私と道の無い迷路
『上を向いて』
『前を向いて』
そんな言葉は聞き飽きた
向いた先に見えるのは未来という
未来なんてものはない
あると思うから幻が映る
上を、前を、向いたところで
一体何を見るというの?
見えないなんてものはない
あると思うから
見えないと思う
だから
未来なんてものは
探したって見つからない
最初から未来という名の幻があるだけ
「上を向かない」
「前も向かない」
そんな捻くれている私に
『隣を見れば』
なんて声がする
だけどなんにも見えやしない
右を見ても左を見ても
私を見るものはなく
私が影を見送るだけ
透き通る風のように
流れて流れて
消えていく
隣にあるのは
手で止められず
留められもしない
あるようでない影の流れ
私はきっと
その影の1つ
「隣にはだれもなんにもない」
ポツリと呟き私が見たのは
影の映った足下だった
下にあったのは私の影
それはもしかしたらだけど
私がここにいるという
小さく確かな証拠ではと
じーっとただただ見つめていたら
薄れてぼやけて消えてった
「私はほんとにいるのかしら」
下を見たまま独り言
私は私が分からなくなった
どこにいるのか分からなくなった
ほんとにいるのか分からなくなった
何もかもが分からなくなった
何もない場所で私は迷う
何もないから私は迷う
私は私が分からなくなった
だから私は迷ってしまう
小さな手が私の手を引いた
つられて私は振り返る
私より小さな私達が
後ろでたくさん転がっていた
石のように灰色なそれは
色鮮やかになって動き出す
笑って踊って回って転んで
色んな私がうろちょろしてる
小さな手がまた私の手を引く
手元を見れば私がいた
目と目があってニコリと笑った
そのまま私を押してきた
バイバイと私は手を振った
私は確かにここにいる
私はきっと迷っている
だけど私は迷わない
寄り道したって構わないから
迷いながらも
迷わず進む
何となく思い立って書きました。
最後までお読み頂きありがとうございました。<(_ _)>
今さら何ですけど
道がなかったら『迷路』って言うんですかね……?
あ、言わないですか、そうですよね。
かっこつけたタイトルつけてごめんなさい