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「誰かの自由は、別の誰かの不自由」
自分が自由に振る舞えば他の誰かを抑圧するし
他人が自由に振る舞えば自分が抑圧される事もある。
万人が自由人に便乗して自分自身も自由に自己開放して生きるという訳にはいかない。
自由とはーー
相対的解放感に過ぎない不条理なもの。
刹那的に女漁りする男にとっての自由は
肉便器としてキープされる女にとっての不自由。
そうした当たり前の道理をさえ
倒錯へ堕ちた者達は歪めてしまう。
ヤり捨てされて価値下落した女には
「結婚相手として需要がない」
というシビアな現実が降りかかる。
そうした悲劇の責任は間違いなく
「女の価値を下落させた男」
にあるのだが…
思想にかぶれる事で女は何故か
「ヤり捨てされた女の価値を低く見積もる世間が悪い!」
「世間が弱者を差別している!」
と倒錯した理論で敵意の矛先を転嫁する。
似たような倒錯心理は薬物依存関連にも存在する。
薬物依存症に陥り廃人と化した人間の人生を壊した責任は
「その人を依存症罹患させた売人・流通者」
「規制しなかった国や自治体」
にある。
しかし、そうした道理が歪められて
「依存症罹患者達の人生を壊してるのは、彼らを差別し、受け入れようとしない世間だ」
という屁理屈が広められる事があり
依存症罹患者がそれを支持する事がある。
人為的認知の歪み…。
それは何処の世でも絶える事なくしぶとく生み出され続ける。
堅実な人間は
堅実さの枠から出ずに
堅実な檻の中で抑圧されながらも
堅実さに護られる。
そんな堅実な人達を
「マジョリティ」
呼ばわりして
「一方的に逆恨みする」
のだから…自由思想カルトは罪深い。
ランドル王国にもーー
倒錯した逆恨みを助長して不和の種をばら撒いている人達がいる。
各国を周り商品をグローバルに流通させている国際規模の多国籍大手商会とその縁者達…。
「多様性」という言葉を美化して善良な素朴な人々をどこまでもカモにする輩。
生粋のランドル人とは違う、所謂異邦勢力に属する者達。
異文化交流・多様性の尊重。
そういった綺麗事の背後で進められる寄生・乗っ取り。
欺瞞のオブラートで隠された陰湿な侵略。
思想誘導された人達の
「恨みの矛先を操る」
ような人心操作が行なわれている諜報工作を見逃していては
社会の真実など見えてこない。
国を背負う
社会を背負う
そんなポジションにある王族・貴族は社会内の悲劇に責任を持たなければならない。
だがそれを理解できない者が多いのが社会の不幸だとも言える…。
一方でーー
レベッカは至極真っ当な正気の感性を持っている。
レベッカは社会内に流通している価値観に対しても
「おかしいものはおかしい」
と感じるたちだ。
「結婚を前提とした婚約者であっても、実際に結婚するまでは何があるのか分かりません。
実際につつがなく婚姻手続きが済むまでは婚約者同士は節度を心掛けた範囲でお付き合いをするべきでしょう」
という主張を、他の令嬢に対してもしてきた…。
だがそういった主張は
「婚約者に求められない女の僻みは見苦しいわね」
「愛されない女が愛されない事を貞操を守ってると自己美化するのは哀れだわ」
「バカバカしい」
と嘲笑されたのみで終わった…。
どうやらメジャールートの攻略対象者達と婚約者達は
(レベッカとエリアル以外は)
婚約者同士の婚前交渉を行っている様子…。
ヒロインのクラリッサが誰を選ぶのか、今の時点では分からないのだが…
ヒロインがエリアル以外の攻略対象者を選ぶと、その婚約者令嬢は確実に悪役令嬢化する未来へと真っ逆さまに堕ちていく事になる…。
(学院内の空気を無難に収めたいと思うなら、ヒロインはエリアルを選んでくれた方が無難なのかも知れないけど…。こればっかりはどうなるか分からないよね…)
と、訪れくる未来の暗雲に少し気が滅入るレベッカなのだった…。




