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閑話休題
その唇に口づけを
一対の
桜貝の唇に口づけを
幼き頃に知り初めし君
黒き髪は絹糸の
白き頬は白磁器の
そして唇は桜貝
僕を振り向き笑む桜貝
咲む桜貝
一対の淡色の味や如何に
麗しの
桜貝の唇に口づけを
君が泣くと桜が散る
花びらちらり
ひらりはらり
僕の華
僕の華
壊したいほどに愛していて
死守したいほどに愛していて
もしその華が
僕の為に散るのなら
もしその華が
僕の為に咲くのなら
咲むのなら
黒髪を手櫛で梳いて
君想う
君想う
その唇に口づけを
一対の
桜貝の唇に口づけを