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第一章 三話

「ラボ」より、凡そ2時間。

 広島市、安佐南区の「中筋」「西原」「祇園新橋北」そして、最終防衛拠点がある「不動院前」が今回の作戦の主舞台となる。

 此度の作戦内容は、広島に現存する唯一の国宝「不動院」と呼ばれる寺院を、セプテムの移動から防衛する事と、不動院すぐを流れる太田川にかかる、交通の要所「祇園新橋」の防衛である。

 現在セプテムは、中筋の北の緑井、北東の安芸矢口と呼ばれる地域から、真っ直ぐに祇園新橋方向に進行しており、その総数は凡そ4千である。数自体は少ないが、当たりは閑静な住宅地であり、国民の財産を守るのが使命である、自衛軍は対ネヴァン戦で主力となる、自走砲や榴弾砲、個人用携帯重火器等の広範囲に被害が広がる兵器が使用することができず、故に確実沢山の敵を倒すことができずに、ジリジリと後退せざるをおえなかった。

 ・・・・・安佐南区の防衛の任に着いているのが、第2312機巧中隊・・・・・つまり、戦車などを最主力とする部隊であるから、それは尚更であった。

 

 

 

 

「各機主砲起動。照射ポイントL34からM11迄を6秒間」

 アストラムラインと呼ばれる市内電鉄の路線を頭上に、第2312機巧中隊所属の四機の弐式機動砲台が搭載する荷電粒子砲塔が一斉に光子を淡く放射させて煌めく。

「5、4、3、2、1、撃ぇッ!!」

 指揮官の号令と共に四つの砲塔が輝き、それぞれから一斉に荷電粒子が絶えなく放射される。

 その射線軸にはその進路にある邪魔な物を破壊し尽くすセプテムの群が居り、荷電粒子の照射を受けたセプテムは次々と体を蒸発させて消えていく。しかし、数の差は如何ともし難く、幾らビームを放っても倒せるのは群の前面にいるセプテムのみで、次から次へと奴らは抜けた穴へと入ってくる。

 そして、遂に自衛官達の人生の終わりの時が来た。

 機動砲台に取り付くセプテムは、まずその鋭い爪で鋼鉄をも易々と引き裂き、搭乗する自衛官の体に食らいつく。

 セプテムに襲われた者は、断末魔の声すら上げ事が出来ず、一のみにされるか、爪同様に鋭く尖る歯で四肢を咬み千切られ、臓腑を貪られる。

 運良くセプテムの到達前に逃げ出す事が出来た自衛官も、重量があり大した速度のでない機動砲台に乗っている故に逃げることは出来ない。

 やはり、機体を裂かれ今度は高くに放り投げられる。

「う、うあわぁぁぉぁぁぁ」

 先ほど、指揮を執っていた自衛官が叫ぶ。

 下には、他の隊員の血で、赤黒く染まるセプテムの口。

 運良くその口から逃れられても周囲には他のセプテムもひしめき合っている。

 彼は、死を覚悟した。

 

 

 

『領域発現』

 

 

 

 不意に心に響いてきたその言葉。

 

 それと同時に、体が落下する感じがなくなり、その代わりに体がフワフワとしている。

 自衛官は、おそるおそる目を開けると、驚愕した。なんと、自分の体が中に浮いていた。しかも、セプテムの口から凡そ1メートルあたりの所で。

「なっ」

 今度は、セプテムへの恐ろしさではなく、未知なる現象への畏怖に心を苦しめられる自衛官。そんな彼に、声がかけられる。

 

 

「第2312機巧中隊副長兼任第三小隊長柴崎中尉、救援に参りました」

 

 数多の蠢くセプテムの眼前。

 

 そこには、少年と少女が居た。

 

 一人は、鷺沢京介と言う名の。

 一人は、桜木詩織と言う名の。

 




昔住んでいたところを舞台にして、臨場感を出そうとしたのですが、うまく地形説明が出来ませんでした・・・。

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