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格上の強さ

15話目

やっとかと思ったけど、思いの外あんまり書いてないな。気分は30話ぐらい(笑)

 さて、パーティ名も『月下炎雷の槌』に決まったことだし、昇級試験張り切っていくかな!


「では、Dランクパーティ『蒼炎の斧』とFランクパーティ『月華氷焔の盾』の模擬戦を開始します。開始位置に付いてください」


 アナウンスのお姉さんの声が響く。コレは風魔法の応用だ。声を風魔法で広範囲に拡散してるらしい。なんか『送る』みたいな意味の魔法名だったが忘れた。アルンに聞いてくれ。


 よっしゃぁぁぁぁ!…………あれパーティ名間違ってた俺超恥ずかしい。そうだ、なんかもっとカッコイイ名前あったんじゃね。みたいな話を提出後にしてたら、色々混ざって訳分からんくなったんだった。『星霜の導き手』とかカッコよかったなぁ語感が。



 気を取り直して、コチラの陣形はバックアタックの心配が無いので、俺とミューを全面に押し出し、アルンとフランは最後方で司令塔。シェーネは中間位置で、詠唱待機のままアルンの指示によって魔法を撃つって形だ。


 相手の戦術と個人の動きまでもを目が良く更に、鑑定系の上位技能を習得できる程の頭脳を持ったアルンがよみ、敵魔術師の魔法発動タイミングをフランが教えてくれる。


 アルンの先読みと、フランの魔素反応速度に、俺達3人がついていければもしかしたら勝てるかもしれない。


 相手方の『蒼炎の斧』は6人パーティで、戦闘出来ないヤツとかは居ないらしい。まあ、当然だ。自分で自分の身を守れないのに、冒険者をやるなんざ普通に考えりゃ正気の沙汰じゃねぇ。


 ようするに、アルンとフランの度胸は並じゃねー訳だ。フランは何も考えてないだけかもしんねーけどな。


「ルールは事前に説明した通りです。アクセサリー等の使用は許可しますが、武器防具はコチラが指定した物を装備するものとします。魔法、戦闘技能、種族特徴の使用は自由です。それでは開始してください!」


 実質3対6だな。いや、向こうの神官様はメイス使いだからわざわざこっちまで乗り込んで来ねぇだろうから、3対5だな。えっと、男戦士に、男剣士に、女魔術師と、女神官、男砲術士、女弓術士か。


 さて、通常の戦闘で敵のが多いなら先ず、最初にすることは数を減らすことなんだが、アルンさんよぉどうすんだ。敵さんは俺らがいつも相手にしてる雑魚が苦戦するような数居ても、ものともしねぇような奴等だ。しかも、この人数差だと固定砲台と化す魔術師と砲術士が厄介だ。


 流石Dランクパーティ。遠距離も中距離も近距離も文句無しの布陣だ。



 俺が戦士と剣士を受け持ち、ミューが後衛を襲撃する予定だが、無理だった。


 相手の剣士が早過ぎる。Dランクパーティのメインアタッカーは伊達じゃ無かった。奥に走ってたミューが速攻で捉えられた。


 序盤で相手の後衛を潰せなければ、コチラに勝ち目は無い。遠距離から、こっちの後衛組狙われたらパーティが機能しなくなる。回復兼司令塔のアルンを潰されれば、パーティが成り立たない訳で……戦闘で最初に組織の頭、若しくは回復役を潰すのは常套手段だ。


 ウチのパーティ、一番狙われる奴が1番弱い訳だ。フランはエルフだから、回避はお手の物だからな。


 ミューは持ち前の素早さでなんとか、撃ち合ってはいるが、どう見ても押されている。向こうには一撃も入れることが出来てないのに、ミューには数度当たっている。


 そんで俺も押されはしてないものの、盾と得物をぶつけあってそっから動けねぇ。この体格差で押し切れねぇとか、どんな超人だよバカヤロー。



 コチラが二人共攻めあぐねていると、向から矢やら、弾やら、魔法やらが、バンバン飛んでくる。痛てぇチクショウ。


 こりゃ押し切られるな……シェーネと敵さんの詠唱速度も、威力も範囲も全てが違い過ぎる。優秀な魔術師は一撃で戦況を左右すると言うが、そこまで行かないにしても、全てが二段階シェーネより上だ。



 げぇ。こっちも不味い。熟練度の差が如実に出てきやがった。力は同等ぐらいのハズなのに、受け流し方が向こうのが上手い。


「なぁぁめるなよこの、人風情がァ!龍の血がどれだけ恐ろしいか見せてやる!死に晒せ!!!」


 チィ。やっぱり実力が上の相手にゃ龍の咆哮は効かねーか。


 なら、コレはどうだ。最近体内の闘気の巡りが良くなって扱える総量が増えたんだよ。俗に言うレベルアップってヤツだ。普通の女の子が最初化粧も微妙だったけど時間が経ったら化粧が上手くなってて思いの外綺麗になったみたいなヤツだ。


 喰らえッッ!龍の吐息。


「ヴォァァァァァァ!!!」


 このドラゴンブレスは、文字通り龍のブレス攻撃を模したものだ。威力も範囲もドラゴンと比べたら、火花ぐれぇのもんだが、金属鎧着てるタンク職には辛いだろうよ!


「ぎゃぁ!?!クッソ!人龍族との戦闘経験なんかねーよ!」


 がぁぁクソがァァ!ダメージ与えたと思ったらすかさず回復が飛んできやがる!これだから対人戦と言うか、対パーティ戦は面倒なんだよ。


 神官はアルンのが、優秀みたいだ。詠唱速度も回復量も回復速度も完璧だ。使用する回復魔法の大小も上位鑑定系持ちのアルンのが適切だ。


 だが、体力が減るのはこっちのが早いからな。アルンの魔力が尽きねぇか不安だ。


 フランの魔力感知は適切で、相手の打撃攻撃と魔法攻撃が被りでもしない限り避けられる。そこに弓と砲撃が加わると俺の反応速度じゃどうしようもないがな。



 弓は大して痛くねーけど、砲撃のダメージが一々デカい。何より厄介なのが多分俯瞰系の技能持ちだ、上からフィールドが見えてやがるなあの砲術士。多分あれが司令塔だ。


 戦士や、剣士が作り出す死角から的確に当ててきやがる。このクソ重い前衛と、クソ速い前衛を凌いでる間にキッチリダメージ積んで来やがる、もしかしたらこのパーティで1番危険だぜ。


「皆全力で下がって!」


 フランから慌てた声で指示が飛んでくる。


「数多を溶かし、穿つ雨となれ!『アシッド・レイン』」


 広範囲の酸攻撃かよ。模擬戦で失明でもさせるつもりかコノヤロウ。


 危ねぇ危ねぇ。後ちょっと下がるの遅れてたら身体が溶けてたぜ。


 よし、降り終わったな。突っ込むぜ。


「オラァ!」

「効かんなぁ!」


 さっきの酸のせいで、床が溶けたのかデコボコしてて踏ん張りが効かねぇ。


 俺らは森とか、平原、洞窟みたいな場所で討伐してるが、Dランク達はもっと足場が悪い場所でも戦い慣れてるみたいで、体感的にさっきとパワーが変わらねぇ。寧ろ増えた気すらする。


 ミューの方は相手の速さに慣れてきたのか少し避け始めて来てるが、浅すぎる。避けれるようになってそっちに意識が割かれたぶんトータル的に相手へのダメージは減ってる。被ダメが減ってるはいい事だけどよ。


 こっから更に数回数十回と撃ち合っていくが、状況は打開されない。俺へのダメージは殆ど無いものの、敵の攻撃が体力の少ないミューの方に集中しだした。万事休すだ。この戦士一撃一撃が重くて俺は禄に動けない。


 シェーネは敵剣士には動きが速くて当てられないらしく、こっちの戦士に撃ってくれるんだが、見るからに消耗する少し前ぐらいに、回復が飛んでくる。しかも、シェーネは時折狙い済ました様にアルンやフランに飛んでくる矢や、弾も落とさなきゃならない。アルン同様そろそろ魔力がキツそうだ。



「ッチ!アルンこのまま防御に徹してても埒が明かねぇ!ミュー攻めるぞ!」

「……分かった」


 行くぞオラァ。ド畜生が。


「ディル!ミュー!ダメよ!引いて!」




 は?    ガッシャァン!!!


「……グアァ!」

「……ック!」


 な、盾が!


「……!剣が!」


 畜生が!何が起こった!


「やられたは!引いて!」


 早く立て直さな……


「グハァ!」

「ヒャア!」


 吹っ飛ばされた。ミューは……ダメか。


「そこまで!救護班は重傷者無しで待機。双方とも、戦闘態勢を解除してください。貸与えた、武器や防具はこちらで回収します。係りの者に渡してください。これにて、昇級試験模擬戦を終了致します」



 かくして俺らの昇級試験は終了した。消費した体力や魔力、傷なんかは神官集団とアイテムで回復してくれた。アイテムは格安だったぜ。


 良かったぜ本当。武器の格差を無くすために、指定された装備使ってて、流石に酸はえげつない。



 試験後教官側のDランクパーティ様から総評をいただけるそうだ。要らねぇ。さっさと結果出せよ結果。


「やあ、君たちお疲れ様!僕は『蒼炎の斧』のパーティリーダーで砲術士のクリトカフだ」


 名乗ってくれたとこ悪いんだが、アレだろ。コイツ、モブキャラだろ。絶対この試験終わったらもう、会わねーし。


 ……ここは、深呼吸して大人の対応をしないとな。アルンの視線がそうしろって言ってるしな。


「そっちもお疲れさん。俺は『月華氷焔の盾』のリーダーで、タンクやってるディルってもんだ」

「あれ?そうなの。そっちの女の子がリーダーだと思ってたよ!」


 コイツ爽やかさがキラキラしてウゼェな。目の前ウロチョロされると羽虫と間違って叩き潰してしまいそうなタイプだぜ。因みに俺は苦手と言うか嫌いだ。ってかコイツ失礼だな。


「おい。お前失礼だな。踏み潰すぞクソムシが」

「はは……大物ぶる気は無いけれど、君も先輩冒険者に対して大概だと思うけどな」


 ダメだ気を抜くとイライラする。


「すまねぇな。口が悪いのは生まれつきだ。最早種族特徴と言っていい程人龍族は口が悪く高圧的だ。許せ」

「私からも謝罪させていただきますは」


 うわぁ……アルンセコイなぁ~アルンが申し訳無さそうにしてると、謝られてる側が非常に悪者に見える。まるで、相手がアルンに謝罪を強要したようだ。実際には全くそんなことはないのに、見た目って怖い。


 そして身長差からくる、トドメのナチュラルな上目遣いだ。大体の男はこれで落ちる。アルンは自分が、相手に1番美しく又は可愛く見える角度を熟知してるからな。分かって見てても可愛い、正に反則級。


 アルンはどの角度から見ても、文句無しの絶世の美女だ。それが完璧に計算された仕草で落としに来る。鬼強だ。場合によっては女も落ちる。顔が整い過ぎなんだよなぁ……


「い、いやぁ!全然。全然怒ってないよ!そうだよね。僕が悪かったよ!あはははは……」


 落ちた。デレデレだ耳まで真っ赤だぜ。男女比が丁度良いパーティだから多分3人の内誰かが、リーダーの女なんだろうな。『蒼炎の斧』の女性陣側からプレッシャーという名の視線を激しく感じる。


 女の子の視線独り占めだぜ!矢面に立ってる俺ちっとも嬉しくないけどな。視線の強度高くない。俺のこと射殺してない。アルンさり気なく俺の影に隠れるんじゃねー。


「ねーねー!アルン。そーひょーってなあに?」


 ここでフランの登場だ。近距離でフランをガン見してしまった戦士と剣士アウトー。向こうの女性陣の温度が下がった。超氷点下だ。なんだよ超氷点下って、ちょっと強そうじゃねーかよ。しかも少しカッコイイ気がする。


 アルンもフランも初期配置に着いた時遠かったからな。間近で見たらヤバイだろうな。


 そこにミューとシェーネまで加わる。透き通った髪で神秘性を醸し出すシェーネと、中性的でボーイッシュな不思議な雰囲気のあるミューだ。四人揃うと最強に見える。見た目だけなら心が浄化されていくようだ。


 アルンが飛び抜けていて、次にフランの爆乳と言うか超乳というかが目に飛び込んで来るので陰に隠れがちだが、シェーネとミューもその辺を歩いていれば、かなりの美少女だ。


 容姿対決は誰が決するでもなく、勝手にウチのパーティに軍杯が上がった。相手が勝手に肩を落とした感じだ。まあ、男女で肩を落とした理由は違うがな。


 女性達は男共がデレデレしてるのと、アルンの見た目やフランの胸と比べて落ち込んでいる。


 男共は俺を見てなんで、こんなのがパーティ唯一の男なんだ許せん。って顔をして俺を睨んでいる。


 正直見た目だけならコイツ等と俺が並んで居ると、悪質キャッチバーだしな。入店とエール1杯で御一人様銀貨80枚になりまーす。


 おっとアホな事言ってないで総評ちゃんと聞かねーとな。いや、聞かなくて良くねぇか。面倒だしキラキラがウザイし。






 っというこで総評終わり!やっぱり全然聞く気が湧かなかった!仕方ないね。殆どアルンに試合後に聞かされた反省点と同じだったしな。最初にキラキラから出てきた言葉が、アルンとフランがウィークポイントとか、見りゃ誰でも分かるっつーの。


 節穴かよキラキラ。節穴だぜキラキラ。ざまあみろ。あ、ヤベェキラキラ言ってたら名前忘れたなんだっけ。ク……クロンカイトだったっけ。


 ま、まあ、そのクロ?なんとかはどうでもいいんだよ。試験結果は合格だ。


「やったぜ!」

「当然ね」

「わーい♪」

「……疲れた眠い」

「私が居るんだもの当たり前じゃない!」


……5分の2が、女性の半数が上から来るとかこのパーティクソめんどくせぇな。


俺達の戦いは次のステージへ。次いでに日常もな。

俺達の冒険はこれからだ!

最低ランクが1個上に上がっただけなんだけどね(笑)

まだまだ続きまーす。

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