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挿絵(By みてみん)


中等部までは魔力を持つ者は等しく学院に通っていた。


貴族の男子もまた後継である長男だけでなく

次男三男も普通に学院に通っていたのだが…

男子の場合、高等部への進学は長男又は文官志望者に絞られる。


武官志望者は当然騎士団へ入団。

なので高等部からは男女の比率が女性過多になるのである。


「イケメンを巡る女達の仁義なき闘いの激化」

は、そうした男女比率の偏りも一因だろうとレベッカ的には思う。


最初に参加した

「騎士団見習い志願者用研修会、二週間野営コース」

で同じ班だった

ルシアン・バンクロフト

マーヴィン・ブラッドリー

ハーモン・トレント

ポール・ダーウィン

の四人も中等部を卒業後は高等部進学はせず

騎士団へ入団した武官希望者達だ。


彼らもレベッカ同様に調理部に入っていた料理仲間だったので

同じ趣味の友人がゴッソリ減った事になる。


レベッカは学院中等部入学直前の夏季にも

「騎士団見習い志願者用研修会、二週間野営コース」

に参加。


二度目の参加者選抜時には身体強化を行わずに地力で23.8kmを完走しギリギリ30番に入っていた。


その時に同じ班になった者達も調理部員ではあるが…

全員一学年下の後輩になるので

高等部進学後レベッカとは接点がなくなる。


レベッカの学院内での対人関係は高等部に進学したことで

今まで以上に寂しいものになってしまっている。


何せレベッカに餌付けされた雛状態で素直に甘えてくる者達は基本的に年下のみ。


同じ年や年上の先輩とは礼儀正しい事務的な対応しか取れないのだから…

レベッカが誰かと親しくなるには

「素直に甘えてくる後輩」

といったほんわかキャラが常に必要だった。


高等部でも調理部に入ろうと思っていたのだが…

どうやら高等部には調理部が無い。


中等部の場合は幅広い部活動が展開されていたし許容もされていたというのに…

高等部になるとハイソサエティーに相応しい趣味しか部活動の許可が降りないという事情があるらしかった。


なのでレベッカは「魔道具研究部」なる部に入部する事にした。


身分剥奪された時の事を考えると

「魔力を持つ」

という自分自身のスペックを活用した仕事が始められるよう準備しておくべきだからだ。


魔道具用の魔石(いわゆる電池)に魔力を(電力を)注ぐ仕事に就くにしても、魔道具の事をろくに知らずにいるのでは情けない。


不当な待遇に落とされずに自分の能力に見合った待遇を獲得するためには、理論武装して相手を言い負かす弁論術のみならず実質的な知識も必要だ。


実質的な地に足のついた知識を持たずに弁論術だけ用いても

「屁理屈をこねている」

と見做されて

「話に耳を貸す値打ちはない」

と切り捨てられてしまう。


特にーー

強者の御都合主義のために悪役の濡れ衣を着せられて断罪される者達はそうだ。


(嫌われてると自己弁明の機会さえ与えられずに一方的偏見で排除されるものね…)

人生はレベッカにとって世知辛い。

愛されない者にはいつも不利が降りかかる。


濡れ衣を着せられて貶められ

「疑われる立場」

に立たされた状態というのは

「社交空間内で心理的被告席に押しやられた」

仮性的弱者状態だ。


誣告という陥れは社交空間内での

「心理戦の被告席」

を創り出す。


意図的に標的を心理戦の被告席へ追いやり

「正義感の強い盲目的な人達に標的を叩かせる」

ような人心操作が行われる事もある。


「弱者を巨悪に見立てて正義気取りで皆で袋叩きにする」

スケープゴート…。


そんな図式が陰湿に展開されて降りかかる可能性は常にある。


社交空間内で心理戦の被告席に押しやられる状態…。


それは

「いつ降りかけられるか分からない」

人災なのである。


レベッカの中の五月はーー

弱者殺しの法則が適用され続けたストレス社会の中で

最期まで人間らしく在り続けた人間だった…。


だからこそ知識を望む。


愛情よりも

何よりも

知性による整合性を望む。

困難を克服する力を望む。


レベッカは学生時代に複数の魔道具を作って

「天才魔道具師」

として、いずれ評価される事になるのだが…


そのモチベーションはどこまでも

「他人との絆や社会的地位に頼った身の立て方をすれば、いつか全てを失うだろう」

という強迫観念だった…。




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