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「在るのに無い」「死季彩」
必ずとは言えない。
けど、きっと救いはある。
別れで学べ。
出会いはすぐそこにある。
ずっと続く幸せはあり得ない。
不幸と比較した上で幸せはあるのだから。
さようなら「わたし」、
はじめまして「私」。
そう言える日を待ってるよ、
今を生きて待ってる。
人は誰もが色を持ち、
その色達が重なっては水に溶ける姿を
何度も見てきた。
どうしてでしょうね、
季節が巡るたびに
純粋な色を持つ人が減っていく。
無邪気さを忘れて汚れた人達の歴史は、
本当に必要だったのだろうか?
そのときの感情や色、
好き嫌いでさえ、
流れる時間に奪われてしまうような。
そう言う私も、沢山のものを失い、
沢山のものを殺した。
身体よりも先に「わたし」が、
いつか死んでしまうだろう。
だとしても、
別れの言葉だけは言いたくなかった。
死ぬのは色でもなければ
心身でもなく時間でもない、
「わたし」なんだ。