少女、合わせます。
「ミカのネイルちょーかわいいー!!まねしたーい!」
「わかるー。私も思ってたもん!!」
「彼氏出来てから趣味変わったー?」
短いスカートに長い爪。染めすぎて傷んだであろう金や茶色の髪。周りを気にしないで大声で喋る少女達。まじでうるせぇ。いったん黙ってくれないかなぁ。
『だよねー!!前まで赤とかだったのにピンクじゃん!!似合うねー!!』
まぁ、私もその内のひとりなんだが。クラスで浮きたくない私は、合わせるのが得意。人の名前なんて覚えれないから誰かが名前言ってから喋る。間違って呼んだら最悪。そこまでするのは嫌われたくないから。イジメられたくないし。
「そぉかなぁー?やっぱしぃー?タケル、あぁ、ウチの彼氏がねぇー?」
ほらきた。彼氏じまん始まりましたー。誰も聞いてねぇっつーの!!周りの顔見てみ?皆彼氏いないから目に「殺」ってでてるって!!
『そーいえばさぁー、最近さー嵐君たち見ないねぇー?目の保養が欲しい!!』
さらっと会話の流れを変える。ミカと呼ばれた女の子は目をハートにさせて嵐君の良さを話している。彼氏はどうした。そういえばタケルって私のセフレにいたような…。まぁいっか。
「ねー。なんかユキって言う女の子の事ばっかり話してるらしいしね。」
『へー』
その子はたぶんうまく付け入ったんだろうなー。ぐらいにしか考えてなかった。これから、ある意味運命の出会いを果たすっていうのに…。
『あ、そろそろ帰るわー』
私がそう言うと。
「えー、なんでよー」
「もっといなよー」
なんて声が。今ので、このグループでの立ち位置は理解頂けただろうか。これがもし、
『あ、そろそろ帰るわー』
「そぉなの?じゃあうちもー」
「じゃあうちもー」
の場合は結構上の位置にいるんだけど。残念ながら違うかったので。まだまだ下っ端扱いになるんだよなー。めんどくせぇ。
『弟がさぁー。早く帰ってきてってうるさいのよねー』
「なーる。弟くん今度見せてよー?中3とか一番美味しい時期じゃん」
「ユミさいてー!!わかるけどもね」
『かわいいからねー。じゃ、帰りマス!!』
「じゃーねー!」
こうやって帰ったあとも私の悪口言ってるのがわかるんだよね。わかりやすいっていうか。