくぞー。5つの班で各班計8人、さあクジでさっさと決めるから引きたい人から前に来て引いていってー」
担任の先生がそう言うと前が混雑し始めた。巡も先に行ってしまい私は前の方が空くのを少し待つ。
そして前の方が空いて来たので私は前に行ってクジを引く。そこには『1』と書かれていて1班の欄を見てみると半分が埋まっており、そこに巡の名前が書かれていた。
「やったー、早苗と同じ班だ!」
私が席に戻ると巡が同じ班になれて喜ぶ。
全員が引き終わり欄が全部埋まる。
「一部は俺が持ってくるけど、班になって材料何が必要か話し合ってー」
先生がそう言うとクラスは班になって固まる。
1班は私達の他に赤坂海斗、狗上蓮二、矢矧達也、田宮由紀、柊瑠璃、森山遥とクジでランダムに決まった割にはいい感じの男女比になった。
「器具や石炭、肉は先生が持ってくるとして、俺達が持ってくるものは割り箸や紙皿、紙コップと野菜類、タレぐらいか?」
「飲み物もだね。あと他には……」
「焼きそば作りたい人がいるなら麺やソース用意しないといけないけど作りたい人いる?」
班のメンバーで色々話していき、由紀が焼きそばを作りたい人がいるか尋ねてみるけど誰も居ない。
「居ないみたいだから飲み物と野菜類で何が欲しいか挙げていきましょ」
「そうだな…俺はとうもろこしやピーマンが欲しいな。飲み物だったら炭酸系だな」
「私炭酸無理なの。」
達也が欲しいものを挙げていると遥が炭酸が飲めないと言った。
「遥は飲み物何だったら大丈夫?」
「私は炭酸じゃなかったら大丈夫」
「炭酸と清涼で二本だね。八人いるからあと一本は欲しいね」
「炭酸は腹が膨れるし、残り一本は清涼でいいんじゃない?」
瑠璃がそう提案すると皆納得し決定する。
「私はマシュマロが欲しいなー」
「焼きマシュマロか、あれ美味いよな」
「幾つぐらいあった方がいいかな?」
「そうだな…二三袋あればいいんじゃないか?」
巡と蓮二の方ではマシュマロの話が進んでいく。
「フランクフルトも欲しくない?」
「あー、欲しいね」
「業務用が一袋あればいいかな?」
「それくらいでいいんじゃない?」
「現状纏めると、持ってくるものが割り箸と紙皿と紙コップ、ピーマン二袋とトウモロコシ二本とフランクフルト一袋、タレ二種と1ℓジュース三本とマシュマロ二三袋」
「先生の方もトングとか限りあると思うから家から持ってきた方がいい?」
「念の為持ってきた方がいいと思う」
「じゃあ持ってくるね」
海斗が材料の確認してると瑠璃が家からトングを持ってくると言う。
「材料がこれぐらいとして誰がどれを当日持ってくるかだな。だいたい1万5000~2万ぐらいかかるのか?」
「1人辺り2000円くらいあれば足りるかな?」
私が金額を言うと遥が大体それぐらいだねと頷く。
「明日の放課後に行ける人で買い出しに行く?」
「そうだね、明日行ける人はどのくらいいる?」
由紀が尋ねると3人手をあげる。
「えーっと、ウチと蓮二と遥と早苗の4人だね」
「蓮二君重たい荷物お願いね」
遥がそう言うと、任せとけと言う。
いつの間にかチャイムが鳴ってLHRが終わる。
「明日封筒用意するから各自それぞれ2000円ね」
由紀が費用のことを言うとそれぞれが了解して今日は解散となった。
◇◇◇
翌日の放課後、それぞれが掃除を終えて買い出しの準備をする。
「それじゃあ買い出しに行こっか」
由紀がそう言うとそれぞれが返事をして学校を出て近くのスーパーに向かう。
「そういえば俺達って絡みなかったよな?まだ入学してから1ヶ月も経ってないから当然といえば当然だけど」
道中蓮二がそんな事を話し出す。それを聞いた遥が「確かにそうね」と呟く。
「これからもよろしくな!」
「こちらこそよろしくね、蓮二君」
私は笑顔で蓮二に言う。
話しながら歩いているうちに、私達はスーパーに到着する。
「4人いるから纏まって行動するよりバラバラになって材料取りに行った方が早いね」
由紀がそう言うとそれぞれに指示を出す。
「蓮二君は炭酸一本と清涼二本、早苗はピーマンとトウモロコシ、遥がフランクフルトとマシュマロ、ウチがタレ二種と割り箸と紙コップと紙皿。それぞれを持ってレジ前集合で」
「おう」「分かった」「うん」
由紀が言い終えると三者三様の返事をして各コーナーへと向かう。
――――――――――
「えーっと、確かトウモロコシとピーマンだったね」
私は由紀に言われたものを思い出しながら野菜コーナーに向かう。
この時間は主婦が夕食の材料を買いに来るからあまりモタモタはしていられない。
野菜コーナーでうろうろしてるとトウモロコシを見つけたけどピーマンが売り切れていた。
「あちゃ〜ピーマン売り切れかー」
私はトウモロコシ2本を持って集合場所であるレジ前へと向かう。
レジ前に着くと既に遥が来ていた。
「野菜どうだった?」
「トウモロコシはあったけどピーマン売り切れてた。休日に早起きしてピーマン買ってくるね」
私はピーマンが売り切れてたので別の日に買いに行くように言う。そこへ由紀が来たので私と遥は手に持っていたものをカゴの中へと入れる。
「後は蓮二君だね」
「ジュースは人によって分かれるから細かく決めておけばよかったね」
遥が言うと私達はそうだねと頷く。
「遅くなってごめんな。どれがいいか悩んでしまってな」
蓮二がジュース3本持ってやってくる。サイダーとりんごジュースとお茶を選んでいた。
「あれっ、ピーマン売り切れてたのか?」
ピーマンがないことに気づいた蓮二が私に尋ねる。
「そうなの。だから休みの日にピーマンを買いに行こうと思って」
「休日かー、俺は用事あるからなー」
「私一人で買いに行くから大丈夫だよ」
私が慌てて言うと蓮二が「そっか…すまねえな」と謝ってくれた。
会計を済ませた後、それぞれが分担して荷物を持って解散する。
家に帰った後、私はトウモロコシを冷蔵庫に入れる。
「お母さん、冷蔵庫の中のトウモロコシは遠足で使うから勝手に使わないでね」
「分かったから早く晩ご飯食べなさいよ」
私は返事をした後手を洗ってから夕食を食べる。
食べ終わったあと部屋に戻って部屋着に着替えてると、
「遠足かー、今年もついて行こっかな」
案の定諏訪子様が言ってきた。
「大体そう仰ると思ってました…ですので休みの日に、買いそびれたピーマンに加えて内緒で牛肉1kgを買うので諏訪子様には付き合ってもらいます。神奈子様はどちらでも良いですけどどうしますか?」
私が呆れ気味に諏訪子様に付き合ってもらうように言い、神奈子様にどうするか尋ねる。
「私も食べたいから買い物に付き合うとするかい」
「では土曜日に買い物に行きましょう!」
買い物に行く日を決めた後私は勉強をする。
そして土曜日にピーマン2袋と牛肉1kgを別々で買って家に帰り、ピーマンをバーベキュー用に切ってタッパーに詰めて冷蔵庫に入れる。
Googleマップには大変お世話になりました
自分が通っていた高校は一学年5クラスだったので全国の平均的なクラス数は知らないです。
早苗の家は下諏訪にあって、高校は上諏訪にあるという脳内設定です。分からない人はGoogleマップを開いて大まかな位置を確認しよう笑