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天才撲滅部  作者: 織鈴
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グダグダな天才

 「もう放課後なんですけど。ロレク!ロレク部長!」

天才撲滅部部室。部長席で足と腕を組みながら寝ている男子生徒に後ろから女生徒が大声で叫ぶ。状況に変化が見られないと感づくと軽いため息をすると部長席を中心に三角系に並べられた机の右の椅子に座り、ノートパソコンを立ち上げる。ノートパソコンの光が女生徒の眼鏡に反射したそのすぐ後、部室の戸が大きな音を立てて廊下とつながった。女子生徒は視線だけ戸の方へ向ける。立っていたのは背の高い男子生徒だった。

「なんなん、めちゃ暗いやん。電気つけんと珠希の目え悪なるよ。」

男子生徒はポケットに入れていた右手を出して電気をつけた。

「別にもう目悪いから気にしなくていい、エセ関西人が。」

「うっさいわタヌキ。」

毒づきながら男子生徒は窮屈そうに部長席の左側を通り三角机の残る一席の椅子を引いた。耳障りな音が響く。

「……まさうるさい。お前いつになったら静かに椅子引けるようになるわけ。このエセ関西人。」

「どうもすんません。」

(まさ)と呼ばれた男子生徒が気のない返答をしながら座った椅子を机に近づけるとロレクは顔を顰めた。

「そんで、戸にあの紙貼ったんは……まあロレクやろな。」

ロレクは垂れていた首を持ち上げ上下左右に振りながら適当に返答する。

「タヌキがすると思うか?」

「思わへんな。」

「じゃあ俺じゃないか。」

なんともスピーディーな会話を小耳に挟みながら珠希は二人を軽く睨む。

「俺らもようやく部室もらったんだし貼り紙は必要だろ。」

「部室もらったというか先生たちが私たちに耐えられなくなったって感じでしたけども。」

珠希は少し自慢げに話すロレクを見て面白くなったのか、ノートパソコンをたたんで右手で肘をつき頬を置く。確かに、と言わんばかりの顔で雅がロレクの顔にピントを合わせる。

「例えそうでもいいじゃん。もらったことは確かだし。まあそれは置いといてだな。」

話を変えようとするロレクを見る二人の目が若干変わる。

「我々天才撲滅部も部として認めてもらった。だから活動しよう、活動。まずは部員集めよう。うん、部員。じゃあ行くぞ。」

「どうやって部員集めるわけ。」

ロレクの計画性のない指示に珠希がすかさずつっこむ。立とうとしていたロレクの身体がゆっくりと椅子に戻っていく。

「そんな簡単に言ったって無理だから。まだ部活立ち上げたばっかりなわけ。部活入る気ない人はもともと帰宅部なんだし、他の人はみんな他の部活入ってるから。季節考えて。新入生とかいないんだから。」

二人は妥当な判断に手も足も出ずに無言になる。この天才撲滅部は今年の春から設立希望をしていたがそれが通ったのが3ヶ月後の今日。7月28日なのだ。その為部員は設立希望時と同じく3人だけなのだ。

「まあそのとおりなんだが。何かいい案はあるか。人が注目するようなさ。」

「部員集めはするのね。私は部員集めよりすることあるんじゃないのかって言ってるんですけど。」

珠希が少し呆れたようにロレクを眺めなんで部長がこれなんだよ。と小声で呟く。

「じゃ、じゃあ、演説なんてどうや?」

少し機嫌を損ねそうだった珠希を横目でちらりとみると勢い良く立ち上がり少しどもりながら淡々と話し出す。

「俺ら言うたらまだ新部活やん。存在しか知らん人の方が多い思うんよ。せやから演説して俺らが目指すもんとか色々説明したったらええんちゃうかな思うんやけど。」

どう?と小さく珠希を気遣う。戸惑っている様な様子を珠希は横目で見上げる。

「いいじゃんいいじゃん。エセ関西人のくせにいい案あるんじゃん。」

「だからエセ関西人言うな。で、珠希はどう思うん?」

「まあいいんじゃない。ロレク部長がそういうのであれば私は反対しませんよ。」

少し気に入らないという態度になりつつも、受け入れる。どうにも反論がめんどくさいようにも見える。そんな珠希を見て雅は明らかにホッとしたような表情を見せる。

「じゃあそれで決定でええな。んで、問題なんやけども誰か演説やるん?話すこととかは?」

その質問を待っていたとでも言いそうな顔でロレクがゆっくりと立ち上がる。

「脚本は任せておけ。日本語の天才とうたわれた俺の腕の見せどころだろ。演説はそうだな。タヌキ……いや、珠希でいいよ。ほろ、ミス天才撲滅部!」

「ミスってか女子私だけじゃん。っていうか自分で天才て言うんじゃないよ。なにが天才撲滅部だよ。」

深いため息をつきながら眼鏡を外し胸ポケットから取り出したメガネ拭きで念入りに拭き始める。



小説家になろう で小説を投稿するのは初めてなので多めに見て頂ければ嬉しいです。

ふわふわした感じで進んでいくと思いますが暖かい目で見守ってください!

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