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僕と兵器と異世界  作者: 奥鷹 雪斗
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第5話 再会と再来

今も他作者の小説読んで勉強中です。文章書くの難しい(泣き)。今回は物の説明などあります。

あれから30分ほど馬を走らせると村が見えてきた。


「あれが私の村、ロコ村です」


 彼女が指さしたところには家が建ち、畑のある小さな村だった。馬をもう少し走らせると村の入り口が近づいてきた。入り口には数人の男たちが槍や弓を持って立っており、男たちが俺達に気づくと何か大声で叫んでいた。


「リリカだ!」


「ルイスさんにリリカが帰ってきたと伝えろ!」


 俺は聞き耳を立てて男たちの声を聞き取る。誰かを呼んでいるようだ。入り口の手前で止まるとリリカは降りて男たちの方へ向かった。俺も降りてリリカのあとを追おうとしたが、


「貴様は何者だ!」


 と、数人の男たちに剣や槍、弓を向けられ囲まれた。俺は手を上げて争う意思が無いことを示す。


「その人は私の恩人です!手荒な真似はしないで!」


 リリカに言われて仕方なく武器を降ろすが男達は俺から目を離さなかった。すると不意に後ろから気配を感じ振り返ると目の前に両刃の長剣を持った髭をはやした厳つい顔の男が立っていた。男は俺に気づかれるやいなや剣を振り上げた。俺はすぐ後ろに飛んで距離を取るとガバメントと三十年式銃剣を取り出して素早くスライドを引くと銃剣をグリップに添えるように構える。男も振り下ろすのをやめ、中段で構える。俺は先に男の足下を狙って威嚇射撃する。


 ダンッ!


 発砲音に驚いていたがすぐに構え直す。俺はすぐ銃を上げると今度は男の左肩に狙いを付ける。

 そして男が斬り込もうと一歩踏み出したとき、


「待って“お父さん”!」


 え?とリリカのほうを振り向いた。男も動きを止めてリリカを見た。


「その人は私を助けてくれた恩人なの!」


 男がリリカの言葉を聞いて俺を見る。同じく俺も男を見て目が合い、少しの間そのままだったが不意に男が笑うと剣を腰の鞘に戻した。そして、


「リリカァーーーッ!」


 ものすごい勢いでリリカに抱きついていた。どうやらこの人がリリカの父親らしい。


「よかった、本当によかったぁぁぁぁぁぁぁッ!」


 娘のことがすごく心配だったらしくその顔に似合わない泣き顔(号泣)していた。リリカはそんな父親の姿を微笑みながら1回ため息をつくと父親の頭を撫で、尻尾を忙しく動かしていた。俺は手にしている武器を収めてリリカたちを見ていた。



 父親が顔を上げると俺の方を再び見る。泣き止んだばかりなので目や鼻がまだ赤い。そして俺の目の前まで歩いてくると、頭を下げながら手を差し出してきた。


「娘を救ってくれてありがとう。そして、そんな恩人に斬りかかろうとしてすまなかった」


 誤解が解けたことに安心した俺は「ふうっ」とため息をつくとその手を握り返した。


「大丈夫ですから、顔を上げてください。俺のことを斬ろうとしたのは山賊かもしれないと思ったからですよね?」


 顔を上げたのを確認して聞いてみるとギクッと一瞬、体を震わしてそして笑って頭を掻いた。


「その通りだ。リリカが山賊に脅されてるのかと思ってしまってな」


 山賊ならやりそうな手だな。もしそうなったらこの村は1日に2度目も山賊達に襲われてただろう。


「とにかく俺たちはあなたのことを歓迎するよ。ようこそロコ村へ!」


「「「「ようこそッ!」」」」


 さっきとは打って変わって村人たちに歓迎されながら、俺はリリカの父親に連れられて村に入った。



 俺はリリカの父親にロコ村のことを聞くと丁寧に話してくれた。ロコ村は人口が100人程度で男女比は半数が男が占めており、そのためか家の数も思ったより少なかった。ただ半分以上が老人と子供なので大人で村を守れる男たちも思ったより少い。またこの村は柵で村全体を囲っているがすべて木の棒でつくったもので害獣の侵入をある程度防ぐくらいの物しか無かった。強いて言えば見張り台が1個あるくらいだ。


(これで山賊の襲来を防げと言うのが無理な話だな)


 そう思いながらリリカの家へ案内された。リリカたちの家は他の家と同じく木造の家だった。中は少し狭い感じはしたがリリカと父親2人ならこの広さで十分なのだろう。壁には装飾が施された剣が立てかけてあった。

 俺はリリカの父親にテーブルの椅子を勧められ座ることにした。そして座った向かいの席にルイスさんが座り、リリカは着替えるためかに2階に登って行った。


「何度も言わせてもらうが娘を救ってくれてありがとう」


 リリカの父親がまた頭を下げる。俺は「当然のことをしたまでです」と言った。


「そういえば自己紹介が遅れたな。俺はこの村で村長兼冒険者をしているリリカの父、ルイス・ガランドと言うものだ。気軽にルイスと呼んでくれ」


 それを聞いて村人たちがルイスさんの言うことを聞いていたことが納得できた。ルイスさんはリリカが山賊にさらわれたとき仕事で村を離れてたそうだ。帰って事情を聞くやいなや1人で助けに行くと村人たちを押し退けて村を出ようとしたところ、ちょうどリリカが村に帰ってきたということだった。俺も簡単に自己紹介を済ませるとルイスさんはリリカの救ったときの状況を聞かせてくれと聞いてきた。同時にリリカも着替えを終えてテーブルに向かってきた。しかし首にはまだ首輪が、手には枷が取り付けられたままだった。そして俺はリリカと一緒に説明し、ルイスは聞き終わると腕を組んで眉を寄せながら言った。


「失礼かもしれんが、ユウキはもしかして別の世界から来た人ではないか?」


 俺は一瞬動揺した。ただ助けたときの状況を聞いただけでなぜ俺が異世界から来たことを言い当てたことに驚いた。


「そんなに驚かなくてもいい。なんせこの家の前の持ち主も異世界から来た人なのだからな」


 そしてルイスさんは語り出した。


 15年前、まだリリカが赤ん坊の頃。ルイスさんたちはここから南にある今は更地となっている場所にあった小国に住んでいた。妻と娘の3人家族で平和に暮らしていたが、突如として小国の南にあるドミス帝国が攻めてきた。小国の王は何とかドミス帝国軍を城内に入れないよう抵抗したが僅か1日で城門が開けられ、2日目に完全に占領された。ルイスさんとリリカはドミス帝国軍が攻めてきた直後に国を脱出。そして今住んでいるロコ村、フローラ王国へと逃げてきた。だが帝国軍は占領が終わるとすぐに退却し同時にその国の王族と老人以外の人々を奴隷として帝国に移送した。そのあとルイスさんたちが今後のことを考えていた矢先、帝国軍の新兵器によってその国はめちゃくちゃにされた。凄まじい轟音と爆発で国は跡形も無く消え去り、残ったのは廃墟だけだったらしい。


「新兵器、ですか」


「ああ、大きな筒から鉄の球のような物を撃ち出し、壁に当たるとそれが爆発して家や壁を吹き飛ばしていたと近くで見ていた小国の生き残りから聞いたんだ。それが何十、何百回撃ち続けられ終わった頃には廃墟になっていたらしい」


(〈大きな筒〉・・・。大砲(※1)、だろうか)


 そして帝国軍は大砲?を本国に移送する部隊とそのままフローラ王国へと進軍する部隊に分けて向かって来たが国境の手前で攻撃に遭い、立ち往生してしまったらしい。


「そしてその攻撃をしかけたのがこの家の前のあるじだったんだ」


 ルイスさんが言うにはその人はルイスさんたちを家に入れ匿い、話を聞くと杖のようなものを持って帝国軍の来ている国境まで向かった。ルイスさんも何か手伝えることは無いかとその人についていった。だが手伝うことは無かったと言う。その人は杖を不思議な構え方で帝国軍に向けて攻撃していたらしい。その杖は爆発音を鳴らして攻撃をしていたという。


「何とも不思議な武器だったよ。一回ずつした攻撃できないようだったがそれでも帝国軍を押しとどめるには充分だったんだ」


 そしてフローラ騎士団が到着すると帝国軍はやむを得ず撤退、その後再び攻撃しようとしたらしいが大砲が使えなくなってしまったため、ドミス帝国はフローラ王国と停戦条約を結んだ。こうしてフローラ王国は被害を受けることはなかったという。


「そういえばユウキも似たようなものを持っていたな?私の足下に穴を開けたあの武器」


 どうやらその武器は俺の持っている銃と似た音がするらしく、ルイスさんは家の奥の部屋に行くとそこから助けてくれた人が使っていた例の武器を持ってきてくれた。


「これがその武器だ」


 俺はルイスさんからその武器を受け取るとそれが銃であることはすぐに分かった。受け取った武器はボルトアクション式のライフルで手入れがしっかりとしてあり、ボルトハンドルを回して引いてみると中から弾が出てきた。弾をテーブルに立てて置くと自衛隊で使っていた小銃弾(5.56×45mm弾)より大きな弾丸でライフルの方を見るとマガジンが無いことから単発式のボルトアクションライフルと見てどこかに武器の名前がないか探すと刻印があった。


〈十三年式〉(※2)


 刻印を見つけると俺はルイスに顔を向けた。


「この銃の弾は?」


「“ジュウ”と言ったか?」


 ルイスさんが“銃”という言葉に反応した。


「そうですがどうして?」


「実は前の持ち主に言われてな。その杖のことを“ジュウ”と呼ぶ者が来たら渡せと」


 そしてルイスさんは部屋から弾の入った箱ともう一つ、布にくるまれた長物を持ってきた。


「あとこれも渡せと言われていてな」


 そう言って布を外すと、なんと日本刀がくるまれていた。受け取って鞘から少し抜いてみる。


 スチャッ


 刀身は錆が無く、いつでも使える状態だった。あまり刀には詳しくない俺でもすごい逸品だと分かる。そしてその人が誰なのかも知りたくなった。


「他にこの人ものはないですか?」


 それを聞いてルイスさんは首を振った。


「残念だがそれしかないんだ。その人の着ていた服などは5年前に亡くなったとき火葬でまとめて燃やしてしまった。その人の遺言でな」


 少し残念だが仕方ない。俺は刀を鞘にもどしテーブルに置くとリュックからタブレットを取り出す。


「ユウキさん、それは?」


 会話に入れなかったリリカが聞いてきた。


「これはタブレットって言ってこれを使ってものを解析したり出来るんだ」


 そう言って解析を使ってまず銃とその弾を調べる。


『十三年式村田銃』『11㎜村田実包×30発』


 予想通り村田銃とその専用弾薬である11㎜弾だった。その上簡単なスペックも書かれていた。


名称:十三年式村田銃

使用弾薬:11×60mm村田実包

有効射程:約200m

最大射程:1800m

 

 次に日本刀を調べる。


『日本刀 時雨しぐれ』(※3)


 驚いたことに日本刀に名前がついていた。


(何で名前が?)


 謎だがその答えを知っている者はもうこの世にいない。仕方なく諦めて鞘に戻すと外が何やら騒がしい。


「何か、あったのかしら?」


 リリカが不安そうに呟く。そして村人の少年が家のドアを開けて入ってきた。


「大変です!盗賊の1人が戻ってきました!」


 それを聞いたリリカは震えて身構た。それを見たルイスさんは怒りの形相でドアに向かい、


「ここでに隠れていろ」


 と、リリカに言うと家を飛び出していった。俺は日本刀をテーブルに置き、十三年式村田銃にテーブルに置いた11㎜村田弾を装填する。そして専用弾薬5発を前の右端のポーチに入れ、村人の少年とその後を追うように家を出た。



「お前が俺の娘をさらった山賊かッ!」


 ルイスさんのあとを追って着いたときにはすでに敵と会敵していた。馬に乗っている男は間違いなくリリカをさらった山賊の1人だった。


「お前があの娘の父親か。なら殺しておかねぇとな」


 山賊の男は馬から下りて腰に付けていた鞘から剣を抜いた。ルイスさんも剣を抜いて構える。


 少しの間そのまま動かなかったが、


「はぁぁぁぁッ!」


 ルイスさんが仕掛けた。山賊に間合いまで近づくと横薙ぎに剣を振るった。


「よっと」


 それを山賊は後ろに飛んで回避、着地と同時に地面を蹴ってルイスさんに近づく。そして剣を下から斜め上に切り上げる。


「ぐっ!」


 ルイスさんはすぐさま剣で攻撃を受け止めると後ろに飛んだ。


(強い!)


 強さだけならルイスの方が上だろう。しかし、素早さは山賊の方が上だ。ルイスは剣を構え睨んだまま、山賊は剣を肩に担ぐと嘲笑いながら喋り始めた。


「本当にあの娘の父親か?頭に耳は生えてねぇし、尻尾もねぇ。それにあの娘と似てるところがどこにもねぇ」


 山賊がルイスを挑発してきた。


「ということは母親があの娘を生んだあとにお前と結婚したってことか。お前もとんだ_____」


「黙れッ!」


 ルイスが大声を上げた。


(まずい・・・)


 山賊の挑発に乗って顔を真っ赤にして怒りを露わにしていた。


「お前に俺の娘の何が分かる!お前に俺たちの何が分かるんだッ!」


 そして山賊の方へ走ろうとしたとき、


「ルイス、落ち着け!挑発に乗るな!」


 ギリギリのところでルイスさんを押さえた。だがそれでもなお山賊に一太刀浴びせようともがく。


「いいから、落ち着け!」


「離せ、ユウキ!」 


「喧嘩してるとこ悪いが」


 山賊が口を挟む。


「俺だって暇じゃねぇんだ」


 剣を片手で持ちながら山賊は歩み寄ってくる。ルイスは再び構えたが俺はルイスの肩を叩くと前に出る。


「ふん、いい度胸してるじゃねぇか。ん?村人じゃねえな。お前、何者だ?」


「お前たちから娘を助けた男さ」


 それを聞いて山賊は笑い声を上げた。


「そうか、お前だったのか。なら落とし前つけさせてもらわ____」


 ズダンッ!


 山賊が言い切る前に爆発音が響きわたった。その直後、山賊は前のめりに倒れた。ルイスたちは最初、なにが起こったのか分からなかったがなんと山賊の右足から血が流れていた。


「喋るより先に手を出せ」


 そう言って俺は村田銃のボルトハンドルを引いて空薬莢を排出した。『喋るより先に手を出さないと逆に殺られる』そう誰かに言われたことがある。あの思い出したくもない夢の中の戦いで死んだ人に。山賊は今なにが起こったのかさっぱり分からないような顔をしていた。そして自分の右足から血が流れ出ているのが分かると同時に激痛に悶えながら俺を見た。


「てめぇ、何しやがった!」


 さっきまでの余裕が嘘みたいに喚きはじめる。


「ふざけんなよ!こんなことしたらどうなるか、分かってるのか?」


 山賊は痛みのせいか分からないが笑いながら喋り続ける。


「もうすぐ親分がここに来る。そうなったらこの村もあの娘もただじゃすまねぇよ!」


 山賊は不敵な笑い声を上げた。ロコ村の村人たちは怯える者や身構える者がほとんどだったが、


「それがどうした?」


 その中で俺だけ首をかしげながら村田銃に新しい弾を装填していた。


「別にそうなら返り討ちにすればいい」


「お前、何も分かってねぇな」


 不敵な笑顔を絶やさずに山賊は言った。


「親分は元Bランクの冒険者だぜ。そう簡単にやられねぇよ!」


「Bランクだと!」


 後ろにいたルイスが叫んだ。


「どうした?」


「Bランクと言えば冒険者の中でも選りすぐりの人たちだ、そう簡単に倒せる相手じゃない」


 ルイスは苦虫をかみつぶしたような顔を浮かべるが勇気はため息をつく。


「まずこいつを拘束して血を止めた方がいい。止めたら馬小屋にでも入れておけ」


 そう告げるとルイスの横を通り過ぎてリリカのいる家に向かった。

(※1) 大砲

・砲弾を撃ち出す兵器の総称。火砲、砲とも称す。


(※2) 十三年式村田銃

・明治13年に正式採用された国産初のボルトアクション式ライフル。日清戦争や日露戦争で使用された。使用弾薬は11×60mm村田実包。


(※3) 日本刀 時雨

・日本固有の鍛冶製法によって作られた刀剣類の総称。名称は作製者によってつけられたと思われるが詳細は不明。



村田単発銃は偉大だ(キリッ) 

んじゃ次回 ロコ村防衛戦

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