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記憶の印  作者:
12/26

11.刃物

「エスラル君っ!」

 背後からフレアが追いついて、エスラルは振り返った。

「スタージュさん、大丈夫でしたか?…訊くまでもありませんが」

「エスラル君こそ。15人も行ったんでしょ?」

「大したことないです。……急ぎましょう」

 二人は沈黙して、走り続けた。




「カーラさん!」

 エスラルは勢い良くドアを開けた。

 月光に照らされ、部屋の様子が浮かび上がる。

 一人の男が、カーラに槍を向けていた。

「あ……」

 カーラが呟く。

 室内の残りの9人が、一斉にドアを開けた二人を見た。

「カーラさん一人に対して10人ですか?」

 エスラルは剣を抜く。

 切りかかるより早く、フレアが呪文を唱えた。

 部屋の中が一瞬明るくなり、すぐにまた暗くなる。

 敵は半分に減っていて、その5人は魔術を防ぐように手を出していた。

 その手首には、魔封石のブレスレットが嵌っている。

「スタージュさん下がって!」

 エスラルはそう言って、剣を構えた。

 周りの敵を薙ぎ払い、カーラに槍を向けている男に向かっていく。

 突き出された槍は、その瞬間しゃがみ込んだカーラの頭上を通過した。

 男が叩き切られ、血が飛び散った。

 倒れた体からも血が溢れ出し、床を汚していく。

「や……」

 服に血が付き慌てて立ち上がったカーラを護るように、エスラルは敵の前に立った。

 4人の敵にそれぞれ一撃を与え、気絶させる。

 その動きは速すぎて、相手は対処する暇も無く床に転がった。

 次の瞬間――――

 グサリという音がしたな、とエスラルは思った。

 自分の腹から銀色に光る切っ先が覗いていることに気づくのに、そう時間はかからなかった。

「な……」

 エスラルの背後から、カーラのカーラの声が響く。

「結構早かったわね」

 背中からナイフが引き抜かれ、エスラルはびくんと痙攣する。

「…犯人の一味、だったんですか」

 ほんの少し苦しげに、エスラルは声を発した。

 ズブ、とまた音がする。

「そうよ。悪い?」

 肩口に激しい痛みを感じながら、エスラルは答えた。

「ええ、悪いです」

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