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新たなる力それは魔法

なんでこんなに時間かかったんだort

12話目です。

 前回の討伐から数日後、俺らは戦闘出来るパーティメンバーを探す事にした。


 後方からの攻撃魔法や、補助魔法、阻害魔法が有れば前回もっと楽に安全に依頼達成出来たはずで、全員がパーティの火力不足を痛感した感じだ。



 んで、もって今日はその日だ。我らが、忘却と驚愕の尻尾亭の女神ことコーガ・タタリアさんの紹介で、魔法使いと会わせてもらえることになった。


 俺らで数日間探し続けたが、4人もいて誰も宛が無かったのだ。


 あんまりに見つからないもんで、店にたむろってクダを巻いていたら、コタリーちゃんが世話をやいてくれたのだ。普通に迷惑な客である。


 まあ、冒険者の客俺らしか居ないんだけどね。たまに来るのは飯を食いに来る普通の一般客だけだ。冒険者風のヤツも来ることは来るが完全に御飯処としてだ。冒険者の宿としては全く機能して無いと言っていい。


 そんな事を考えながら待っていると、店の入口が開き赤髪の女が入って来た。


「あ!来てくれたんですね!シェーネさん!」


 ふむ。俺程じゃないが中々凶悪な目付きの美人だ。なんで、毎度美人なんだよ。いや、嬉しいけどさ。絶対コイツも性格悪いよ。


 アルン、フラン、ミューと来て流石の俺も学習するぜ。正確に言うと多分コイツも絶対俺に対して当たりがキツイ。性格だけにな。


「えぇ。私が来てあげたは!コーガ!」


 何様なんだよコイツ……


「はい!嬉しいです!お部屋から出てきてくれて!」


 ひきこもりかよぉぉぉぉぉ!!!


「なっ!ちがうはよ!いや、違わないけど違うのよ!」


 スマン。俺のように脳レベルが低い人間にも分かるように頼む。


「つまりどういうことだ?」


 シェーネが直ぐに答えてくれた。


「ルーンスペルマジシャンなんて皆引きこもりに決まってるじゃない!魔法の研究で忙しいのよ!」


 キッと睨み付けられた。まあ、それはアルンで慣れてるから良いんだが……慣れてるとか切なすぎんだろ俺。



 とりあえず、ルーンスペルマジシャンってなんだよ。疑問に思ったことはなんでも聞けってばっちゃが言ってた。どうせ考えても分からないなら最初から聞けって意味だ。酷でぇなうちのばーさん。


「そのルーンなんたらってなんだよ?食えんのか?」


 待て待て。なんでお前ら俺を白い目で見てんだ。特にフランてめぇはダメだ。馬鹿に馬鹿だと思われるのは許せん。流石に食えねぇことぐらい分かってるっつーの。


「なんちゃらじゃないはよ!このバカ!ルーンスペルマジシャンよ!一般的にはソーサラーとか、コンジャラーとか魔法使いの総称の事よ!貴方馬鹿なのね」

「因みに付け足してあげると食べられないはよ?」


 シェーネとアルン。アルンだけでも俺のメンタルを容赦無く削っていくのに、また俺へのアタッカーが増えたようだ。全く歓迎できん。俺はマゾじゃねぇ。


 だが、最高に紳士な俺はそんな事を顔に出したりせずに道化を演じきるぜ!


「そうか。食えねぇのか残念だな!」


 どうだ俺の道化っぷりは最高の演技だろ。


「ディル~口元が引き攣ってるよ~」


 フランにおもっくそダメ出しされた。俺の主演は無理らしい。


 そして、例の如くアルンから丁寧に自己紹介タイムだ。


「シェネト・クライアスよ!レッドキャップごときに苦戦したんですってね!でも、私が居ればもう大丈夫よ!」


 シェネト・クライアス愛称はシェーネ。性格が悪い。よし覚えた。


「言ってくれるじゃねーかネーチャン!」

「シェーネで言いはよ!えっと……そこのデッカイの」


 クソう名前ぐらい覚えてくれぇ……俺ってばマジ主人公だからよぉ。


 ほら見てみろよこの体格、この顔立ち!


 どう見ても、誰がどう見ても、最初の導入で主人公に打ちのめされるチンピラだった。


 誰か誰でもいいから俺に主人公力を分けてくれ。あ、元気はいらないです。フランでお腹いっぱいです。


「ディルだ。俺の名前を忘れるとかお前やばいな!俺は初対面のどんな奴でも一回見れば嫌でも覚えるってよく言われるんだがな」

「えぇ、そうでしょうね。そんな凶悪な極悪人面を忘れるとしたら記憶喪失ぐらいしか無いでしょうね」


 アルン俺に追い討ちをかけるのは止めろ。


「それにしても聞き捨てならないはね。貴女はレッドキャップに苦戦しないとでも言いたいのかしら?」


 アルンが自信たっぷりに聞けばこちらも自信満々に言い返してくる。


「あったりまえじゃない!このシェーネ様が居れば楽勝よ!」


 頼むぜアルン様。この小生意気な小娘を言い負かしておくれ。


「そう。じゃあ、ディル。裸にひん向いてゴブリンの巣穴に捨ててきてあげてくれるかしら?犯されも、殺されもせずに戻って来たら認めてあげるは」


 シェーネの顔がみるみる青ざめていく。真っ青である。やはり小娘ごときでは我らが悪魔大将軍アルン公爵には勝てなかったようだ。


「☆3のレッドキャップが余裕なら、☆2の雑魚ぐらい幾らいても優秀な貴女なら問題無いのでしょう?」


 煽る煽る。そして、見るからにプライドの高いシェーネは引くに引けないだろう。


「あ、あったりまえじゃない!楽勝よ楽勝!一撃で巣穴ごとゴブリンを吹き飛ばしてあげるんだから!」


 威勢はいいが、涙目だしどう見ても震えている。駆け出しの俺らに紹介されるようなヤツが、そんな大魔法使えるわけが無いし、ゴブリンとは言え魔法使いが囲まれた状態で勝てる謂れはない。


 アルンとの勝負に乗った時点で、シェーネの負けなのだ。これでシェーネが本当に巣穴ごとゴブリンを吹き飛ばせる大魔法使いなら、こんな街に居るわけないし、そもそも大国が放って置かないだろうしな。


「……流石にそれは可哀想。ディルに勝ったらでいいと思う」

「アハハ~さんせ~」


 ちょっと何言い出すんですかねミューさん。おい、馬鹿笑ってんじゃねーぞ挽肉にして喰うぞコラ。


「そ、そこまで言うなら仕方ないはねぇ!ディルとか言ったかしら?私と勝負しなさい!アルンさんそれでいいかしら?」


 なんでアルンには敬語なんだよ。本能的に勝てないことを悟っちゃたのかよ。


 戦う術を持っていないのに言葉と視線だけで、魔法使い打ち負かすとか、コレもう新たな精神攻撃系の魔法に分類されていいだろ。


「そうね、それでいいは。では負けた時のペナルティを決めましょう」


 悪い顔してる。アルンさんスゲェ悪い顔してらっしゃる。これは乗るしかねぇ。


「そうだなぁ。どんなペナルティが良いかなぁ……」


 グヘヘへへと舌なめずりしながら、シェーネの身体を頭の先から爪先までジックリと舐めるように見る。


 そうするとシェーネが俺の考えてることに気付いたようで、ゾッとした表情を見せる。


「あ、あの。アルンさん生意気言ってごめんなさい嘘です許してください!やっぱ戦うのは無しで!って言うかこっち来ないでよ!ちょっといやぁぁぁぁ!!食べられるぅぅ!!!」


 シェーネは後ずさるも、脚がもつれて転んでしまった。尻もちをつきながらも必死に逃げようと、ズルズル後退し壁に行き着きそして、絶望する。


「ひぃぃぃぃぃ!アルンさんごめんなさい!許してください!お願いします!アルンさまぁ!アルンさまぁ!何卒、何卒ご慈悲をぉ!!!」


 半狂乱だ。俺とどんな条件で戦わされるにしたって、負ける事を考えたら年頃の女性が勝負に出れるはずが無い。


 それにコッチは実践を経験してるが、シェーネがここに1人で来たという事はパーティに所属していないという事だし、それは今まで討伐依頼を受けた事が無いことを意味する。


 大国なら話は別だが、それ以外の街では魔法使いは希少だ。多少問題が有ろうと、何処かのパーティに所属していた経験があるなら手放さないはずだ。


 以上の事を踏まえ、レッドキャップという初心者パーティの鬼門であるモンスターを討伐した前衛に、1体1で駆け出しの魔法使いが勝てる確率はほぼ無い。


 極めつけに負ければ、自分の倍以上ある体躯の大男に慰み者にされそうになったのだ。許しを乞うのは必然だった。


「あら、そこまでお願いされてしまっては神官である私が聞き届けない訳にはいかないはね。大丈夫よ。神は貴女の罪を許しました」


 なるほどなるほど。アルンは神官じゃなかったら、実際にひん剥いてゴブリンの巣穴に投げ込むつもりだったと言う事だな。怖すぎるぜ流石アルンの姐御。


「ありがとうございます!ありがとうございます!」


 アルンが膝をつき聖女の微笑みで手を差し伸べる。


「良いのよ。ほら立って。折角の服が汚れてしまうは」


 そう言ってシェーネの膝についたホコリを払ってやる。そして、安堵と共に昇華しきらなかった、不安と怒り、敵愾心が自分を追い詰めた男に牙を剥く。自明の理であり、帰結であった。


「い、言っておきますけど!アンタに負けたわけじゃ無いんだからね!調子に乗らないでよね!」


 どうやら気丈さを取り戻したようだ。全くめでたくない。


「アルン様が戦わなくて良いって言って下さったから貴方は助かったのよ!本来ならコテンパンなんだからぁ!感謝しなさい!」


 どうやら俺はアルンの信者獲得に一役買ったようだ。まあ、アンタを追い詰めたのも、問い詰めたのも主犯は全部アルンさんなんですけどね。


 アレだけ徹底的に追い詰められた後に、慈愛を感じさせる声音と微笑みで声掛けられたら、天使や女神の類に見えるよね。アルンさん見た目だけは超聖母だもの。



 因みに俺があのタイミングで優しく声をかけると、最初のフランみたいに、「私を売る気なんだぁぁぁ!!いやぁぁぁぁ!!!」って取り乱されるので注意。……泣くぞコラ。


 これが外だったら俺だけ通報されるまである。いやぁ……やっぱ見た目って大事なんだなぁ……



 という訳で、パーティ内キツイ女選手権はアルンの優勝で幕を閉じた。もう、マジ俺ってばアルンさんの下僕。誰が下僕じゃぁ。喧しいは殺すぞ。



 こうして俺達は新たなパーティメンバーを得て、新たなる敵を求めてクエストボードに向かうのであった。あ、後俺の生活費と欲しい盾の為に。


 ん?パーティメンバーであってるよ。決して従僕でも下僕でも、ましてや奴隷でも無いですよ。はい。

アルンは新たな信者(下僕)を手に入れた!

ディルは逃げ出そうとした!しかし、どうやらアルンの下僕だった!主人からは逃げられない!


フランに従属の命令!

アルンはフランを既に従属させている!効果は無かった。


アルンはミューに従属の命令をだした!

しかし、万年寝女のマイペースなミューには効果が無いようだ。


コタリーは小さく震えている!可愛い。

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