ある晴れた日
「いくの?」
そう言うと君は、うんってうなずいた
穏やかな顔をしていた
「どうして行くのさ」
今まで言いたくても言えなかった言葉が口にでた
君は少し困ったようにしていた
「理由なんかあるもんか」
「理由がないことないだろう」
「君には分からないよ」
少しの間があった
「なんにもないことが、どんなに恐ろしいことか」
希望も絶望も何もない
それがもっとも、つらいことだよ
君の目は語っていた
「いつかは終わりがくるのだから、それまで待てという人がいたよ」
君は僕に背を向け風をうけて言った
「僕はつらいから終わりを選ぶわけじゃない
ただ単純に終わりを選んだだけさ」
わかんないじゃないか
と言いかけて、僕は止めた
説得する気はなかった
そうだね、と何ともなく言ってみた
天気は良かった
「スープは飲んだ方がいい」
「?何が」
「行ったらくれるそうだから」
あったまるね、なんて言って笑った君が印象的だ
無を知ったら無じゃないものを理解することができない
僕もそう感じるようになるのかと
来た道をひきかえす時にふと、思った