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在るのに無い  作者: 千瑞
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「子供心」

愛してるよ。愛してよ。


ヒトの海の中で必死にもがいてる。


その手から貰える安堵を

待ってるんだよ、お母さん。


その腕から感じる温もりを

待ってるんだよ、お父さん。





ふたりとも、

いつからか何もくれなくなった。


愛情いっぱいに育ててくれたのは祖父母で、

何だなんだ最期まで見ててくれたのは

お祖父ちゃん。


亡くなる少し前まで喧嘩して

口なんか聞かなくて、

ずっと無視してたことを後悔している。


亡くなる直前に

声を上げれなかったことを後悔している。


私は独りになった。

自業自得だと思った。





愛する人に愛してほしかった。


家族愛でも友愛でも恋愛でも何でも良い、

ただ素直に甘えたかっただけ。


殻を壊してくれた友人達は、

たまたま体が男の子で。


心だけ置き去りに体だけ成長して

知識をつけた私には、

素直になるということが恐怖でしかない。


体が女の子である私には、

無理があるのだ。


別に何も考えてない、

ただ「阿婆擦れ」「尻軽」と

周りや彼らに思われたくないだけ。


だから、自分で自分を抱いて耐えた。





最終的に全てを失って、

殻を壊される前に身に付けた保身の術は

ネット上での出会い。


私は女性を相手が望むように犯して、

「自分は必要とされている」

「愛されてる」

「愛を求められてる」

「存在を求められてる」と錯覚した。


ああ、汚い。





愛されたいと願うのは罪か。


冷たい現実が私の喉元を絞めてくる。


甘えたいと思うのはビッチか、ぶりっ子か。


私はただ、

家族と平和に過ごしていたかっただけなのに。





記憶の中、

病院のベッドに横たわってる。


小さな手が視界に入った。


私は子供時代をちゃんと過ごしたかったんだ。

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