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63:ロドニー・デュー視点28

挿絵(By みてみん)


俺の独断的偏見ではーー


ダスティン・フェアフィールドの雰囲気がゲームとは違うのは

婚約者のレイラ・ノーランド嬢に原因があると思っている。


女は男に、男は女に影響されやすい。


何より、レイラ嬢の家であるシーモア男爵家というのは血のルーツが

「南方の商業連合国の一つビザッティ国だ」

という事が分かっているからだ。


肌の色が黒くて情熱的な雰囲気。

それが南方の国々の人達の印象。


ルーツが異邦にあって、身内ないの文化や価値観が独特な集団は

キッカケ一つでカルト化する可能性がある。


ランドル王国やバルシュミーデ皇国などは北方にある国。

南方の民と違い冷淡な人達なのかと言えば、それもまた違う。


統計的に見ればーー

南方の人々は開放的で裏表を持つのが苦手。

北方の人々は思索的で裏表を使い分けて欺瞞に耽る。


ランドル王国とバルシュミーデ皇国との間には広大な樹海が広がり行き来を妨げてくれているが、アザール王国はランドル王国ともバルシュミーデ皇国とも南方の連合国とも隣接している。


全方位が他国と隣接しているためか、外交面での工作や暗躍が昔から必要だった事もあり、人間性がオカシイ。

息をするように嘘をつき

自分の罪を他人になすりつけ

他人の手柄を横取りする。


ただそうした各国の人間性の違いも

住まいに応じ

環境に応じて

「効率の良い生き方」が各地で見い出され

各人がそれを正当化しようとする感じで生きているがゆえのもの。


風土・環境ごとの分岐点を経た末での価値観の相違ーー

そういったものが異文化交流では必ず横たわる。


裏切りと欺きの民族であるアザール人と

開放的で素朴な南方の人々。


そういった性質の違う両者が手を結ぶ事など

正攻法では難しいと思うのだが…


ドミニク王子によると

「我が国のアザール系権力に属する貴族の領地では南方の連合国からの移民が多い」

との事だった。


カラクリとしては実に簡単。


ランドル人のフリをしているアザール系の奴隷商人が

連合国で身寄りのない者達を拉致して奴隷紋を押し

ランドル国に連れてきて奴隷労働をさせている。


南方の民にはアザール人もランドル人も区別などつかない。


憎むべき奴隷商人がランドル人のフリをしたアザール人であっても

奴隷には区別がつかない。


仕入れられた奴隷を虐待・虐殺している者達の大半が

アザール系コネで繋がっているアザール系の貴族や金持ちでも

奴隷には判らない。


だから奴隷達は

「ランドル人の奴隷商人に拉致されて連れて来られ、ランドル人の貴族や金持ちに虐待・虐殺されている」

といった風に

「事実と異なる認識」

を刷り込まれてしまう。


そんな倒錯した詐術が実際に存在していて

「虐待者と被虐待者がつるんで無関係なランドル人達を逆恨みで呪っている」

のだとドミニク王子は明言する。



「…識別力のない者達の純粋さというものは、それを悪用する者達の手に掛かれば実に簡単に悪しき力へと堕すものだ。

教会の弱者籠絡カルトもそういった『弱者の恨みの矛先操作』を切り札にして平和ボケした既得権益層を脅しつけるテロリズムと紙一重。

その手の『ルサンチマンの威を借る狐』も、ちゃんとアイデンティティをこの国に置いている連中なら『自分の国じゃないから』などといった無責任さでやり過ぎる事もなく必要悪の範囲に留まれるのだろうけど…。

この国にはこの国の国民のフリをした異邦人や売国奴が大勢紛れ込んでいるからね。

いずれ『奴隷商人も奴隷虐殺者もアザール人だ』という事実を国内でも南方の連合国でも周知させるように努めなければならないと思っている」


ドミニク王子の世情配慮は多岐に及ぶのである…。


俺としても、ドミニク王子から

「南方系の人々の騙されやすい純粋さ」

に関して話を聞いた事もあり…


南方系ルーツの貴族に対して

「アザール系にいいように騙されて踊らせられている走狗なんじゃないのか?」

という疑いが起こる。


レイラ嬢の福祉精神が

「南方系ルーツの下流層を救いたい」

などといった民族繋がりの身内贔屓に基づく民族愛によるものなら…


それはそれで問題だ。


特に彼女やそのシンパが

「奴隷商人も奴隷虐殺者も(ランドル人のフリをした)アザール人だ」

という事を知りもせず、知ろうともせずにいるのなら…


福祉活動それ自体が

「ランドル人への逆恨みを募らせた南方民族の反ランドル活動の求心力」

へと変化しかねないのだ。


しかもアザール系工作員はそういった誘導も手慣れたもの。


素朴で多情多恨な人達の純粋さはドミニク王子の言うように

「簡単に悪しき力へと堕す」

ものだ。


アザール派と愛国派との陰湿な攻防が活発化してる点は

ゲームとは違う流れなのかも知れず…


レイラ嬢がアザール派の奸計に乗せられている人間の一人なのだとするなら、彼女の影響下にゲームと現実との齟齬が生み出されていても不思議はないのである。


俺が騎士団内でジャレット・カースティンの悪口を仕入れるよりも前に

「非番のダスティン・フェアフィールドに会いに来た」

という名目でレイラ・ノーランド嬢が彼女と似た南方系の美女達を連れて騎士団訓練場に押しかけて来たので


「オンナだ!」

「美女だ!」

と浮かれた準騎士達の視線も意識も一斉に女性達に向かい

こちとら情報収集などといった会話誘導が使える状況では無くなってしまった。


何せ…


露骨に「娼婦」という訳ではないのだろうが

レイラ嬢が騎士団に引き連れてくる美女達は何故か

「みんなお股がユルユルのヤリマン」

らしいのだ。


声を掛けて気に入ってもらえれば誰かしらが選ばれる。


訓練終了と共に連れ込み宿へと(いわゆるラブホへと)直行。

お楽しみの時間となる…。


「奴隷制許さない!ランドル王国の権力を許さない!」

的なイデオロギーカルトに洗脳された南方系美女達のハニートラップの可能性を考えれば、その手のお楽しみを求めるべきではないのだが…


脳筋男という人種はーー


チン◯とハートが直結していて

チン◯とハートの活動が脳味噌の活動より優先され

当人を動かしてしまっている生き物。


「まんまハニートラップだろうが!引っ掛かるな!ボケ!」

と指摘してやっても誰も耳を貸さないのだという…


人間は自分の聞きたい事しか聞かない生き物でもあるのだ…。



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