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依頼と準備と肉盾と

6話目

 パーティを結成したからには、どうしても言わないといけないことがある。早めに言ってしまおう。どうせ、肉盾程度にしか思われてないんだ、これ以上評価は下がらんだろう。


「パーティになったんなら、早速頼みが有るんだが……」

「えっ!?いきなり、ヤらせろとか言い出すの!」


 フラン、お前が俺をただの変態だと思ってることが、良くわかった。本当コイツあれだな。



「違ぇ、人の話は最後まで聞け。俺は今、全財産銅貨3枚でな。今日の朝食すら、コタリーに恵んでもらった身なんだ。早々で悪いんだが、討伐依頼受けてくれないか?」


 よし、とりあえず言いたいことは言った。ダメだったら、食い下がるまでだ。


「……ヒモ」


 ミューは余り喋らない分、クリティカルヒットがデカい。俺の心のHPはもうZEROだ。略して心Pだ。なんかこう、いい感じだろ。


「今日の宿代もねぇ。頼む」


 全員の視線の温度が若干下がったが、気にしてると飢える。最悪宿は無くても良いが、飯は確保したい。


「はぁ……しょうがないわね。私とフランは戦えないから、戦闘は任せ切りになってしまうけれど、いいかしら。肉盾の修理は任せて。見た目通り、回復魔法は秀でているの」


 神官だから回復魔法はそりゃ使えるんだろうが、肉盾の修理って、もう少し優しくしてくれても、罰は当たらないと思うんですが……


「……私はアタッカー、ディルはタンク、アルンはヒーラー。フランは何が出来るの?」


 確かに気になっていた。一般的にエルフは、魔力知力に大きく秀でている。だが、フランは戦えないと言う。正直、フランが知力に富んでいる姿は、全く想像出来ない。エルフの神秘性を正面から殴って壊すタイプだ。


「ん~特に無いかなぁ~」



 ちょっと待て、なんでお前冒険者になろうと思ったんだ。これでは、ただの自殺志願者だ。


「フラン、戦闘限定では無いは。ちゃんと答えてちょうだい」


 あ、そういう事ですか。本気でなんも出来ないのかと思って、超焦った。慌ててツッこまなかった俺ってば、最高にCOOL。


「え!そうなの!じゃあ~え~っとね~そ~だな~」

「いいわフラン。私が答えるわ。難しいこと聞いてごめんなさい」


 フランがダラダラ喋っているのが、頭に来たらしい。もう、お前ら本当になんで友達なの。アルンさんや、気が短過ぎませんか。大丈夫ですか、魚食ってますか。「生臭いから嫌よ」とか、魚を前にして、真顔で言うんだろうなコイツ。



「フランの主な仕事はレンジャーよ。罠の設置、解除と薬草や毒草、危険な一般動物に、キノコや山菜が食べられるか否かが見ただけで分かるそうよ。それに、エルフだけあって、森や山の中での方向感覚に優れるわ。戦闘に於いては、なんの役にも立たないけれど、ダンジョンのボックスも鍵開け出来るわ、シーフも兼ねているの。この子、頭はあんまり良くないけれど、手先は器用なのよ」



 褒めるか貶めるか、どっちかにしろよ。なに、あれなの。人を貶めながらじゃないと、会話出来ない呪いにでも掛かってるの。


「ん~大体そんな感じかな!アルンそんなに褒められると、照れちゃうよ!」


 大丈夫なようだ。本人は所々馬鹿にされているのに、全く気付いていない。それどころか、顔を紅くしてくねくねしながら、喜びに満ち満ちているのが、傍目によく分かる。そうだ、この子馬鹿だった。


「それに、居るだけで私とミューは襲われる可能性が、グッと下がるわ」

「ん……フラン便利」


 言い方ぁ。言い方気を付けてぇ。便利って、鋭利過ぎません言葉が。


 なんだこいつ等、フランに恨みでもあんのか。あぁ、恨んでますねミューちゃん。親の仇でも見るかのような目で、フランのおっぱい睨んでますね。女の子がしていい顔じゃないよそれ。


「早速、依頼に行かれますか?」

「なるべく、金になるので頼む。勿論、Fランクのヤツでな」


 暗に良いよなっと確認すると、何も返ってこないので、多分大丈夫。オーケーオーケー沈黙は肯定、いけるいける。


「じゃあ、えっと常時依頼で、西ボア・モアの森の、ゴブリン討伐なんてどうですか?Fランクの依頼では、マシな方ですよ!大体1グループ倒せれば、銀貨5枚は堅いです!」


 そんなにかビックリだぜ。と思ったが、1パーティ5.6人だって考えると、1人銀貨1枚か、それ以下だな。あんまり美味しくないな。


「ランクや難易度は、あくまで目安なので、それ以上のモンスターやトラップが出てきても、怒っちゃ嫌ですよ?」


 ふむ。こうやって、男性冒険者の心を掴むんだな。可愛い。


 冒険者は、男性人口が非常に多い。金の有る宿は、ものを言わせて綺麗どころをふんだんに揃える。目当ての子が出てきて、通い詰めれば、最初の投資など直ぐに取り戻せるからだ。故に、ウエイトレスのオネーサン達は、結構過激な服装だったりする。


 冒険者じゃなくても、通うヤツが居るぐらいだ。風俗より安いしな、腹も膨れる。その分指名とか無いけど。


「大丈夫だ。アルンとフランは食われそうだが、俺は皮膚が非常に硬いから、ゴブリンぐらいじゃ歯が通らないハズだ」


 これが、俺が1人でモンスターの出る危険性の一応ある街道を、行ったり来たり出来る理由だ。


「もし、ディルに見捨てられたら、バンシーになって(くび)り殺しに来るは」

「そうだそうだー!」


 フランは兎も角、アルンは本当にやりそうだから怖い。お化けは実害無いから怖くないけど、アンデットは本気で死ぬので、勘弁して欲しい。


 俺は密かに、全員が危機的状況になったら、アルンを真っ先に救う事を心に決めた。俺はまだ死にたくないからな。うん、あれだな、俺今最高にカッコ悪い。



「大丈夫だ、見捨てたりしねぇよ。龍の鱗は硬いんだ、ゴブリン程度じゃ刃も歯も通らねぇ。試してみるか?」

「あら、頼もしいはね?」

「……人龍族は、攻守共に魅力的」

「ディルの背中に引っ付いてれば安全かなぁ?」

「めちゃくちゃ気が散るから止めろ」



 フランが終始背中にくっ付いてたら、戦闘に全く集中出来ない。それどころか、背中に全神経を集中させてしまう。是非、試してみたいが、絶対に命懸けの戦闘では試したくないジレンマ。命とおっぱいを、天秤にかけるぐらい魅力的な圧倒的メテオ。俺の小宇宙が超創世記。




 依頼に出ることになってから、西の森はスグに着いた。徒歩数時間って所だ。浅い所は、薬草の採取で来てるのがチラホラいた。


「意外と人が居るはね?本当にゴブリンなんて居るのかしら?」

「奥のこっちの方に、マナの濃い場所が有るみたいだよ!」


 エルフは、魔力の元となる魔素に敏感だ。魔力適性の殆どない人龍族にはサッパリだが、人族でも、上位のソーサラーになると自然と感知出来るらしい。


 魔素で一番有名なのは、濃ければ濃い程、そこに強いモンスターが生息するという事だ。


 ドラゴンとかになってくると、ドラゴン自体が魔素の発生源だったりする。ドラゴンはモンスターの中でも、最強の一角を担う種族だ。


 ミューが人龍族が強いと、繰り返す理由はそこにある。一般的に俺ら人龍族は太古の龍、エンシェントドラゴンの、それも地殻龍の血を引いているとされている。


 龍に限らず、地属性は防御が硬い。その、地属性の最たる龍の血を引くとされる。だから、皮膚が現存する人側の種族の中で、最も堅牢で強固な種族だそうだ。


 もちろん本当かどうかは知らない。

 そんな事を考えていたら。



「ストップ!なんか来るよ!戦闘態勢!」


 俺からは全然見えないが、森の中でエルフが言うんだ、ほぼ間違えないだろう。


 俺達が、最初に決めた戦い方はこうだ。


 並びは前から俺、フラン、アルン、ミューだ。戦える人間が少ないのでこうなった。先ず、後方の安全を確保した後、アルンとフランを下がらせる。


 フランとミューの位置を交換し、ミューが前衛に加わり、フランが後方を警戒する。


 俺の仕事は、後方の安全確保と、フラン達が入れ替わる時間を耐えることだ。正しくタンクそのもの。


 そして、回復役のアルンを全面的護りながら、ミューと共に攻撃に加わる。


 この時に、後ろからモンスターが来ても、フランがいち早く発見してくれるので、俺はミューが下がる時間を稼げば良いだけだ。


 ミューは直ぐ後ろに、俺が居ることにより、後方の護りを気にせず、前面の敵だけに集中して戦える。


 俺達がとれて、俺達が考えうる中でも、一番安全重視の陣形だ。


 だが、前の敵を通さなきゃ、背後は気にしなくていいってのは有難い。頭を使わなくていいし、前面のみに集中できる。因みにアルンの案だ。


 最初は説明されても、よく分かんなかったが、諦めず懇切丁寧に教えてくれた。アルンは、イイヤツかもしれない。多分、自分が一番安全な陣形を、提案しただけだと思うがな。そして、十中八九後者だ。


 初戦闘を控え、気分の昂った俺はゆっくりと、気持ちを落ち着かせるために、盾と斧を握り直した。立ち塞がる敵は皆殺しだ。

次回戦闘です。

ダラダラ進めすぎかな?なんだろうもっと戦った方がいいんかな?

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