4.予想はしてたよそんなこと
人気のある女子とつるんでいると、ほかの男子は快く思わないだろう。
それが、たとえば冴えない男子であったとすると、言わずともわかるだろう。
もちろん、いじめだ。
いじめなんていうものはどこにでもあるし、決してなくなることはないだろう。
人はその他とかかわっていると、どうしても裏が出るからだ。
でもこんなにあからさまないじめというのはあってはならないと思う。
些細ないじめであれば誰しも必ずは経験する。
もちろん俺も経験している。
その数が人より多いとは思いたくないが。
だからこそそんな些細なものであれば気にはしなかった。
ただし今回は違う。
金髪強面、名前は須田健二。
学年でもひときわ目立ついわゆるヤンキーグループの中央人物で、誰しも彼にあらがおうとしない。
そいつに近所を流れる川の橋げたに連れられ、6人ほどに囲まれた。
「お前さぁ、最近蒼井茜とつるんでるよなぁ」
「……アッ」
恐怖を感じているわけではないが極度の人見知りで変な声しか出なかったため肯定の意を何とか伝える。
「それなんだけどさぁ、お前、あいつとできてんの?」
むろん否定。
「じゃああいつのこと好きなの?」
これまた否定…。
「ならさ、あいつとかかわらないでくれるかな?目障りだからさ」
喜んでつるんでいるわけではない。
「きっとあいつは俺のことが好きだからさ…」
「自意識過剰だろ」
「あ”?」
やっべ、声に出しちまった!!
とりあえず謝らなきゃ!
「蒼井茜がお前のことが好きだなんてよくわかったもんだな」(ごめんなさい冗談です許してください)
「大体俺も好きでつるんでるわけじゃねえし、むこうから絡んでくるから接してやっているだけだ」(ほんと許してください!何でもしますから!)
「お前にあいつがふさわしいわけがねぇ、あいつに迷惑だ、そんな変な妄想ばかりにうつつを抜かしてねぇでお前は町内会のボランティアでもしてろ」(土下座してるつもり)
須田健二は圧倒されながら反論しようとするが言えずにいた。
その後方に見たことのある姿があった。
大体察しがついていると思うが蒼井茜だ。
「そうだよ、私の友達をいじめる人に私と話す資格はないよ? さっさとあきらめて老人ホームでボランティアして優しい心でも身に着けたほうがいいよ」
なんて辛辣な言葉を!?
人のこといえないけど。
「ちっ」
奴は悔しそうな顔をして、仲間をつれどこかへ行った。
あれ、彼女はいつからそこにいていつから話を聞いていたんだ?
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