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第4話

ルーアルテとの面談を終えたアイリスは、フラフラと近くの壁まで近付くと手をついてへたり込んでしまった。


「き、緊張したぁ………」


未だに心臓が激しい鼓動を刻んでいる。あの見透かされるような目で見つめられるのはいつまで経っても慣れそうに無かった。

尤も、小隊長止まりの自分と総司令であるルーアルテとでは慣らすほど顔を合わせる機会などありはしないだろうが。


なんとかうるさい心臓を宥めていると、廊下の奥から2人分ほどの足音が聞こえてくる。慌ててアイリスはその場から立ち上がり服装のシワを整えた。


「おー、イリっちゃんだ。なんでここに?」


足音の主は見慣れた2人。同じ小隊メンバーのミスティとグリシャのものだった。

アイリスは思わずふぅーっと深く息を吐く。


「あなたたち2人の姿に安心を覚える日が来るとは思ってもみませんでした。」

「ンだよそりゃ」

「あはは、イリっちゃんひどーい。私らだってやる時はやるのにね?」


素直じゃない口が恨めしいが、これでも自分は小隊長。あまり気の抜けた姿を見せるのはよろしくない。それでも2人と会えたことで本当にアイリスは安心感を覚えているのだった。


「ところで、2人はなぜここに?」

「任務の報告だよ、やっとけって言ったのはアイリスだろ?」

「ちょっと、まだ済ませていなかったんですか?帰投してから随分時間も経っているでしょうに。まさか、サボっていたわけではないでしょうね?」

「いやぁ〜、帰還報告は済ませたんだけどね?報告レポートの用意に苦戦しちゃって。ほら、いつもイリっちゃんがすらすらーっと終わらせちゃうから。」


ミスティの言葉にアイリスは少し考え込む。確かに作戦報告のレポートはそれが一番早いからと自分が書いて提出していた。それによって文書作成の能力を奪っていたのなら、アイリスにも非はあるか……?


「丁度これから提出するとこだしさ、イリっちゃんも一緒にどーよ?小隊3人仲良くさ」


その言葉にサーッとアイリスの顔から血の気が引いていく。あのような会話をした直後、また司令室で総司令と顔を合わせる?またあの目で見つめられるのか?


「ええと、それはぁ……その、わたしは報告書の作成に関与していませんし、それを一緒に提出するのは不誠実な気がするので……お、お二人でどうぞ!それじゃあ、ボクはこれで!!」


心の底から勘弁だった。今日はもうあの人と話せる気がしない。咄嗟に言い訳を並べると、それ以上詰められる前に宿舎の方へと逃げ出す。そもそも退室直後に別件で顔を合わせるなど気まずいにも程があるだろう。



──────────その後、文書不備で叱責されたらしい二人が宿舎のアイリスに泣き付いてきた。今後は報告書の作成も余裕があれば二人にも回すようにしようとアイリスが心に決めた瞬間であった。

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