プロローグ
暇つぶしで時々書いてるので途中から不定期になるもしれませんが読んでもらえるとうれしいです。
あの悪夢から3年。その後、俺は就職を決めて2年前の春、機械加工会社に就職した。だがあの夢での体験のせいなのか中々馴染めず、結局1ヶ月で会社を辞めた。
その後、どうしようか迷ったが結局自衛隊に入隊することにした。5月にある一般曹候補生に締め切りギリギリに応募。何とか試験を受けることが出来た。
結果は合格。来年の3月下旬に入隊が決まった。入隊までの間はバイトをしながら1人で筋トレや山に入って独自のサバイバル訓練を行った。
そんな日々を約1年続け、陸上自衛隊に入隊。一般曹候補生は入隊直後は2等陸士だが半年で1等陸士に昇進し、1年で陸士長に昇進する。その後は昇進試験を受け、合格すれば3等陸曹となる。
入隊して1年が過ぎた俺は陸士長に昇進していた。ただあまりにも訓練について行けすぎたせいか教官に目を付けられ5月下旬から3ヶ月間行われるレンジャー課程を受けさせられてしまった。
レンジャー課程では通常の訓練よりも過酷な訓練が待っていた。特にキツかったのは最後に行われる山の中にある敵拠点への行進だった。足場が悪く、ぬかるんでるところも歩かないといけない上、湿度が高くどんどん体力を削られていった。また、夜間はいつ敵の襲撃があるか分からないので寝ずに起きてなければならなかった。しかし、これも山でのサバイバルで経験済みなのでそれほど苦ではなかった。俺の場合は熊とかの野生動物への警戒のため、神経を尖らせていたためあまり寝れなかったからだ。
そして3ヶ月間の訓練を無事終了し、レンジャー課程修了者の証であるレンジャー徽章を授与された。
レンジャー徽章を授与されてから数週間過ぎた頃。夏も終わり秋の兆しが見えてきた山に俺はいた。3等陸曹になり休暇をもらって久しぶりに慣れた山に登って独自サバイバル訓練をしに来ていた。
「ここも変わらないな」
そんなことを言いながら山の中を歩く。1年ほど登ってなかったが地形や道などは体が覚えていたので迷わず進む。腕時計を見ると午前11時半。このまま山頂まで登ってから昼飯を食べようかと思っていたその時、
バキッ
後ろから枝が折れるような音が聞こえ、静かに振り向くと30mほど離れたところに熊がいたのだ。
俺が登っている山は熊や他の野生動物がいるのは知っていた。だが、今登っていた道は野生動物があまり来ない道だったので少し驚いた。後ずさりしたとき一瞬退路を確認するため熊から目をそらした。
本来ならば熊と出くわした際、必ず目をそらしてはいけないのが鉄則。目をそらしたその一瞬を逃さず熊が襲ってきた。俺はすぐに道から外れて森の中に入った。木と木の間を縫うようにしてジグザグに走る。熊も同じように追いかけてきた。熊はその大きい外見からあまり速く走れないと思われているが、あの巨体で時速約60kmの速さで走るのだ。俺に中々追いつけないのは障害物となる木の間をジグザグに走るためスピードを出せないからだ。
少し距離を離せたので何とか逃げ切ろうと思ったが不意に目の前から木々が消えた。疑問を抱いた次の瞬間、この先にあるものを思い出した。
そこは山の断崖絶壁の上だった。
(まずい、このままじゃ・・・・)
とっさの判断で背中に背負っていたリュックからアイスピックを取り出すと断崖絶壁から下りようとした。が、
「ブォォォォォォッ!」
先に熊が追いついてしまった。そして熊が前足の鋭い爪で襲いかかってきた。
「ぐっ!」
すんでのところをアイスピックで防ぐがそのまま吹き飛ばされる。そして、
「うおぁッ!」
足を踏み外して崖から落ちた。
(嘘だろ・・・)
崖にいた熊がみるみる小さくなっていく。俺は死を覚悟して両手で頭を抱え込むと目を閉じた。
一瞬の浮遊感の後、
ドサッ
地面に落ちた。
背中から落ちたのだが目を開け体を起こすとどこかの道に倒れていた。不思議に思い、上を見上げて落ちてきたところを確認しようとしたが目の前にあるはずの崖がなかった。ひとまず隣に落ちているアイスピックをしまいながら状況確認をすることにした。
(俺は崖から落ちたのは確かだ。なら何で目の前に落ちてきたはずの崖がないんだ?)
悩んだ末に考えついたのは2つだった。
1つ目はこれが死んだ後の夢であり現実で俺はもう死んでいると思ったが体を触ってみるに背中以外は特に怪我はなく、その上痛みがあるので夢ではないと考えた。
2つ目はあり得ない話だが別の場所に飛ばされたというものだ。しかし2つ目の内容なら今ここにいることに説明がつく。まず道に落ちたこと。俺が登っていた山はあまり舗装のされていない山道しかない。なのになぜ、ある程度整備されている道に落ちているのか、そして落ちてきた崖がなぜないのか?
これらのことから俺は別の場所に飛ばされたのが本当ならつじつまが合うがそう簡単に信じられるものでもない、正直言って頭がいかれたのかと自分でも思った。
「それよりまずここがどこだかハッキリさせないと」
俺は立ち上がって、周囲を見渡してからリュックからスマホを取り出し、現在地を調べようとしたがインターネットに繋がらず、電話を掛けようにも圏外で繋がらなかった。仕方なく周りを見渡すと小屋のようなものが目に入った。距離もさほど離れていない。
「誰か住んでるといいが」
そして俺は小屋へと歩き出した。
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