7.結局来ました
週末、俺は駅前にいた。
理由は以前にした約束だ。
「おいしぃ!この玉子焼き!今度一緒に料理しようよ!」
「え?」
「だって伊織君私より料理うまそうだし、一緒に料理すれば私も上達できるかなって」
「どこでやるんだよ」
「えっ、えっと……伊織君の家で!週末」
そうこの約束のために、駅前で待ち合わせをしていた。
いつも利用する駅前、いつも通り人はあふれていて活気があった。
俺は待ち合わせ場所のベンチに座っていった。
しばらくそこで流れていく人だかりを眺めていた。
こういうのに慣れていないため1時間前にはここに立っていた。
待ち合わせになれているリア充は笑うだろう。
そんなことはどうでもいいんだが。
「伊織君」
「え?」
自分の名前が呼ばれたのでそちらのほうを向く。
「お待たせ!」
白いブラウスに折り目のついた紺色のキュロットスカート。
女の子らしく活発なイメージを受ける。
普段見ない私服姿に見とれていると名前を呼ばれる。
「伊織君?どうしたの?」
「…あっ!ごめんごめん」
慌てて返事する。
「もう!しっかりしてよ伊織君!」
「いやぁ、茜の私服姿に見とれてた」
「そんなこと言って!」
そんな話をしているときに、後ろできょどっている少女がいた。
「あっ!そうだ!忘れてた」
といって後ろにいた少女の肩を持ち、俺の前に連れてきた。
おとなしそうな雰囲気を持ち、背は高く、ボブカットの髪はきちんと整えられていて、蒼井茜と張り合うくらいの美少女だ。
「こちら、#浅葱彩香__あさぎあやか__#ちゃん。でこっちが前言った相馬伊織君」
「……こんにちは相馬君」
「……どうも」
「まえ、料理をする約束をしたって言ったらついてきたいって言ってたから連れてきちゃった。ごめんねぇ」
と顔の前で手を合わせて謝る。
「まぁ、ここまで来て返すのも悪いし、いいよ」
「ありがとう!」
そんなこんなで家に向かう。
妹に何か言われそうだなと思いながら、10分ほど離れた家に他愛もない会話をしながら歩いていく。
他愛もない会話ぐらいなら俺にだってできる。たぶん。
いや、実際は合図地をうってただけだ。
家につき、扉を開ける。
「ただいま」
といいながら玄関を開けると、楓がかけてきた。
「おかえりイオ兄!」
そんなことを言いながら出てくるんだが、こちらを見た瞬間固まった。
「えっえっお兄ちゃんが女の子を連れてくるなんて!しかも2人も」
「「お邪魔します」」
そう2人は一礼すると楓は慌てて口を開く。
「あっ、どうもどうもご丁寧に!妹の楓です。兄がご迷惑をかけていませんか??」
と余計なことを口走る。
「俺の扱いひどくねぇ?」
「いや、だってイオ兄じゃん」
「どういうことだよ!」
そんなやり取りに後ろに立っている二人は笑っている。
「どうも、いつも仲良くさせてもらってる蒼井茜です。こっちは浅葱彩香ちゃんね、よろしく楓ちゃん」
「あぁ、こちらこそどうも、兄にはもったいないくらいの美少女ですね!二人とも」
「いやいや、そんなことないよ!」
そんなやり取りをしながら今に案内する。
そして他愛もない会話が再び始まる。
楓のがっつきっぷりはすごかった。
そうしてお昼時にキッチンに立ち、準備を始める。