奴隷商めぐり
メインの中央通りを一通り探したが、巨乳のエルフなんていう、ドラゴニックレア種は、何処にも見当たらなかった。
まあ、当然ちゃ当然だよな。やっぱ、タダの迷子じゃないか。
悪徳な奴隷商人なら、入り組んだ路地裏かな。
他に心当たりが無いだけだけど。
俺図体デカいから、細い裏道とか嫌なんだよなぁ。壁とか壊して怒られるのダルいし。
あんだけ上玉なら、もうとっくに、奴隷商に売られてるかも知れんな。
貴族に買われてば尚良なんだが、アルン様々を連れきゃ一発解決だし、どっかの貴族に買われてねぇかな。
俺の脳味噌で考えてても仕方ないし、手当り次第奴隷商人のとこ回るか。……めんどくせぇ。
探したけどー見つかりませんでしたー!ってアルンに報告しょうか。うん、殺されるな。ギロチンとかで。
いや、龍の目玉のスープとかにされて売られるか?どのみち碌な事にならんな。真面目に探すか。
結構頻繁に娼館とか行くし、アングラなところは俺のテリトリーだぜ。奴隷商の位置なんて、初めての街でも、感で分かるぐらいには、エロい店に通ってるからな!
あ、だからアルンが俺をフラン探しに任命したのか!得心がいったな。
浮浪児のいる区画を抜けて、裏路地の中でも、少し小綺麗な場所に出る。
お偉いさんの護衛とか、代理人も来るから、ちょっとぐらい小綺麗な場所じゃないと、寄り付かなくなっちまうからな。
早速奴隷商発見だぜ!いや、流石俺。超優秀。
「おい。中見せてもらうぞ」
「ようこそいらっしゃいました!本日はお越しい……」
「挨拶はいい。勝手に見るぞ」
「こ、困りますお客様」
挨拶もそこそこに、ズンズン奥へと進んで行く。いや、挨拶ちゃんと聞いてないから、そこそこですらねぇな。まあ、どうでもいいか。
奥の扉を開けようとすると、鍵が掛かっていた。
「建て付けが悪いようだから、俺が直してやろう」
「い、いえ、それには及びません。それに鍵がかかってますからって、ああ!!!」
バギャっと扉ごと取り払ってやる。
「お、スマンスマン。力を入れ過ぎたようだ」
「オイてめぇ!あんまりふざけてるとつまみ出すぞ!」
「あ゛?一体誰が誰をつまみ出すって?喰うぞゴラァ!!!」
真上から大口を開けて迫ってみる。
「ひぃぃ!誰か、誰か来い!」
「どう致しましたか!」
「大丈夫ですか!」
さっきの怒鳴り声と、扉の破壊音で、既に近くまで来てたようだな。そりゃそうか。大きな音で来てなかったら、護衛として無能過ぎるもんな。
えー、いちにぃさん……沢山だな。数えられない訳じゃないぞ。面倒なだけだ。
「貴様何者だ!とっとと出ていけ!」
「あん?ふざけんなよ。俺の後ろには、大貴族様がついてんだ。こんな、真っ当じゃ無さそうな場所に店構えてるお前らの100人や1000人消えたって、こっちはどうって事ねぇんだよ!」
権力最高。後ろ盾万歳。好き放題、やりたい放題!アルンが仲間で良かった。
「貴様のようなゴロツキに、そんな後ろ盾等あるものか!つまみだせ!」
当然のようにかかってくる。
信じないよな。俺だって信じない。
あー殺そ。もうダルいし、ウザいし、女じゃないし、俺悪くないし。フランが悪いし。
それにいいよな。真っ当な商売してる奴隷商人は、こんな如何にもなところに店構えないから、潰していいだろ。今から行うのは、人攫い対暴漢って事で。
そもそも、穏便に済ませようとするなら、俺を送り込むべきじゃ無かったので、全てはアルンが悪い!
店の中なので少し狭いが、壁も壊す気だし、ガンガンいこう。
「死ねオラァ!」
取り敢えず先頭の奴に、一発ぶちかます。
「ガァ!」
大振り過ぎたのか、殴った奴の後ろから、攻撃が飛んでくる。っへ、チクチクウザイ奴らだ!本気で振れない店の中で、俺の皮膚を貫通できる訳ないだろ。
「クソッ!人龍族め。噂には聞いていたが、想像以上に硬いぞ。刃が通らないなんて」
「あったりめぇだ!この貧弱もやし共。雑魚雑魚雑魚!効かねぇ、全く効かねぇぜ!オラァ!内臓をぶちまけろ!」
三人をまとめて薙ぎ倒す。おいおい。俺を倒すには、刃の長さが足りねぇな。室内で振り回しやすいように、小型の武器を選んでるのは流石護衛だ。相手が悪かったな。
「武器が効かないなんて、そんなのありかよ!」
「この化け物め!」
「化け物上等!早く倒さねぇと、頭から喰っちまうぞ!お前の腸も喰ってやる!生きたまま踊り食いだ!」
更に二人程殴り飛ばす。いや、別に飛ばしたくて飛ばしてる訳じゃないんだよ。弱っちくて、勝手に吹っ飛んでいくんだ。
残りは店主と、腰抜けが一人か。腰抜けは、ほっといてもいいな。
劣勢と見た店主が声を掛けてくる。
「ま、待て、待ってくれ!」
「なんだぁ?」
「来るなり、いきなり暴れて、要求はなんだ!どこの手の者だ?そうだ!私にできる事なら叶えよう!奴隷も何人かくれてやる。どうだ?だから、一先ずは落ち着いてくれないか」
要求?別に強盗じゃないんだが。取り敢えず、聞きたいことを聞いてみるか。
「フラ……」
フランって、名前なんだっけ。いつもフランって読んでるから、分かんないぞ。フ、フランベ?フランボア?なんでもいいや。
「胸のデカいエルフを知らないか」
「それを確かめる為に、わざわざウチを襲ったのか?」
「いや、素直に見せてくれさえすれば、暴れるつもりは無かったぞ?」
「な、なんと乱暴な、最初に聞いてくれれば」
「バカ言うな、胸のデカいエルフだぞ?とんでもない上玉だ。王族や公爵に献上してもおかしくないクラスだぜ。隠してる可能性のが高いだろ」
「悪いが、ウチにはそんな美味しい話は来てない。確証があって、暴れてるわけではなかったのか」
「手当り次第だ。奴隷商で手当り次第暴れるつもりだ」
「交易都市だぞ?奴隷商人だけで、一体どれだけ居ると思ってるんだ!というか、ウチの店どうしてくれるんだ!大体、なんで人龍族がエルフ探しなんて……」
「俺が彼氏にでも見えるか」
「見えん」
「そういう事だ」
「護衛というわけか」
なーんも考えてないけど、多分大丈夫だろ。店?知らんな。俺は悪くないぞ。アルンがなんとかするだろ。
「そんな上玉なら、ウチのような店には流れてこないだろう。高級店でも探したらどうだ」
「そうだな。よし、紹介状を書け。書いたらこれ以上店で暴れないでやる。なんなら、奴隷のいる檻を片っ端から破壊しても俺は困らん」
「分かった!書いてやるから、とっとと帰ってくれ!これ以上暴れられてたまるか!」
高級奴隷商の紹介状を手に入れた。ふっはっはっは、最初からこれが目的だったんだよ!嘘だけど。結果的に良かったので問題無い。
護衛が数だけの雑魚で良かったぜ。
あの奴隷商に聞いたとおりに、大通りを過ぎて金持ちが住んでる区画の、少し手前に高級奴隷商があった。
奴隷商も、儲かると出入口に門があるんだな。門番もいる。正規の高級店は違うぜ。
あの非合法奴隷商人の紹介状に、どれだけの価値があるか知らんが、入れなかったら押し通ろう。あれ?最初から紹介状要らなかったな。
「おい。そこの下っ端。紹介状だ。通せ」
そのまま門をこじ開けて行こうとすると、待ったがかかった。
「ま、待ってください!主人に確認してきますので!」
「面倒だな。俺が直接鼻っ面に叩きつけてやろう!」
「待ってください!応接室にて、おもてなし致しますので、確認が取れるまで、そちらでお待ちいただけないでしょうか!」
それって、結局勝手に通してるけどいいのか?まあ、門破壊されるよりマシか。俺門番じゃないし、コイツがクビになろうと関係無いか。
「そこまでいうなら待ってやろう。案内しろ」
「は、っはい!」
途中門番からメイドに案内役が代わり、案内されると、非常に広い部屋に、ふかふかの絨毯。やたらと高そうな、古臭いテーブルとイス。あん?アンテーイカ?とか、いうやつだ。博識な俺凄いな。家具屋にもなれそうだ。
高級なカップに高級な紅茶、美味いクッキーに美人のメイド。最高のおもてなしだな。後は、メイドが脱いでくれりゃ文句は無いんだが、そういう店じゃないしな。
可愛いメイド達を、穴が開くほど鑑賞しながら、俺にしてはジッと待っていると、良い仕立てのオッサンが来た。
「アンタが商人か」
「左様でございます。この度は」
「巨乳のエルフを出せ」
「なっ!」
オッサンのこめかみの辺がヒクヒクしている。痒いのか?
「どうした?早くしろ」
「申し訳ありませんが、当店では扱っておりません」
「そうか。なら、探して来い。これは、ネルフ家のお嬢様からの命令だ。遅ければ遅い程、立場が悪くなると思えよ」
「失礼ですが、ネルフ家の代理であると分かるものをお持ちで無ければ、そのように対応をさせて頂くことは出来ません。なにか、代理人だと分かるものをお持ちですか?」
「持ってないな」
「では、申し訳ありませんが、再度お持ちの上でお越しください」
「面倒だ。どうなっても知らんぞ」
「お聞きいただけないのであれば、こちらも相応の対応を取らせていただきます」
ん〜。正規の高級店だしな。憲兵とか呼ばれても面倒だ。一度帰るか。
「分かった。本人を連れてこよう。だが、連れてきた時には、お前らは手遅れだと思うがな。お嬢様は苛烈だぞ」
アルンがどういう対応をするか分からんが、適当に脅しておけばいいだろ。
一体いつフラン探しは終わるんだ。




